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2026.05.20

“今”の和菓子を作る「UCHU wagashi」で体験するらくがん作り

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“今”の和菓子を作る「UCHU wagashi」で体験するらくがん作り

京都では茶の湯文化を背景に、多様な和菓子が育まれてきました。中でも落雁(らくがん)は水分量が10%以下の“干菓子”で、日持ちすることから、お茶席やお供えなど京都の暮らしのなかで長く親しまれています。

そんな落雁を中心とした和菓子を、味わうだけでなく作る体験としても楽しめるのが「UCHU wagashi 寺町本店」です。京都御所の東側、寺町通に面した場所に店を構えるこの和菓子店は、グラフィックデザイナーである木本勝也(きもと かつや)さんによって創業。

“人をわくわくさせ、幸せにする和菓子”というコンセプトのもと、店内には色や形、そしてパッケージにもアートの要素を取り入れた和菓子が並びます。

創業当初から「UCHU wagashi」に携わり、現在はディレクターと広報を担う取締役の大山倫子(おおやま ともこ)さんに、お店の成り立ちや歩み、そして「落雁ワークショップ」に込めた思いを伺いました。

和菓子店へたどり着くまでの歩み

取締役の大山さん

取締役の大山さん

「木本が和菓子店を開いたのは、暮らしてきた土地の文化や伝統に寄与したいという思いからでした。」そう振り返る大山さん。

キャラクターデザインの会社に勤めた後、フリーランスデザイナーとして活動してきたという創業者の木本さんは、京都市出身。海外に訪れた際、現地の人に京都出身だと伝えると、強い関心を持ってもらえたことがきっかけで、改めて京都を客観的に見つめ直すようになったのだといいます。

その後京都に戻り、デザインの力を活かして京都に貢献できることを模索する中で目に留まったのが和菓子でした。

ショーケースの隅にあった落雁との出会い

パッケージを見るだけでもワクワクするショーケース

パッケージを見るだけでもワクワクするショーケース

京都の和菓子店を巡る中で、木本さんの目を引いたのがショーケースの端に並ぶ落雁。味は確かでも、お供え物としての印象が強い落雁ですが、シンプルな素材やシルエットに宿る美しさを感じ、思わず胸が高鳴ったのだそう。

「この落雁をもっと輝かせたい。」と考えた木本さんは、試行錯誤の末に自ら創る道を選択します。

カフェも併設されている「UCHU wagashi」店内の様子

カフェも併設されている「UCHU wagashi」店内の様子

とはいえ、落雁作りは未知の世界。砂糖の調達や木型の職人探しなど壁は少なくありませんでしたが、それでも諦めることなく奔走し続けました。

「木本としては、消費されていくグラフィックデザインの仕事とは異なるかたちで、人の心に残り、生活に寄り添うものづくりが必要だとの思いもあったようです。」と大山さん。そうした志も相まって、アートの視点を取り入れた“人をわくわくさせ幸せにする”和菓子店「UCHU wagashi」は生まれました。

茶の湯文化と縁の深い西陣に工房兼店舗構え、約15年前には最初の店をオープン。その後、工房は西陣に構えたまま、店を現在の寺町通へと移しました。

旅の記憶を、かたちにして持ち帰る

水分を含めた和三盆糖を木型に程よい力加減で押し込む様子

水分を含めた和三盆糖を木型に程よい力加減で押し込む様子

そんな色や形にこだわった落雁が並ぶ「UCHU wagashi」では、実際に自分の手で作ることができる「落雁ワークショップ」を行っています。

「和菓子は、お茶席に行く機会がないとなかなか触れることがありません。だからこそ、もっと身近に感じてもらえるきっかけをつくりたいと思ったんです。」と大山さんは話します。

ワークショップでは、和三盆糖の状態から、木型を使って落雁をかたちにするまでの工程を体験できます。使用する和三盆糖は、愛媛県と徳島県の県境でしか作られていない貴重な砂糖。ミネラル分が豊富で、やさしい甘さとすっと口の中で溶けるのが特徴です。

まずは、ボウルの側面をすべらせるようにしながら、砂糖に少量の水を含ませていきます。ふるいにかけてから木型に詰め、そっとひっくり返すと落雁が完成します。シンプルでありながら、力の入れ具合ひとつで、崩れてしまうこともある繊細な作業。

「最初は失敗しても大丈夫。気軽に楽しんでほしいです。」と大山さん。試行錯誤しながら落雁を作っていると、時を忘れるほどに没頭してしまいます。

作った落雁の一部をお抹茶と共に楽しみ、残りは持ち帰ることができる

作った落雁の一部をお抹茶と共に楽しみ、残りは持ち帰ることができる

落雁のかたちを支える「木型」

細工が施された「UCHU wagashi」の木型

細工が施された「UCHU wagashi」の木型

木型からそっと落雁を取り出すと、その愛らしい形に思わず目を奪われます。この形を生み出す木型は、「UCHU wagashi」を象徴する存在。見た目の可愛らしさだけでなく、味わいや口どけまでも左右する大切な道具なのです。

使われているのは、品種改良されていない山桜の木。日本の四季の中で育ち、ほどよい水分と密度を持つため、加工に適しているのだといいます。海外産の木や他の樹種では、湿度の変化によって膨張や収縮が起こりやすく、山桜以外の選択肢はないのだそう。「長く受け継がれてきたものには、それだけの必然性があるんです。」と大山さんは話します。

さらに、木型の薄さにも工夫が施されています。数ミリの厚みの違いが、落雁を口にしたときの食感を左右するからです。しかし、この木型を手がける菓子木型職人は、いまや全国で数えるほどだといい、「UCHU wagashi」では職人を育てるところから取り組んでいます。そうした背景を伝えていくことも、伝統を未来へつなぐ一歩なのです。

「新しい和菓子」を目指して

昨年リニューアルした「UCHU wagashi」寺町本店

昨年リニューアルした「UCHU wagashi」寺町本店

「次の100年も愛され続ける和菓子で、京都に貢献したいです。目指しているのは“新しい和菓子”ですが、それは伝統があってこそ成り立つものだと考えています。老舗を幹、『UCHU wagashi』を枝にたとえると、新しい試みが和菓子の魅力を広げ、その広がりがまた幹である伝統を支えていく―そんな循環を大切にしたいです。」

「これまで和菓子に親しみのなかった人と和菓子をつなぐ存在でありたい。」そうした思いのもと、「UCHU wagashi」ではこれまで多くのオリジナル商品を生み出してきました。「drawing」はその象徴ともいえる存在で、ピースを組み合わせ、描くように完成させる落雁です。 他にも、もち米とこんにゃくで作るグルテンフリーのグミ「和ぐみ」なども誕生しています。

ピースを組み合わせて、絵を描くようにデザインできる落雁「drawing」

ピースを組み合わせて、絵を描くようにデザインできる落雁「drawing」

店名の「UCHU」には、宇宙のように可能性に満ちた場でありたいという思いが込められています。

「これからも試行錯誤を重ねながら、挑戦を続けていきたいです。」そう語る大山さんの言葉通り、「UCHU wagashi」の歩みは、これからもさまざまな方向へ枝を伸ばしていきます。


UCHU wagashi 
電話:075-744-6287 
住所:京都府京都市上京区寺町通丸太町上ル信富町307 
アクセス:地下鉄烏丸線丸太町駅から徒歩10分/京阪電車神宮丸太町駅から徒歩10分 
HP: http://uchu-wagashi.jp/ 
SNS: https://www.instagram.com/uchuwagashi/ 
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンクからご確認ください。