2024.07.19
四季を持ち、時期によってさまざまな気候を見せる日本では、そのときにしか見られない花々に触れることができます。家でお花を生けると、時間とともに少しずつ花開き、やがて萎れていくその変化すらも見ていて愉しいもの。そんな少しずつ変化していく花々の美しさを堪能できる秘密の花園を、都会の真ん中・池袋で見つけました。
池袋駅C3出口から徒歩2分の場所にあるここは、HANABAR(ハナバー)。「一度足を踏み入れれば、そこは映画の中」というコンセプトの通り、扉を開けた途端目に飛び込んでくるのは、頭上いっぱいに広がる色とりどりのドライフラワーたち。心躍らずにはいられないその光景に、思わずため息がこぼれます。
HANABARの内装は、オーナーであるゆいだいきさんと油井奈々さんご夫妻自らが手がけたものだといいます。もともとDIYがお好きで、古い家を購入しておふたりのこだわりを詰め込んだご自宅を手作りしてしまうほど。くすみカラーがときめく塗り壁も、時間の深みを感じさせる机や椅子も、カウンター席を彩るタイルだって、すべておふたりの手でつくられたものだそうです。
▲店頭では、笑顔が素敵な店長・赤羽さんが来店客を出迎えてくれます。
HANABARが開店したのは2017年。お酒と料理が好きなゆいだいきさんと、ドライフラワーアーティストとして活躍されている油井奈々さんのおふたりが、「花の魅力をもっと身近に感じてもらえる場所を作りたい」と考えて生まれたのがこの場所なんだそう。
「食を絡めて花の魅力を伝えるなら、装飾だけに限らずメニューにも花の要素を取り入れたいと思い、エディブルフラワー(食用花)を使用するようにしました。視覚でも味覚でも、たっぷりと花の美しさを味わっていただけるようにとこだわっています」
看板メニューのメロンソーダ「アイマツリカ」は、まさにお花の魅力を堪能できるドリンク。アイスクリームの上で華やぐカラフルなエディブルフラワー以外にも、振りかけられたジャスミンパウダーや花びらを閉じ込めた氷まで、小さな工夫が散りばめられています。
「僕は音楽が好きで、作曲もするんです。HANABARのドリンクメニューを考えるときは、作曲するときと同じようにコンセプトや物語を決めて作るようにしていますね。ドリンクのタイトルから決めて考えたり、季節の花からイメージを膨らませたり。HANABARで提供するメニューには、他とは違った驚きに出合ってもらえるようにと心掛けています」
HANABARのドリンクは、アルコールの有無をオーダー時に変更できるのが嬉しいポイント。来店客のリクエストでカラーリングを変更することもでき、色によって異なるフレーバーも愉しめます。最近は、好きなカラーのドリンクを注文して「推し活」のために訪れる若い女性たちも多いんだとか。
▲新作「漆黒のクリームソーダ」は先着10名限定で提供しています
店内で咲き誇るドライフラワーは、元々は生花の状態から吊るされ、時間の経過とともに少しずつ水分が抜けていく変化を愉しめるようにしているそう。
「時間とともに、少しずつ劣化していく美しさが好きなんです。人も花と同じように、歳をとって老いていくもの。時間を重ねることに抗いたい部分もあるけれど、受け入れてむしろ愉しむ気持ちも忘れたくないよねと、夫婦でよく話しています。自然なまま、今ある姿を活かしながら美しく生きる、そんなふうに人生を愉しみたいねと。」
にこやかに顔を見合わせるオーナーご夫妻からは、まさにドライフラワーのような穏やかな美しさを感じました。
HANABARには、女性客やカップルを中心に、連日たくさんの方が足を運びます。視覚・味覚で花を愉しめるこの場所は、変化していくことを恐れずに、そのままの自分自身が美しいのだと、勇気を与えてくれるスポットでもありました。
HANABAR
電話:03-6874-5459
住所:東京都豊島区西池袋3丁目30-6 1F
アクセス:池袋駅C3出口より徒歩約2分
HP:https://www.hanabar.tokyo/
SNS:https://www.instagram.com/hanabar.ikebukuro/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。