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2025.09.20
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京都は千年以上にわたりお茶の文化を育んできた土地。客を招き、お茶を通して人々の心を通わす「茶の湯」が広まり、町の文化として根づいていきました。
そんな京都にある御所の東側、落ち着いた住宅地の中を歩くと 、歴史ある日本家屋をリノベーションした茶室「冬夏(とうか)」があります。
ここは、厳選されたオーガニック茶葉と、敷地内からくむ京の名水を使った格別の一杯を味わうことができる場所。煎を重ねるごとに変化していく味わいや、お茶うけとのペアリングも楽しむことができます。

「冬夏」の茶室 photograph by Yusuke Nishibe
建物は、かつて天皇家の食事を賄っていたという大膳職(だいぜんしき)の住まい。縁あってこの場所でギャラリーを開くことになった創業者の奥村文絵(おくむら ふみえ)さんは、歴史ある建物の佇まいに惹かれ、茶室をつくることを思いついたと言います。
フードディレクターとしても活躍する奥村さんは、全国で数多くの食プロジェクトを手掛けるうちに、“自分たちが普段から飲んでいるお茶をよい道具とともにお客様に味わってもらいたい”、“お茶がいかに素晴らしい飲料であるかを知ってもらいたい”と感じるようになり、 2015年に「冬夏」を誕生させたのです。
建物に足を踏み入れると、左手に静かな茶室が現れます。席はわずか6席だけの薄明かりに包まれた室内には、小庭に面した窓からのやわらかな光が差し込み、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

「あさつゆ」や「やぶきた」など十数種類の茶葉から選択
「冬夏」で提供されるのは、2種類の日本茶とお茶うけが楽しめる「白土(はくど)コース」。このコースでは、煎を重ねるごとに移ろう味わいや、お茶うけとの繊細なペアリングを通して、お茶とじっくり向き合うひとときを過ごすことができます。
「ぜひ、茶葉の香りに五感を傾け、お茶を選んでみてください。」
そう話すのは、煎務(せんむ)の髙坂 優(こうさか ゆう)さん。「煎務」とは、「冬夏」独自の呼び方であり、お茶を淹れる人のことを指しているのだそうです。
「冬夏」で用意しているのは国内で希少とされるオーガニック茶葉のみで、京都の和束(わづか)地区、滋賀、宮崎などで育った茶葉を厳選し使用しています。
「自然由来のものを育てる農業者を応援したい。そして、スーパーやコンビニでオーガニックのものが手軽に手に入る未来がくること。これも私たちの願いです。」と髙坂さんは語ります。

目の前でお茶を淹れる煎務の様子
選んだ茶葉の一つは、40度の低温で淹れると甘味や旨味が広がる、京都の和束地区で育った在来種。お湯の温度を上げて注ぐと、力強い香りへと変わり、表情の違いを感じさせてくれます。
煎務の所作は無駄がなく、茶葉と向き合うまなざしそのもの。季節や水の状態で味が変わるため、日々のテイスティングで最良な淹れ方を探っていると言います。
「繰り返すことで感覚が育ち、皆さんも美味しいお茶を淹れられるようになりますよ。」と、髙坂さん。
手先だけではなく、すべての感覚を使いお客さまのための一杯を淹れる姿は、まるで空間全体を調和する指揮者のよう。そのシンプルな営みを突き詰めていくと、姿勢や心が少しずつ変わり、自己発見につながっていく——お茶はそんな気づきを与えてくれるのだそうです。

ヴィーガン・タルトタタン(左)と、オーガニックカカオ(右)
選べる2種の日本茶の味わいや香りの違いをより引き立ててくれるのが、茶菓です。茶菓は季節ごとに変わり、この日はヴィーガン・タルトタタンとオーガニックカカオ、そして京都職人が作る朝生菓子、京都の野菜を用いた無添加の漬物から二つを選ぶことができました。
生産者や職人の手仕事に思いを馳せながら、静かな空間でお茶と茶菓の組み合わせを楽しめば、それぞれの素材の味がより鮮明に浮かび上がり、一口ごとの味わいの変化を感じられることでしょう。

左上から時計回りに、京都の職人が作る季節の朝生菓子2種、京都の野菜を用いた無添加の漬物

ショップでは急須や湯冷ましなどの茶器を購入することができる photograph by Yusuke Nishibe
そんなこだわりの日本茶と茶菓が楽しめる「冬夏」では、職人により一つひとつ手作りされた一点ものの茶器を購入することもできるそう。「好きな道具を持つだけで、それぞれのお茶の世界はきっと広がると思います。」と、髙坂さん。
お茶をよりおいしく飲むのに適した茶器は、長く使うほどに器がもつ味わい深さが増すため、同じ道具を使う中でも新たな気づきが得られるのだと言います。

お茶を淹れてくれた煎務の高坂さん
日本茶を提供する上で大切にしている想いを尋ねると「日々思いがけない出会いや発見をいただいています。お客さま同士の間に、そして私たちとお客様の間にお茶があることで、出会ったばかりでも“胸を開いてお互いを知ろう”という空気ができあがるんです。そうした前向きな姿勢が平和に繋がっていると思いますし、私たちはその輪を広げるための入口に立っています。」と語ってくれた髙坂さん。
”一杯のお茶が世界を照らす”。
こだわりの茶葉と煎務、そして静かな空間が一つになり生み出される至福の時間ー。「冬夏」が届ける一杯は、これからも訪れる人々の記憶にそっと刻まれていくことでしょう。
冬夏
電話:075-254-7533
住所:京都府京都市上京区信富町298
アクセス:京阪電車「神宮丸太町駅」から徒歩7分、地下鉄「丸太町駅」「市役所前駅」から徒歩12分
HP:https://tokaseisei.com/
SNS:https://www.instagram.com/tearoom_toka
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先からご確認ください。