2024.03.15
NEIGHBORS
「快哉湯」が生まれたのは今から100年以上前の、明治末期。
快哉とは、気持ちが良い事。痛快なこと。愉快だと思うこと。
その言葉にふさわしい、日常に溶け込む銭湯として、地域のひとに親しまれてきました。
1923年、関東大震災の痛手を受け、創業当時の建物は倒壊。
現在の建物は、1928年に再建されました。
長年にわたって営業を続けてきた「快哉湯」ですが、2016年、建物の老朽化や後継者がいないことなどから銭湯としての営業を終了。
しかし、建物を残したい、この場所を壊したくないと考えたオーナー屯所(トンショ)さんが
NPO法人たいとう歴史都市研究会に一通の手紙を送ります。
そのNPO法人の会員であった株式会社ヤマムラの中村さんが、快哉湯の常連だったこともあり、
自分たちの会社でリノベーションをしたいと申し出、建物の再生が始まりました。
建物の取り壊しが行われると、その場所に何があったのか記憶が薄れてしまう。
ここでの思い出があった気がする。
でも、前にここにあったものは何だったか思い出せない。
人々の記憶からリセットされてしまわないこと、
それが「快哉湯」再生の大きなコンセプトでした。
<銭湯時代の浴室>
様々な案が出る中で、これまでのように生活に溶け込む場所を目指して、”オフィス”と地域のイベントに活用できる”ラウンジ”の2つが合わさった複合施設として生まれ変わることになりました。
これから先ももっと長くこの建物を、そしてこの建物の思い出を残していけるよう、残せるものは全て残し、耐震工事などを施し、建物を再生していきました。
<オフィスへの入口>
<かつて浴室だった場所にあるオフィス本棚>
現在は株式会社ヤマムラのサテライトオフィス兼ラウンジとしてかつての浴室が利用されています。
高い天井を活かして本棚を設置、洗い場だったところには大きなテーブル、耐震の役割も担う、個別ブース。
これからの新しい「快哉湯」を担います。
<左側には個別ブース、テーブルと椅子が並んでいるところはかつての洗い場です。>
<かつては脱衣所だったラウンジスペース>
はじめはイベントスペースとして活用していたラウンジでしたが、もっと何か違う形で活用できないかとの思いから、食事やコーヒーなどのドリンクを提供する場所としての利用を模索。しかし、どれも思うようなかたちにはなりませんでした。
ベステイトとの出会い
そんな時に、現在のカフェ、「rébon快哉湯」の運営元である株式会社ベステイトとの出会いがありました。
株式会社ベステイトの代表であり、「rébon快哉湯」の創業当時のオーナーであった石橋さんは、
近くでホテルをオープンさせるにあたり、付近を挨拶回りしていたところ、たまたまこの建物を発見。
リノベーションを行った会社の方から、当時の歴史やリノベーションの経緯などを聞き、この建物を残し、繋いでいくことに意義を感じ、空いたスペースでカフェを運営することになりました。
rébonは再生を意味する言葉。
銭湯「快哉湯」であった時のように日常の一部であり、かつ
過去の思い、過去の歴史を語り継ぎ、記憶をつなぐ場所でありたい。
その思いが多くの人々との縁をつなぎ、
「銭湯、快哉湯」は、2020年にカフェ「rébon快哉湯」として、生まれ変わりました。
後編は、カフェオーナー多田さんに、この場所の魅力について、お話を伺います。
レボン快哉湯
電話番号: 03-5808-9044
住所:東京都台東区下谷2-17-11
アクセス:日比谷線入谷駅から徒歩2分
SNS:https://www.instagram.com/rebon_kaisaiyu/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。