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2025.08.10
NEIGHBORS

浅草寺の参道から10分ほど歩くと、にぎやかな観光地のイメージとは少し異なる、“もう一つの浅草”が現れます。昔ながらの閑静な住宅地に個性に富んだ料亭やラウンジが軒を連ねる、西浅草エリアです。
「リソルポシュテル東京浅草」が立地するこの地域では、近ごろ築古物件をリノベーションした店が増えており、懐かしさと新しさを宿した独特な雰囲気で、訪れる人々の心を惹きつけています。

西浅草の街に溶け込む「西浅草 黒猫亭」。手書きの看板も雰囲気たっぷり
そんな街の路地にひっそりと佇む、築60年の建物を生かしたカフェ&バー「西浅草 黒猫亭」。昭和モダンをコンセプトに、店主の宇都木由美(うつぎ ゆみ)さん自ら改装を手掛けました。
往年の映画から飛び出したようなレトロな外観はどこか魅惑的。時代を感じるアーチ型扉の先には、まるで昭和初期に時を戻したかのような空間が広がります。

築60年の味わいを生かした店内
琥珀色の電灯に照らされた店内。耳心地のよいレコードの昭和歌謡と、年代物の趣ある調度品の数々が来店客をもてなします。
カウンターに立つ宇都木さん自身も、店頭では着物姿。店のメニューはすべてパティシエールの宇都木さんが手掛けますが、調理時は割烹着やレトロなエプロンを愛用しているそう。
「明治や大正とは違う、昭和初期ならではの落ち着いた雰囲気が好きで。着物も大正はビビッドな色柄が多いですが、昭和になるとはんなりした優しい色味に変わっていきます。」
黒色ボブの髪型やメイクにも、昭和モダンのエッセンスが取り入れられているといいます。
幼少期からケーキが好きだった宇都木さんは、学校を卒業後にパティシエールの道へ。「いつか自分の店を持ちたい。」という夢を抱きながら、カナダのカフェや国内のケーキ屋で修業を重ねました。
開業に向けた物件探しで最初に出会ったのが、以前スナックとして使われていた現在の建物。昭和初期のファッションや文化に魅力を感じていたこともあり、当時の面影を残す建物や内装に魅せられてしまったそう。
「世の中にケーキ屋はたくさんあるので、個性がないと生き残れない。それなら、自分が好きなものや得意なものを詰め込んだお店にしようと思いました。」

本棚に並ぶ横溝正史氏の作品の数々
店の構想を練る上で参考にしたのが、大ファンのミステリー作家、横溝正史(よこみぞ せいし)氏が描く世界観でした。
戦前~戦後を物語の舞台とすることが多い、横溝氏の小説。「この話に登場するバーは、こんなインテリアではないか?」とイメージを膨らませ、古家具や食器を探したり、窓にステンドグラスを施したりしながら、少しずつ形にしていったそう。
「店名も『黒猫亭事件』という作品からインスピレーションを得ました。」
本棚には代表作「金田一耕助シリーズ」をはじめとする横溝作品がぎっしり。貴重な初刊本も並びます。

日本酒にも詳しい店主の宇都木さん
メニューにもこだわりが。宇都木さんのおすすめは、自家製ケーキと日本酒のマリアージュ。ケーキのフレーバーやお酒の好みに合わせて、ぴったりな一杯を提案してくれます。
週替わりの自家製ケーキには旬の野菜や果物を使用。意外にも「辛口の日本酒と相性が良い」というキャロットケーキは自信作で、しっとりとしたシナモン風味の生地となめらかなクリームチーズがアクセントになっています。

透き通るピンク色が愛らしい 「大人のクリームソーダ」(中央)
日本酒入りの「大人のクリームソーダ」は、すっきりとした酸味と、アイスクリームのほのかな甘さが調和した一品。 古代米を使った赤い日本酒「伊根満開」の豊かな 香りと甘酸っぱさを堪能できます。
ノンアルコールの「クリームソーダ」も展開。四季に合わせて色が変わるのが特徴で、どこかノスタルジック。季節が変わるたびに店を訪れたくなるような魅力を秘めています。

カラメルをたっぷり添えた、昔ながらの「黒猫亭プリン」
すぐに売り切れてしまうほど人気が高い「黒猫亭プリン」は、昔ながらの硬めの食感。牛乳、卵、砂糖のシンプルな材料で、奇をてらわず王道の作り方で仕上げています。
シルバーの器からこちらを見つめるのは、お客様のアイデアから誕生したという黒猫のクッキー。ニヤリと笑みをたたえているように見える黒猫の表情は宇都木さんがデザイン。
「うちに合うのは、かわいらしい猫というより、どことなくニヒルな猫だと思って。」と笑います。

お気に入りの食器や小物が飾られた棚の前で、お客様への思いを語る宇都木さん
「着物で外出したから」「金田一耕助の世界に浸りたいから」「日本酒が飲みたいから」―。
お客様が黒猫亭を訪れる理由は千差万別ですが、各々が自身の「好き」を心から楽しみ、思い思いのひとときを過ごしています。居合わせた横溝氏のファン同士が意気投合した結果、定期的に黒猫亭に集まり語り合うような交流も生まれているそう。
「昭和モダン、着物、横溝作品、ケーキ、日本酒……。入口が広い分、多くのお客様に楽しんでいただけるんじゃないかと思っています。」
西浅草の個性豊かなお店には、それぞれにオーナーの愛情や信念が感じられます。黒猫亭もまた、宇都木さんの情熱が形になった場所。そこに惹かれた人々が出会い、語らい、心を寄せ合うことで、この街にまた新しい輪が広がっていきます。
西浅草 黒猫亭
住所:東京都台東区西浅草2丁目9-1
アクセス:地下鉄銀座線「田原町駅」から徒歩5分
つくばエクスプレス「浅草駅」から徒歩8分
SNS:https://www.instagram.com/nishiasakusa_kuronekotei/
*営業時間や定休日についての詳細は上記のリンク先からご確認ください。