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2024.03.31

4代続く「ぬま田海苔」で、有明海が育んだ海苔の個性を知る

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4代続く「ぬま田海苔」で、有明海が育んだ海苔の個性を知る

調理器具や器の専門店街として、国内外の観光客から人気を集める合羽橋。そんな場所に、古き良き江戸前海苔の美味しさを伝えるべく、有明海で獲られた初摘み海苔だけを販売する「ぬま田海苔(ぬまたのり)」があります。ぬま田海苔は、1937年に川崎で創業した海苔屋。現在は合羽橋で、4代目店主・沼田晶一朗さんが本当に美味しいと感じた海苔だけを厳選し、販売しています。


4代続く海苔屋 川崎産から有明産へ

ぬま田海苔が創業した場所は、神奈川県川崎。創業当初は川崎で収穫されていた江戸前海苔の代表である大師海苔(だいしのり)を販売していましたが、工業地帯としての開発が進み、1973年に川崎の海苔漁業は終了してしまいました。ぬま田海苔は、どうにか大師海苔に近い味わいを再現できないかと漁場を探し、2代目以降は有明海の初摘み海苔を厳選して販売するようになりました。有明の海苔を選んだ理由を沼田さんに伺いました。

「東京湾と有明海を比べてみると、湾の形が似ているんです。どちらも複数の川が流れ込んでいて環境が似ているので、有明海と東京湾の海苔は近い食感や味わいがあります。特に初摘み海苔は味が濃く、柔らかい食感で漁場ごとの個性を強く感じることができます」

3代目までは川崎で常連さんに向けた小規模な海苔販売を行っていましたが、2018年に沼田さんが引き継ぎ、合羽橋へ移転。対面で販売する形にこだわり、路面店としてオープンしました。

「小さい頃から食べてきた本当に美味しい海苔を、もっとたくさんの人に食べてほしいという想いがあります。3代目である私の母にもう一度店頭で売りたいという想いがあって、母のためにも店舗での販売ができればと考えたんです」


有明海で収穫された海苔が「ぬま田海苔」に並ぶまで

海苔は、牡蠣殻で海苔のもとになる胞子を育てたのち、干潟に柱を立てて網をかけて育てていきます。潮の満ち引きにより海水に浸かったり、太陽に照らされたりする環境で、海苔は成長していきます。漁師さんが毎日網を微調整し、丁寧に管理しています。

収穫された海苔は、洗浄した後にミキサーで細かくされ、機械ですいた後に乾燥されて板海苔の姿になります。沼田さんは初摘み海苔の競りの時期に、1週間かけて佐賀、熊本、福岡の現場をまわり、自身の味覚で味を確かめながら仕入れる海苔を厳選しています。

「同じ漁場、同じ初摘み海苔でも、その年の自然環境によって味や食感が変わります。漁場や等級だけで判断せず、実際に食べて味を確かめてから仕入れているんです」

海苔は、漁場と等級、穴があるかどうか、海苔自体の厚みによってついた等級名で、取引されています。ぬま田海苔では、海苔の入札現場で使用されている漁場・等級名がそのまま商品名になっており、商品名から何県のどの川の河口で収穫された海苔なのかを知ることができるのです。

「厚みがあって歯応えがある海苔はクリスピーな食感があり、柔らかく穴が空いている海苔は口溶けのよいメルティーな食感があります。お店で食べ比べたお客さんは、産地ごとの海苔の個性に驚く方が多いです」


海苔の個性を合羽橋から伝える

▲海苔とチーズや生ハムとのペアリングを提案。海苔の個性によって合うチーズが変わるそう。

なかなか馴染みのない海苔の生産過程や素材本来の味。沼田さんは、食への関心が高い地域である合羽橋から、ぬま田海苔にしかできない方法で海苔の魅力を発信しています。

「ぬま田海苔は小さな海苔屋なので、大量生産や大規模な加工品などの販売はできません。だからこそ、初摘み海苔という貴重な海苔を丁寧に売っていきたいと思っています。たまには贅沢な海苔を食べてみようと思ってくれる方が増えていくことが理想なんです」

おにぎり用の海苔や手軽に食べられるフレーク状の海苔などの加工品は、すべてお客さんの要望に答えて開発したもの。海外のお客さんに合わせて、チーズや生ハムとのペアリングも提案しています。

「合羽橋は幅広い年代の方が訪れますし、海外からの観光客も多い町です。お客さんのなかには、この海苔はブルーチーズと合わせたら美味しかった! と報告してくれる方もいるんです。海苔の食べ方の可能性を広げて、新しいカルチャーを生み出せたらと思っています」

 

合羽橋の地から、日本人に馴染み深い食材である海苔の魅力を伝える「ぬま田海苔」。お店作りの背景には、4代続く家族の歴史と海苔本来の美味しさを知ってほしいという願いが込められていました。ぬま田海苔で味わう海苔からは、手をかけて育てあげた生産者の想いが感じられます。


ぬま田海苔
電話番号:050-1745-9617
住所:東京都台東区西浅草3丁目7−2
アクセス:東京メトロ銀座線浅草駅から徒歩13分
HP:https://numatanori.com/
SNS:https://www.instagram.com/numatanori/
※営業時間や定休日についての詳細は上記のリンク先にてご確認ください。