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2025.06.05

今も昔も飾らない姿であり続ける、花園だんごの名店「札幌新倉屋 本店」

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今も昔も飾らない姿であり続ける、花園だんごの名店「札幌新倉屋 本店」

札幌市民や観光客で賑わう「狸小路(たぬきこうじ)商店街」。その歴史は、明治時代初期にさかのぼります。北海道開拓使が置かれたことがきっかけで、次第に商家や飲食店が軒を連ねるようになったこの場所は、人々の暮らしと共に形作られ、やがて「北海道最古の商店街」として広く親しまれるようになったのです。

時を経た現在も、変わらず多くの方が行き交うアーケード。そんな商店街の6丁目まで歩みを進めると、右手に「花園だんご」と書かれた旗が目印の「札幌新倉屋 本店」が姿を見せます。

「花園だんご」とは、札幌市の隣にある小樽市発祥の銘菓で、餡の乗せ方に特徴のあるお団子のこと。お花見の名所「花園公園」で売られていたことに由来しているこの銘菓を「札幌の人々にも味わってほしい。」との想いで守り続けているのが「札幌新倉屋 本店」です。

小樽銘菓の味を、札幌で

「花園だんご」の文字が目を惹く店がまえ

「花園だんご」の文字が目を惹く店がまえ

「札幌新倉屋 本店」は、「花園だんご」の発祥である「小樽新倉屋」から暖簾分けされ、餅菓子や和菓子を扱うお店として1960(昭和35)年に産声をあげました。以前は狸小路3丁目にも店舗を構えていましたが、現在はここ狸小路6丁目にある「本店」と、「札幌テレビ塔店」の2店舗を営んでいます。

重みのあるガラス張りのドアを開けると、「花園だんご」をはじめとする餅菓子がショーケースに並びます。

だんごの上に乗った餡の“秘密”

刀のように乗せられた餡が美しい「花園だんご 抹茶」

刀のように乗せられた餡が美しい「花園だんご 抹茶」

黒あん、白あん、正油、ごま、抹茶の5種類の味を取り揃えている「花園だんご」。丸い形がなんとも愛らしい団子の上には、たっぷりと餡やたれが乗っています。この独特な餡の乗せ方は「山形一刀流(やまがたいっとうりゅう)」という名前で、「小樽新倉屋」の2代目が考案したものだそう。

「刀のごとく先端が細くなるよう乗せるには、1日や2日で身に付けられるものではなく、私も習得するまでに3~4カ月はかかりました。その時の気温や湿度によって、餡の柔らかさが変化するので、調整が難しいんです。」

そう話してくれたのは、日々店舗に立ちお客様を迎えている販売マネージャーの斉藤礼華(さいとう れいか)さん。店舗内に併設された工場で職人が作るお団子に、斉藤さんをはじめとするスタッフの方が餡を乗せています。

繊細な手仕事を必要とする「花園だんご」は、作ったその日が消費期限。伸びがよく柔らかな食感のお餅と、優しい甘さの餡の相性は言わずもがなです。

素材の味を生かした優しい甘さ

目も舌も楽しい三色だんご

目も舌も楽しい三色だんご

「ぜひ召し上がっていただきたいのは、やはり定番の『花園だんご』ですが、最近は『三色だんご』を買われる方が多いです。こちらは求肥の生地の中にあんこを詰め、黒ごま、青のり、落雁(らくがん)の粉をまぶしています。」

一般的な三色だんご(ピンク、白、緑)とは異なる色味と、青のりなどの珍しい味わい。そんな「新倉屋」でしか味わえない“特別感”を求めて足を運ぶ方が多いのだといいます。

3種類の味と彩りを1本で堪能できる「三色だんご」は、シャリっとした歯触りと、もっちりとした食感の対比が特徴的。 あんこには北海道産の小豆を使用し、素材本来の美味しさを大切にしていることもこだわりの一つです。

季節限定も味わって

ごまあんとつぶあんの2種類の味が楽しめる「北海最中」

ごまあんとつぶあんの2種類の味が楽しめる「北海最中」

「三色だんご」の他にもどらやきや最中、饅頭といった和菓子に加えて、洋酒に漬けこんだパウンドケーキなど約30種類の菓子が並び、その種類の豊富さに目移りしてしまいます。

「季節限定の商品もお出ししています。例えば春は桜餅、柏餅などです。お客様に季節を感じてもらえるように、あえて通年は販売しないようにしているんですよ。」

季節や旬を待たずとも、今や大抵のものはすぐに手に取れるようになりました。しかし、「そんな時代だからこそ季節の移ろいを大切にしたい。」と、斉藤さんは話します。

つい長居をしてしまう喫茶室

電球色のランプが優しく照らす喫茶室

電球色のランプが優しく照らす喫茶室

店内の2階には、“長くゆったり過ごせる場所”がコンセプトの喫茶室も。札幌にお店を構える際に「持ち帰りだけでなく“甘味喫茶”という形でイートインでも召し上がっていただきたい。」との思いから始まったこのスペース。

まるで昭和の創業当時にタイムスリップしたかのようなレトロな空間には、変わることなく居心地のよい時間が流れ、平日でも多くの方が足を運ぶ“市民の憩いの場”になっています。

「お客様の中には、朝10時の開店を目掛けて来る方もいらっしゃるんですよ。いつも足を運んでくださる方にも楽しんでいただけるよう、ホットサンドに付くデザートや夏限定のかき氷など、 メニューは定期的に変えているんです。」

伝統の味を、ここ“札幌”の地で伝え続けたい

明るくにこやかに話してくれた、販売エリアマネージャーの斉藤さん

明るくにこやかに話してくれた、販売エリアマネージャーの斉藤さん

「『花園だんご』や和菓子の美味しさを、札幌の地でも伝え続けたい。」

そんな想いを持った先代が“ここなら多くの方に足を運んでもらえる”と目をつけた場所が、当時から賑わいを見せていた狸小路でした。

「札幌の中心部に、餅菓子を販売しているお店って数えるくらいしかないんですよ。だからこそ、私たちはこれからもこの地にあり続けたいと思っています。日本が大切にしてきた和の文化、伝統産業をこれからも次世代に繋いでいきたいです。」

今年、創業から65年を迎える「札幌新倉屋 本店」。この先も札幌の地で変わらぬ美味しさと和の伝統を伝え続けてくれることでしょう。


札幌 新倉屋 本店 
電話: 011-281-5191
住所:北海道札幌市中央区南2条西6丁目3番地
アクセス:札幌市営地下鉄「大通駅」から徒歩約10分 
HP: https://niikuraya263.thebase.in/about
SNS: https://www.instagram.com/sapporoniikuraya/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。