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2025.09.05

北海道の風土に育まれた、ひとしずくの物語「千歳鶴 酒ミュージアム」

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北海道の風土に育まれた、ひとしずくの物語「千歳鶴 酒ミュージアム」

その土地の水や米などを活かし造られる地酒。地域の自然や文化を色濃く映し出すその味には、土地の風土が宿っています。

そびえ立つ山々の間を流れる伏流水を使い、雑味がなく澄んだ味わいが特徴の北 海道を代表する地酒「千歳鶴」。高い品質と確かな伝統技術を守り続け、北海道にとどまらず全国にも広く知られています。

2023年、64年ぶりに新設された酒蔵があるのは札幌市のシンボル「テレビ塔」のすぐ近く。その酒蔵に寄り添うように建つ「千歳鶴 酒ミュージアム」は、「千歳鶴」の商品を購入できるのはもちろん、その歴史について触れられる場所として運営されています。

伝統を受け継いで

2023年に完成した新蔵

2023年に完成した新蔵

「千歳鶴」の歴史は、1872(明治5)年に遡ります。創業者の柴田與次右衛門(しばた よじうえもん)氏が、札幌の開拓を支えてきたとされる創成川のほとりで「柴田酒造店」を開店したことが、その始まり。当時は、どぶろくなどのにごり酒が開拓使 の役人に好評だったと言います。

その数年後に清酒を作り始めた柴田氏は、北海道の酒造りの礎を築いた先駆者と呼ばれているそう。やがて「柴田酒造店」は時代と共に発展し、1928(昭和3)年に業界企業合同の政府要請に応える形で8企業と合同。社名を「日本清酒株式会社」としました。

それに合わせ、銘柄も統一。「鶴は千年、亀は万年」のことわざから「千歳鶴」と名付けられ、創業から153年を迎えた今でも、仕込み水にこだわった変わらない伝統を受け継いでいます 。建物の老朽化などに伴い、2023年には新たな「千歳鶴」の在り方を反映した新蔵が完成。製造過程も大きく変化しました。

「千歳鶴」の命である「米と水」

たっぷりの伏流水に酒米を浸けて吸水させる工程

たっぷりの伏流水に酒米を浸けて吸水させる工程

日本酒の主な原料である米と水。「千歳鶴」はそのどちらも、北海道の地で育まれた良質なものにこだわっており、その原料の中には札幌の街だからこそ生み出せる秘密が隠されています。

「千歳鶴」の命である仕込み水。それは札幌市内を流れる「豊平川(とよひらがわ)」の伏流水を使用しています。この伏流水がなければ、「千歳鶴」の味は出せないと言 われるほど。豊富なミネラルを蓄えた軟水は鉄分が少なく雑味があまり出ないため、酒造りにとても適しています。

酒作りのために作られた米「酒米」

酒作りのために作られた米「酒米」

酒造りに使う酒米は、道内有数の生産地として知られる新十津川(しんとつかわ)町の契約農家の酒米を使用しているとのこと。

「酒米の中で有名なのが『山田錦』。新十津川町の環境は、そんな『山田錦』の名産地である吉川(よかわ)町と土地柄がよく似ていると言われています。私たちが酒米で主に使用しているものは、芳醇な香りとコクが感じられる『吟風(ぎんぷう)』と、軽快で雑味が少ない『きたしずく』の2種類です。 」

そう話してくれたのは、商品企画部 副部長の金野 淳也(かねの じゅんや)さんです。

生産量をあえて縮小した理由

商品企画部の金野さん(左)今西(いまにし)さん(右)

商品企画部の金野さん(左)今西(いまにし)さん(右)

かつては大量生産にも対応していましたが、“時代の変化や価格競争に左右されないように”との想いから、現在は生産量を抑え、商品数も減らしているそう。その分、より品質にこだわった商品のみを販売するようになったのです。

「生産量は当初の10分の1ほどになりました。また、従来の酒蔵は一つの工程によって2階、3階と移動しなければなりませんでしたが、新蔵は全ての工程が1階で完結します。長年作り続けてきた中で、よりよい方法を探し続け、このような設計にしました。」

仕込み方法も、冬に年間の量を仕込む「寒造り」から、通年仕込むことができる「四季醸造」へ。よりフレッシュな状態で商品を届けられるようになったそう。すべては、一番美味しい瞬間を楽しんでもらうために。その想いとともに、清酒を丁寧に瓶に閉じ込めているのです。

出来立てを一瓶に

店内で直接瓶詰めをしてくれる「純米吟醸生酒」

店内で直接瓶詰めをしてくれる「純米吟醸生酒」

ミュージアム内にあるショップでは、そんなこだわりの「千歳鶴」の商品を試飲し、購入することができます。

「定番商品以外にも季節限定商品などを取り揃えており、日本酒以外に梅酒や酒粕なども販売しています。こちらは女性の方に人気なんですよ。」と教えてくれたのは、同じく商品企画部の今西麻由美(いまにし まゆみ)さん。

数ある商品の中でも人気なのが、蔵元限定の「純米吟醸生酒」。キリっとした辛さの後に、甘みのある余韻がじんわりと広がります。こちらは、購入するとその場で瓶詰めをしてくれるそう。

日常の食卓からお祝いごとなどの特別な日まで。さまざまな場面を想像しながら日本酒を選ぶ楽しさが広がります。

飲むだけではない「千歳鶴」の楽しみ方

運転する方やお子様でも安心して食べられる「酒粕ソフトクリーム」

運転する方やお子様でも安心して食べられる「酒粕ソフトクリーム」

「千歳鶴酒ミュージアム」では、お酒を購入しない方でも楽しめる工夫が施されています。その一つが、併設されたイートインスペースでしか味わうことのできない「酒粕ソフトクリーム」 。

酒粕がほのかに感じられるソフトクリームは、優しい甘さでほっと一息つくのにぴったり。地元の方もよく利用するそうで、市民の憩いの場としての役割も果たしています。

日本酒の美容成分を閉じ込めた「千歳鶴フェイスマスク」

日本酒の美容成分を閉じ込めた「千歳鶴フェイスマスク」

「日本酒を楽しむ方法は、飲むだけではなく多様な方法があってもよいと思っています。その一つとして、スキンケア用品の開発も進めており、今後はハンドクリームや石鹸などの商品を作っていく予定です。まずは日本酒に興味を持ってもらう。そして最終的に好きになってもらえればと思っています。」

そう話す金野さんをはじめとする商品企画部の方々は、年齢や性別を問わずより多くの方々に「千歳鶴」を親しんでもらえるよう、新しいあり方を探していると言います。

千年の時を越えて愛される存在に

ミュージアム内の展示物

ミュージアム内の展示物

“千年の時を越え、鶴のように長く愛される存在でありたい。”そんな想いやこだわりが込められた「千歳鶴」。これからも至高のひとしずくを届け続けるため、札幌市唯一の酒蔵として、変わりゆく時代とともにあり続けるでしょう。


千歳鶴 酒ミュージアム
電話:011-221-7570
住所:北海道札幌市中央区南3条東5丁目2番地
アクセス:札幌市営地下鉄東西線「バスセンター前駅」9番出口から徒歩5分
HP:https://nipponseishu.co.jp/chitosetsuru/museum/
SNS:https://www.instagram.com/chitosetsuru1872/?hl=ja
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。