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2026.06.20

京都室町に受け継がれる270年以上の絹織物。「誉勘商店」が紡ぐ金襴の美

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京都室町に受け継がれる270年以上の絹織物。「誉勘商店」が紡ぐ金襴の美

ホテルリソル京都 四条室町に面する室町通は、呉服の街として栄えてきた通りです。今もなお老舗が軒を連ねるその景観から、長く商いが受け継がれてきたことが感じられます。

室町通をホテルから北へ進み、冷泉町へ足を延ばすと、「誉」と掲げられた暖簾が目に入ります。暖簾の先にあるのは、270年以上の歴史を重ねる絹織物商「誉勘商店(こんかんしょうてん)」。

金糸を織り込んだ華やかな絹織物「金襴(きんらん)」を扱う、京都で最も古い絹金襴織物商としての歩みや「金襴」の魅力について、13代目(当代)の松井幸生(まつい ゆきお)さんに伺いました。

室町の地ではじまった「誉勘商店」の歩み

「誉」の文字が映える、風格ある暖簾

「誉」の文字が映える、風格ある暖簾

室町通に呉服を扱う店が集まるようになった背景には、15世紀後半に起きた「応仁の乱」が大きく関わっているそう。戦乱によって京都は大きく荒廃し、西陣で織物や染物を手がけていた職人たちは各地へと離散。やがて復興とともに京都へ戻った職人たちが各地で学んだ技法を持ち帰り、後の金襴文化の発展へとつながっていきました。さらに、豊臣秀吉による都市整備を経て、室町通には呉服の店が立ち並ぶようになったとされています。

(中央右)11代目・松井太三郎(まつい たさぶろう)さん(右)12代目・松井隆治(りゅうじ)さん

(中央右)11代目・松井太三郎(まつい たさぶろう)さん(右)12代目・松井隆治(りゅうじ)さん

そんな中、1720(享保5)年に「誉勘商店」の本家である「誉田屋」の初代・誉田屋庄兵衛(こんだや しょうべえ)さんが帯問屋を創業し、京都を代表する商家へと発展させていきます。

このとき、番頭を務めていたのが誉田屋勘兵衛(かんべえ)さん。「いつか自分の店を持ちたい」という思いを抱いていた勘兵衛さんは、1751(宝暦元)年、番頭として研鑽を重ねてきた働きぶりが認められ、のれん分けという形で店を構えることに。本家の「誉」と自身の名をとり「誉勘商店」を創業したのです。

「本家の家訓である、本家と同じ業をしてはいけない。」ということに基づき、あえて異なる分野である金襴に着目。こうして、金糸を用いた華やかな織物を扱う商いがこの地で根づいていくことになりました。

時代を越えて受け継がれる家訓

絹織物が収納されている現在の棚の間

絹織物が収納されている現在の棚の間

その後、「誉勘商店」は時代が移り変わる中でも商いを絶やすことなくバトンをつないできました。13代目の松井幸生さんは、「戦争や明治維新といった大きな時代の変化の中で、私たちの想像を超えるさまざまな出来事を乗り越え、今日まで商いを続けてきました。」と話します。

270年の伝統をつなぐ13代目・松井幸生さん

270年の伝統をつなぐ13代目・松井幸生さん

長い歩みの中では跡継ぎとなる担い手に恵まれない代もあったそうですが、そうした状況下でも、親族から後継者を迎えるなど店を守るための選択を重ねてきました。

そんな「誉勘商店」の長い歴史の中で受け継がれてきたのは、「布(きれ)一寸とも我が旦那なり」という家訓。わずかな布を求めるお客様も大切にする。 その想いは、現在に至るまで商いの礎となっています。

絹糸が織りなす、金襴の奥深さ

「誉勘商店」で使われている絹糸

「誉勘商店」で使われている絹糸

「誉勘商店」の歴史を語るうえで欠かせないのが、金襴です。金襴という名前には馴染みがなくても、お守り袋や御朱印帳、ひな人形などで、その美しい織りに触れている方は多いかもしれません。しかし、その多くは化学繊維によるもの。「誉勘商店」で扱っているのは、江戸時代から続く絹の金襴です。

「絹糸は、化学繊維にはない柔らかさや艶、そしてしなやかさを持っています。糸そのものが細いため、高密度に織り上げることができ、角度によって色合いや表情が変化するのも特徴のひとつです。」と、布や糸を次々と手に取りながら、金襴の魅力を松井さんは語ります。

ルーペで見ると、3色の糸から織られていることが鮮明にわかる

ルーペで見ると、3色の糸から織られていることが鮮明にわかる

一見多くの色が使われているように見える文様も、実はわずか3色の糸と金箔だけで表現されているものもあるのだそう。糸同士が重なった時の見え方まで考えながら色を選ぶことで、奥行きのある表情が生まれるのです。

「技術そのものは昔から受け継がれてきたものですが、今を生きる私たちの感覚次第でどの色を選び、組み合わせるかが変わるんです。」

そう語る松井さんの言葉からは、紡がれてきた技術を守りながらも、その時代ごとの美しさを織物へ映し出そうとする姿勢が感じられます。

270年目に掲げるテーマは“最新”

京都の金襴緞子(どんす)を纏った高級ノート「宝銘帳」

京都の金襴緞子(どんす)を纏った高級ノート「宝銘帳」

長く卸売を中心に商いを続けてきた「誉勘商店」。近年は、これまで培ってきた技術をより多くの人に届けようと、新たな取り組みを進めています。

かつては生地そのものを扱うことが中心でしたが、観光でふらりと立ち寄った方でも金襴に触れられるよう、トレイや金襴ギフトカード、絹ならではの艶やかな質感と華やかな文様が美しい金襴緞子を纏った高級ノート「宝銘帳」など、暮らしに取り入れやすい商品を展開しています。

また、図案やイメージをもとに一から織り上げるオーダーメイドにも対応。丁寧な対話を重ねながら、その想いを一枚の織物へと仕立てています。

フルオーダーメイドで作成した絹織物

フルオーダーメイドで作成した絹織物

そんな「誉勘商店」が掲げる今年のテーマは、「270年目の、最新」。

受け継がれてきた技術を礎に、今の時代に寄り添う金襴の魅力を届けようと挑戦を続ける「誉勘商店」。幾代にもわたり育まれてきた美意識は、これからも室町の地に息づいていくことでしょう。


誉勘商店 
電話:075-241- 0168 
住所:京都府京都市中京区冷泉町53  
アクセス:京都市営地下鉄烏丸線丸太町駅より徒歩3分 京都市営バス「烏丸丸太町」より徒歩5分 
HP: https://kondaya.jp/   
SNS: https://www.instagram.com/konkan.since1751/ 
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先からご確認ください。