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2026.09.10

創業150年。浅草の桐工芸専門店が編み出した独自技法「桐木目込み細工」の魅力

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創業150年。浅草の桐工芸専門店が編み出した独自技法「桐木目込み細工」の魅力

国内外から訪れる観光客で賑わう、浅草・オレンジ通り。その一角に佇むのが、桐工芸専門店「箱長(はこちょう)」です。

1874(明治7)年、近隣の寿町で「宮田商店」として桐箱づくりを始めたのが同店のルーツ。のちに2代目の宮田長次郎(みやた ちょうじろう)氏が手掛ける「箱屋の長次郎」として親しまれ、現屋号へと改められました。

長らく卸売や百貨店の催事での販売を中心としてきた同店が、浅草の繁華街に店舗を構え始めたのは約30年前。以来、一般客に向けた販売にも注力し、現在に至ります。店内には、柔らかな白木のほか、表面を焦がして磨き上げた「時代仕上げ」など多彩な表情の桐製品が並んでいます。

桐の木肌に華を添える「桐木目込み細工」

店頭に並ぶ裁縫箱や文箱などの桐製品。細工の柄は鈴や蝶、桜などの人気が高い

店頭に並ぶ裁縫箱や文箱などの桐製品。細工の柄は鈴や蝶、桜などの人気が高い

昭和初期、「箱長」が独自に生み出した技法が「桐木目込み細工」。桐材に彫刻刀で細やかな模様の溝を彫り、色鮮やかな着物生地をヘラを使って丁寧にはめ込んでいく手仕事です。

防虫性や調湿性に優れた桐箱に、さらなる価値を添えるために考案されました。かつて特許を取得した元祖の技法であり、箱の本体から自社で仕立てる木工技術と合わさることで、他には真似のできない高い品質を保ち続けています。

工房には数多くの反物が保管されており、箱の大きさや柄の種類、布地の色合いに至るまで、要望に応じたあつらえが可能とのこと。職人の手を通した桐と布地の融合が唯一無二の道具を生み出しています。

変化する暮らしに寄り添う、柔軟なものづくり

和室にも洋室にも合うデザインの「ミニ仏壇」。現代の生活様式に合わせて作られている

和室にも洋室にも合うデザインの「ミニ仏壇」。現代の生活様式に合わせて作られている

「箱長」の品々は、人々の生活様式の変化に合わせて柔軟に形を変えてきました。かつて主流だった大型の桐箪笥(きりだんす)は需要が減少し、代わって現在は、洋室やマンションにも調和する小型の仏壇などが人気を集めているそう。これらは長年にわたるお客様との対話から生まれたものだといいます。

「へその緒入れ」の小箱も今では使われることが少なくなった商品の一つですが、視点を変えたアイデアで新たな形に生まれ変わりました。箱に収まる鶴の箸置きをセットにし、外国人観光客の方にも日本らしさを感じてもらえるお土産品として提案したのです。

自ら作り、魅力を知る。「桐木目込み細工」体験教室

「桐木目込み細工」では、彫刻刀で彫られた溝の部分に、布の端をヘラで押し込んでいく

「桐木目込み細工」では、彫刻刀で彫られた溝の部分に、布の端をヘラで押し込んでいく

「箱長」では、「桐木目込み細工」の体験教室を開いています。もともとは「自分で作ってみたい。」というお客様の声から始まったもので、現在は多くの修学旅行生を受け入れるほか、月に一度、一般向けの少人数体験も実施しています。

教え役を担うのは、4代目社長の宮田健司(みやた けんじ)さんです。ただ作業の説明をするだけでなく、軽快な語り口でときに笑いを誘いながら、参加者に楽しんでもらえるよう心掛けているそう。

体験用の桐箱(お札入れ)。蓋の表面には、あらかじめ彫りが入れられている

体験用の桐箱(お札入れ)。蓋の表面には、あらかじめ彫りが入れられている

一部を絵の具で塗り、好みの柄の布(形に合わせて裁断済み)を選ぶ

一部を絵の具で塗り、好みの柄の布(形に合わせて裁断済み)を選ぶ

布を糊付けし、専用のヘラで溝に押し込めば完成

布を糊付けし、専用のヘラで溝に押し込めば完成

体験では、桐箱(お札入れ)の表面にあらかじめ彫られた溝にヘラで布をはめ込む作業を行います。自分で生地を選んで仕上げた箱には自然と愛着が湧き、浅草を訪れた思い出の品として持ち帰ることができます。

創業200年に向けて。手仕事の価値を未来へ繋ぐ

「箱長」4代目社長の宮田健司さん。気さくな人柄で、店を訪れる人を明るく出迎える

「箱長」4代目社長の宮田健司さん。気さくな人柄で、店を訪れる人を明るく出迎える

宮田さんが見据えるのは、自身が100歳になる頃に迎えるという「創業200年」です。大量生産に走るのではなく、現在の体制を維持しながら、一つひとつの品質を愚直に高め続けることを大切にしています。

近年、浅草の店舗には多くの外国人観光客が足を運び、日本の繊細な技に惹かれて様々な商品を買い求めていきます。「世界中の人に知ってもらい、手作りの価値を先々まで残していきたい。」と宮田さん。

長年培ってきた箱づくりの技術と豊富な着物生地は、同店ならではの強みです。手仕事から生まれるオリジナル商品に直接触れられる場所として、老舗の桐箱屋は今日も浅草でお客様を迎え入れています。


箱長 (オレンジ通り店)
電話:03-3843-8719
住所:東京都台東区浅草1-4-5
アクセス:東京メトロ浅草駅から徒歩4分
HP:https://hakocho.shop/
SNS:https://www.instagram.com/hakocho_official/
             https://www.facebook.com/hakocho/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンクからご確認ください。