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2024.10.31

“食を通じて暮らしを豊かに”生産者のこだわりや情熱を旬とともに発信「らる畑」

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“食を通じて暮らしを豊かに”生産者のこだわりや情熱を旬とともに発信「らる畑」

都心に近い場所でありながら自然豊かな円山エリアへの玄関口、地下鉄「円山公園駅」から徒歩5分ほどのところに、かつて“周辺住民の台所”として活気にあふれた老舗市場「まるやまいちば」がありました(閉業後に「ミニまるいちば」として小さな規模で復活)。

そんな市場の目と鼻の先にある有機農産物や無添加食品を扱うお店「らる畑」は、創業から約40年、親子2世代・3世代にわたって地元の方に愛されてきたお店です。「LOVE+する」の意味が込められたお店は、円山エリアのにぎわいや移り変わりを見守りながら、“食”を通じて人々の暮らしが豊かになるお手伝いをつづけてきました。

移動販売からはじまった物語

移動販売がはじまった当時の様子

移動販売がはじまった当時の様子

1986(昭和61)年、有機野菜がめずらしいとされる時代に創業された「らる畑」。当初は実店舗をもたず、購入者のもとへ出向いていく移動販売スタイルで野菜を届けていました。お店をかまえるようになったのは、そこから3年後のことです。

時を同じくして、海の向こうで起こった「チェルノブイリ原発事故」が契機となり“食の安全”に対する意識が日本でも高まっていた頃。危機感をおぼえた⽅々を中⼼に“安全なものをつくろう”“買い支えて⾃分たちの⾷を守ろう”という動きが起こったのだといいます。

創業者である橋本早知子(はしもと・さちこ)さんは、白石区にあった有機八百屋の先駆け的存在「夢屋」でのリヤカー販売を経て独立。“日々畑に向き合い安全な作物を育てている有機農家さんを支えたい”との使命感が、「らる畑」の根幹を形づくっています。

“手伝い”を経て引き継いだ役割

およそ30年ほど、営業や販売、商品の企画、お店の整備などに幅広く携わり、よりよいお店にするために働きかけてきた橋本さん

およそ30年ほど、営業や販売、商品の企画、お店の整備などに幅広く携わり、よりよいお店にするために働きかけてきた橋本さん

終始温かな笑顔でお話を聞かせてくれたのは、2022年に創業者であるお母さまから代表の役割をを引き継いだ橋本まほろさん。繁忙期に「手伝ってほしい」と声がかかったことがお店に関わりはじめたきっかけだったといいます。

「親の手伝いなので、負担が増えてくると抜けられなくなるな......。」最初はうしろ向きな気持ちをもっていたことを率直に明かしてくれた橋本さん。

「実際に手伝いはじめたら接客がすごく楽しくて。商品がもともと家で食べてきたものだったので、お客さんに紹介することも楽しく、自信をもって勧められたことで仕事が少しずつおもしろくなっていきました。」

関わる前に抱いていた杞憂さは、実務に携わることでどこかに飛んでいってしまったようです。

こだわりや哲学に惚れたものが基準

初秋の野菜売場の様子。夏と秋の旬のものが入り混じり、季節の移り変わりを楽しめる

初秋の野菜売場の様子。夏と秋の旬のものが入り混じり、季節の移り変わりを楽しめる

そんな「らる畑」に一歩足を踏み入れると、まずはじめに目が合うのは“旬”の有機野菜たち。トマトやズッキーニ、かぼちゃやレンコン、落花生、さつまいもにじゃがいもなど。四季の移ろいとともに春から秋の北海道野菜と、寒く厳しい冬からは道外産のものなど、その時々で旬を迎える色とりどりの野菜・果物が並びます。

秋が深まり、冬の足音が聞こえてくる頃の売場の様子

秋が深まり、冬の足音が聞こえてくる頃の売場の様子

限られた数少ない有機野菜を扱うところからスタートした「らる畑」。初期の頃、移動販売と並行して運営していた店舗はなかなか存在が認知されず、移動販売で購入してくれている方の来店が中心だったのだといいます。

時代の流れとともに生活スタイルなどが多様化。“配達の時間に合わせてお客さまが家で待つ”ということが難しくなった頃から、品ぞろえを増やすことにも力を入れるようになったそう。地元の方が来店しやすい空間になるよう工夫を重ねてきました。

“シンプルにおいしいこと”そして“こだわりに惚れること”が売場に並ぶ基準。「⽣産者との会話から、一般的なものより手間のかかる有機栽培や無添加食品であっても“この生業でやっていくんだ”と、⼈⽣をかける覚悟が伝わってくることがあって、そういった情熱や哲学に惹かれることが多いですね。」と、橋本さんは教えてくれました。

関係性を大切にした空間づくり

日々の料理シーンで頼りたくなる基本調味料も豊富

日々の料理シーンで頼りたくなる基本調味料も豊富

今では有機野菜のみならず、毎日の料理に欠かせない調味料や麺類などの乾物、冷蔵・冷凍品にお酒や日用品まで2,000弱もの商品が棚にびっしりと並び、新しい発見との出会いを楽しめるお店へ。

「商品が少ない時からお世話になっているものもあるので簡単になくすことはできないし、できるだけ長く付き合っていきたいんです。」

季節商品の入れ替わりはあっても、一度お付き合いをはじめたら時間をかけて関係性を大切にする。「らる畑」が長く大事にしている価値観です。

地域に根ざした“ローカルなお店”へ

北海道旭川市でオーガニックハーブ農園を営む「Lien farm(リアンファーム)」さんのハーブティーは、癒されるひとときを過ごしたい時におすすめ

北海道旭川市でオーガニックハーブ農園を営む「Lien farm(リアンファーム)」さんのハーブティーは、癒されるひとときを過ごしたい時におすすめ

身体や環境への負荷が少ないもの、シンプルな材料で作られているもの、心地よく暮らすために役立つもの、一般的なスーパーではお目にかかることのできないようなものまで......。「らる畑」には、橋本さんをはじめスタッフのみなさんの関心や興味によって集められたものもたくさんあります。

北海道日高(ひだか)昆布を使用した無添加「塩昆布」。キャベツと和えたり、ごはんに加えたりアレンジが効くのもうれしい

北海道日高(ひだか)昆布を使用した無添加「塩昆布」。キャベツと和えたり、ごはんに加えたりアレンジが効くのもうれしい

「少しずつ自分たちが“おもしろい”や“おいしい”と思うものを扱うようになっていったんですが、お酒が好きなスタッフが多いので、最近は気づいたらおつまみが増えていて。」と、笑う橋本さん。

ユニークな商品も増え、お客さまから“おもしろい”との声をいただくことも。時間をかけてじっくりと店内を見ていく方や、性別問わず若い方の来店も増えているのだとか。

「大量生産されるものではなくて、規模は⼩さくても地域に根ざして頑張っているメーカーさんの商品がそろうローカルなお店を⽬指したいんです。⾃分にとってもお客さんにとっても、ワクワクできる『道の駅』のような場であれたらうれしいですね。」

“旬”と“心意気”をごはんに込めて

素材が活かされたやさしい味わいの「らるべんとう」。天気のよい日や暖かい季節にお店から徒歩15分の場所にある「円山公園」で自然を楽しみながら味わえば、より特別なひとときを過ごせそう

素材が活かされたやさしい味わいの「らるべんとう」。天気のよい日や暖かい季節にお店から徒歩15分の場所にある「円山公園」で自然を楽しみながら味わえば、より特別なひとときを過ごせそう

2016(平成28)年、橋本さんがかねてより望んできたお弁当「らるごはん」とお惣菜の販売をスタートさせました。食材や調味料は「らる畑」で販売しているものを使い、橋本さんの妹である橋本シェフ含む3名が日替わりでメニューを考え調理。毎朝丁寧に手作りされた“できたて”が味わえます。

「お店に並ぶものがすべて生の野菜だったりすると、“頑張って調理して食べてね”と言わないといけないですよね。でも、今の時代みなさんすごく忙しいじゃないですか。なのでより手軽にとの想いもあって。“仕事が辛い時に『らるごはん』を食べて救われた”と直接伝えてくださる方もいて、ちゃんと届いているんだなと感じられた時はうれしかったですね」

そう語ってくれた橋本さんの言葉には、“情熱を傾けて作物や加工品を生み出す生産者やメーカーを敬う心”、そして“身体と心を満たす素材やお弁当から、少しでも健やかで平和な世の中につながったら”という、人や社会への温かな想いがあふれていました。


オーガニック・自然食品専門店「らる畑」
住所:北海道札幌市中央区大通西23丁目2-25 ラメール円山1F
電話番号:011-614-2406
アクセス:地下鉄東西線「円山公園駅」より徒歩6分程度
HP:https://rarubatake.com/
SNS:https://www.instagram.com/rarubatake/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。