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2024.07.15

自然素材のうま味で心も体も満たされる。“一杯”に込められた挑戦「狼スープ」

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自然素材のうま味で心も体も満たされる。“一杯”に込められた挑戦「狼スープ」

札幌グルメの定番として、全国的にも広く知られている「札幌ラーメン」。そのはじまりは、終戦直後に屋台のラーメン店が登場したことにさかのぼります。

中華鍋で力強く炒めた野菜に、のどごしのよい太めの黄色いちぢれ麺、そして冷えた体を温めてくれるスープ。味噌ラーメンのイメージが強い札幌ですが、ラーメンを愛し、熱を注ぐ方々によってスープや麺、使用する素材など“おいしさ”の追求はつづき、今ではお店が独自にアレンジを加えることでさまざまな味わいとスタイルが生みだされています。

 

“味噌専門”で愛される「狼スープ」

ホテルから数分ほど歩いたところにお店をかまえる「味噌らーめん専門店 狼スープ」は、「札幌ラーメン」の歴史に影響をもたらしたお店の一つ、名店「すみれ」で修行を積んだ店主の鷲見 健(わしみ・たけし)さんが、屋台を経て2000(平成12)年にオープンしたお店。

 

狼のイラストがあしらわれた黒いのれんをくぐると、天井にはアーティストや著名人が書き残した色紙がびっしり。まるでお店で過ごしたそれぞれの“温かいひととき”が浮かびあがってくるかのようです。

創業してから着実に人々を虜にしてきた「狼スープ」。その魅力と、新たな挑戦への裏側に迫りました。

 

“偉大な存在”を超えることが恩返し 

「“味噌をどう使えばラーメンがおいしくなるか”を、恋人のことかのように毎日考えていたんですよね。20年以上も味噌一本でやってきたので、味噌に関しては掘りさげてきて見えている部分もあるんじゃないかと思います。」

長野県出身で、信州味噌などのおいしい味噌が身近にある環境で育った鷲見さん。ラーメンは、幼い頃に食べた“一番好きなごちそう”だったとか。定食屋さんで出前をとり、家族と一緒に食べた時の素朴なしあわせ。そうした原体験を経て、いつしかラーメンの道へ。

札幌のまちを選んだのは、住みなれた長野の自然環境と雰囲気が似ていたことや、支えてくれた修行当時の先輩、そして親方の存在が大きく関わっているのだといいます。

 

「すみれ」から独立したお店のなかには、その味や手法を忠実に受け継ぐところもある一方で、「狼スープ」が目指すのは“修行を積んだ「すみれ」を超えていくこと”。

「超えることが、親方への恩返しだと思っています。」

実際に親方にもそう宣言しているそうで、語られる言葉から、学んできたことを大切にしつつも新しい価値を創ろうとする覚悟が伝わってきます。

 

“食”に対する課題意識が後押しに

創業以来ラーメンと向き合い、そして時に自身との対話を重ねながら「自分だからこそできること」を模索しつづけてきた鷲見さん。

「札幌ラーメン」の文化に携わる一人として、アレルギーや病など“食をめぐる課題”に目を向けることに。おいしさはそのままでありながら“より健康を意識したラーメンづくり”へと挑みはじめています。

生きていくうえで“何を食べていくか”。コロナ禍を機にその根本に立ち返り、より深く考えるようになったのだとか。「自然のものを食べて、たっぷり睡眠をとり、よく笑う。そんな基本的な活動を大切にすることが健康につながっていくということを伝えたいです。」と、想いを語ってくれました。

 

“健康に配慮したラーメンづくり”への挑戦

出汁をとっている様子

そんな「狼スープ」の素材へのこだわりは、「水」を使い分けることにも表れています。飲料水や出汁をとる時には水素水、スープや骨を炊く時にはアルカリイオン水、麺をゆでるには水道水。水のもつ特徴に合わせ、使いどころを変化させています。

昆布やしいたけをはじめ、煮干しやホタテ、アサリなどの海鮮系、じゃがいもや白菜、玉ねぎなどの野菜系、豚足や背骨など骨系を4種類に分けて出汁をとり、最後に合わせていくのだそう。

「繊細な素材は低温で」「弱火でじっくり」「にごらせない程度に中火で長時間」など、それぞれのうま味を引き出すために温度を調節すること、そして化学調味料にたよらず天然素材の量を増やすことで出汁のしっかりと効いたスープに仕上げています。

 

麺には北海道産小麦と、古代種で栄養価が高いとされる「スペルト小麦」のブレンドを使い、自然な甘みで味噌とのバランスをとっていく......。パズルのピースをつなぎ合わせていくように、一つひとつの素材と向き合いながら理想の形を追い求める鷲見さん。

「オーガニックであることも大事だけれど、それと同じくらいいろいろなものを食べることも大事だと思っているので、偏らないようにしたいという気持ちはありますね。」

バランスを大切にしつつも“もう一度スープを研究し直して、より自然な形に近づけていきたい”と意欲をのぞかせます。

 

活力になる“居場所”のような空間に

ラーメンメニューは「味噌らーめん」と「特製味噌らーめん(写真)」の2種類のみ。
 “特製”には、平飼いで育った有精卵の煮卵と、その日のおまかせがトッピングされる

 

運ばれてきたのは、貴重な木樽で菌を増やした信州味噌を含め3種の味噌が溶けこむ、スパイスと生姜の効いた食べごたえのある一杯。素材にこだわりながらも、ラードでしっかり野菜を炒めるなど、昔ながらの「札幌ラーメン」を大事にする姿勢は変わりません。

「みなさん日々お仕事などで毎日戦っているじゃないですか。そのなかで、“ここに来ると元気がでる”とか、“リセットできるような居場所”や“行きつけのお店”があると思うんですね。『狼スープ』もちょっとした活力になるような、パワースポットのような空間であれたらと思っています。」

お店の営業をするかたわらで、イベント出店やこども食堂、出張授業など、ボランティア活動にも精力的に携わっている鷲見さん。つながりをもち、地域と関わりあいながらみんなで育っていく。

“新たな挑戦”の裏には、素材を追求する熱意と、“人を想う”心も体も温まるような愛情があふれていました。

 

味噌らーめん専門店 「狼スープ」
住所:北海道札幌市中央区南11条西1丁目5−1 タカイレブンハイム 1F
アクセス:地下鉄「中島公園駅」より徒歩5分程度
HP:http://www.ohkami-soup.net/
SNS:https://www.instagram.com/ohkamisoup_official/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。