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2024.03.31

大阪最後の一隻、 大都会に浮かぶ カキ船「かき広」で過ごす時間。

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大阪最後の一隻、 大都会に浮かぶ カキ船「かき広」で過ごす時間。

土佐堀川の上に架かる「淀屋橋」。橋の名前は、初代の淀屋橋を架橋した江戸時代の豪商・淀屋に由来し、今日に至るまで大阪の発展に寄与してきました。現在では高層ビルが立ち並ぶオフィス街として栄え、夜になれば土佐堀川にビルのあかりが映り込みます。

その淀屋橋のたもとに、時代を感じるネオン看板を掲げた一隻の船。大都市の中で異彩を放ち、橋を渡る人誰もが目を止めるその船は、創業100年以上のカキ船「かき広」です。

 

大正9年創業の「かき広」と、大阪のカキ船文化

創業当時の「かき広」の写真

カキ船の起源は江戸時代まで遡ります。

広島でカキの養殖技術が発展し、販路を開拓するため大阪までカキを船で運んだことが始まりとされます。当初はカキを販売するだけでしたが、次第に船上に座敷を設けてカキ料理を提供するようになりました。

そうした歴史的背景の元、1920年(大正9年)に開かれたカキ船が「かき広」です。

最盛期には川に何十隻も浮かんでいたカキ船ですが、次第に数を減らし現在大阪で営業しているのは「かき広」のみ。全国でも現存するかき船は数隻となっています。

 

吉見三千夫さんが3代目になったきっかけ

現在は3代目の吉見三千夫さん(72)が営業を続けていますが、なんと3代目になったのは60歳を超えてからだそう。

料理とは無縁の建築関係のお仕事をしていた吉見さんですが、義父にあたる2代目からの依頼で「かき広」を引き継ぎました。異例の転身に不安はなかったのか尋ねると、こんな驚きの答えが。

「全く別の人生を歩めるなんて楽しいやんか。人生2回分味わえる。波瀾万丈な方がいいよ。2回目の人生なんやから失敗したってどうってことないしね。」あっけらかんと吉見さんは笑います。

「失敗したときのことを考えるのではなく、良い方に考える。人生なんとでもなる。」そう語る吉見さんの”身軽さ”は、無意識のうちに「かき広」をより良いお店にするためのエネルギーとなっていました。

 

創業時の味を守りつつ、3代目のこだわりをこめたカキ料理

7000円(サービス料、消費税別)コース(一人前)

「かき広」の看板メニューは新鮮なカキを使用したカキ鍋。生姜と味噌をベースとしており、基本の味は創業時から変わっていません。

2代目の元で「かき広」の味を学び、少しずつ改良を重ねて現在の味になったのだそう。鍋を温める間に新鮮なカキや野菜の出汁も混ざることで、より深みのあるスープになっています。

先代の教えを受け継ぎながらも、細かな味のアップデートを重ねており、こだわりが見えます。

「なんでも言われた通りにやったら良いってもんじゃないよ。一捻り入れてみるのが大事。」とまたも軽快に話す吉見さん。

気さくな印象を受けますが、元々はシャイな性格で接客に不慣れだったそう。今ではお店を営む中で一番楽しいのは「お客さんとワイワイ話している時間」だと言います。

お客さんがカキ料理を堪能し、気持ちよく話して帰るために、吉見さんは”3代目になるまでの過程”も楽しんでお店を営まれていることが伝わります。

 

大正時代から続くカキ船で風情を感じる夜を

淀屋橋駅1番出口から地上に出た瞬間、高層ビルと一緒に目に飛び込んでくる不思議なカキ船。気になっている方も多いはずです。「いつか行きたいと思っていたのに、なかなか入れず20年も経ってしまったよ。」なんてお客さんも来店されるのだとか。

「気になるなら早く来んかい!」とユーモアたっぷりに話す吉見さんが切り盛りする「かき広」は、大正時代から変わらない姿で川に揺られてゆるりと続いていきます。

 

かき広

電話:06-6231-1891(完全予約制)

​​住所:大阪府大阪市中央区北浜3丁目1-25 

アクセス:地下鉄御堂筋線/京阪本線淀屋橋駅一番出口すぐ 

*営業時間や定休日についての詳細は、お電話にてご確認ください。