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2025.05.05

エゾシカの生きた証を未来へ繋げるものづくり「24K YLM Sapporo」

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エゾシカの生きた証を未来へ繋げるものづくり「24K YLM Sapporo」

札幌市営地下鉄東西線「西18丁目駅」から徒歩でおよそ20分。木のぬくもりを感じさせるエントランス、キラリと光るエゾシカのプレートが目を惹く「24K YLM Sapporo(ニジュウヨンケイ イルム サッポロ)」。ここは、エゾシカ革製品を取り扱う「株式会社24K」の直営店です。

エゾシカ革で作られたのれんがかけられている「24K YLM Sapporo」

エゾシカ革で作られたのれんがかけられている「24K YLM Sapporo」

エゾシカ革で作られたのれんの先には、カバンやアクセサリー、洋服などさまざまな表情を持つ製品たちが並びます。ガラス越しに差し込む柔らかな陽の光が、製品一つひとつを優しく照らし、艶やかな革の質感を伝えてくれます。

エゾシカを身近に感じた幼少期

エゾシカ革で作られた革製品が並ぶ

エゾシカ革で作られた革製品が並ぶ

店内には、エゾシカ革で作られた財布やペンケースなどの革製品が並びます。いずれもエゾシカ革ならではの柔らかな触り心地です。これらの素敵な製品の作り手は、店主の高瀬 季里子(たかせ きりこ)さん。

高瀬さんは祖父母が農家を営んでいたこともあり、幼少期から自然が身近な中で育ったそう。冬の時期はお父様が狩猟を行っていたため、食卓にシカ肉料理が並ぶことが当たり前の生活だったと言います。

「子どもの頃は、狩猟に対してよい印象を持っていませんでした。なんで動物を殺すんだろう?と理解ができませんでしたし、興味も持てなかったです。ですが、シカ肉を食べることを通して、命について考える機会は多かったです。」

エゾシカに呼ばれたかのようなご縁

伝統工芸技術「印伝(いんでん)」を用いて作られたアイヌ模様のブローチ「木鹿(KIROKU)」

伝統工芸技術「印伝(いんでん)」を用いて作られたアイヌ模様のブローチ「木鹿(KIROKU)」

もともとファッションに興味があったという高瀬さん。大学卒業後には、東京で革を扱う小さなクラフトショップで働き始めます。そこで革について学び、制作やデザイン、そして販売まで多くのことを経験しました。

しかし、そんな折に突然転機が訪れます。お父様が狩猟中に事故で怪我を負ってしまい、自身の意志とは反して生まれ育った札幌に帰ってくることになったのです。

「札幌で仕事を探すことになりましたが、当時は就職氷河期と言われていた時代でなかなか仕事が見つからなく苦労しました。そんな中で、これまでの技術や経験を活かせるようにと、少しずつ鞄や小物などの作品を制作、発表していくうちに、エゾシカ革を製品化できないかと思い始めました。 そこから今までの経験が繋がり始めたんです。気が付けばエゾシカ革を扱うことになっていて、これはもう“エゾシカに呼ばれた”としか思えませんでした。」

不思議な縁に導かれ、今に至るそう。そこには、いつかは必ず巡り合うことが決まっていたような、高瀬さんとエゾシカの深い繋がりを感じずにはいられません。

エゾシカも”1つの命”に変わりはない

北海道の自然の中で暮らすエゾシカ

北海道の自然の中で暮らすエゾシカ

エゾシカは北海道に生息するシカの一種。一度は絶滅危惧種に指定されていたこともあります。保護政策によって絶滅の危機は免れましたが、今度は農作物に被害が出るほど頭数が増加。現在はたくさんのエゾシカが頭数調整のために駆除されています。

その命を慈しみ、無駄にしないため、ものづくりという形で再び命を吹き込む高瀬さん。

「シカそれぞれの個体差に合わせて革を選別していますが、 それがとても難しいんです。初めは鞣(なめ)しも上手くいかなくて 、何度も失敗しました。同じように見える製品にも一つひとつ違いがあります。実際に手に取ってその肌触りを感じて選んでいただけたら嬉しいです。」

革に触れて驚くのが、その滑らかな肌触り。手にしっとりと吸いつくような柔らかさを感じます。通気性がよい上に軽く、使うほどに艶が出てくるため、愛着の持てる一品になります。

革を裁断する様子。穴の開いた部分は、シカが銃で撃たれた跡だという

革を裁断する様子。穴の開いた部分は、シカが銃で撃たれた跡だという

裁断前の革には、銃弾の穴やケンカ傷がそのまま残っているものもあり、お客様の中にはあえてこの“傷があるもの”を選んで購入する方もいるとのこと。

オンラインショップでも製品は購入できますが、実際に手にとってわかる“エゾシカの生きた証”を確かめて購入したい方は、はるばる道外から足を運んできてくれるそう。少しずつ地元以外のお客様も増えてきているようです。

お店では工房も併設していて、制作風景を見ることができます。オリジナルのエゾシカ革も1枚から販売しているとのことです。

24Kに込められた想い

店主の高瀬さん。カバンなどのデザインは、自然からインスピレーションを受けているそう

店主の高瀬さん。カバンなどのデザインは、自然からインスピレーションを受けているそう

店舗の名前に付けられた「24K」。純金を意味するその言葉には、多くの想いが込められています。

「24歳の時は工房名を『24K』とし、10年目の平成24年に『株式会社24K』を設立、そして昨年2024年に直営店である『24KYLM Sapporo』をオープンしました。 “この年までには店舗を持つ”という長年の目標を叶えられて嬉しかったですね。私にとって24はラッキーナンバーなんです。実は誕生日も24日なんですよ。」

そんな思い入れのある「24K YLM Sapporo」を通して、「豊かな北海道の自然と生き物、人との温かな繋がりを育みたい。」と、高瀬さんは話します。

北海道の自然と共に在る未来を

“hadacaのままで 傷あとごと、じぶん。” がコンセプトのブランド 「HADACA 肌鹿」

“hadacaのままで 傷あとごと、じぶん。” がコンセプトのブランド 「HADACA 肌鹿」

「物質的にはここまで豊かになったので、おそらくこれからはどんどん原始的なところに帰っていくのではないかなと思っています。だからこそ、自然や生き物と人がうまく付き合っていく術を考えていきたいです。」

四季によって豊かな表情を見せてくれる北海道の地。人をはじめとする生き物は、自然と共に生き、生かされています。互いにそっと寄り添い、健やかに暮らしていける未来を紡ぐため、高瀬さんはこれからもものづくりを通してその歩みを続けていくことでしょう。


24K YLM Sapporo  
電話: 011-577-8104 
住所:北海道札幌市中央区南9条西18丁目2-21 1F 
アクセス:札幌市営地下鉄東西線「西18丁目駅」から徒歩約20分 
HP: http://www.24kirico.com 
SNS: https://www.instagram.com/24k_ylm_sapporo/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。