2024.03.31
長崎県最長の川である佐々川。その上流地域に位置する世知原町は、かつて炭鉱の町として発展していました。閉山された今では、涼しい気候と降水量の多さを利用したお茶の栽培が盛んな地域として発展しています。
世知原茶は蒸製玉緑茶という、長崎や佐賀地方の独特の製法で作られています。それは全国の緑茶生産量のわずか4%程度。また、生産から販売まで生産者が行うため、ほとんどのお茶は県内で消費される希少なお茶です。
働き方が多様化してきた現在、次世代の後継ぎがいないことが課題になっています。そこで、世知原町の木浦原地区に新しい挑戦をする茶農家があります。
「世知原茶として違う形で、もっと多くの人に届けたい。今までお茶を手に取らなかった若い世代の人に知ってもらえるきっかけになってくれたらいいなと思います。」
そう話すのは、代表社員の林由佳さんです。林さんは祖父の代から続く茶農家に生まれ、幼い頃からお茶が身近にある環境で育ちました。関東の美術大学へ進学の後、広告代理店のデザイナーとしてキャリアをスタートしました。
一方で、生まれ育った近隣の茶農家でも後継者がいないことが課題になっていました。そこで3つの茶農家で組合を結成し、生産だけでなく販売を開始。販売する際のパッケージデザインを、デザイナーとして働いていた林さんが携わることに。当時販売したお茶は佐世保がじらの前身ともいえる、お茶にハーブをブレンドしたものでした。
林さんは家業を継ぐという意識はあまりなかったとのことですが、販売に携わったことで「お茶を違う角度から楽しめる物があってもいいのではないか。お茶を売ることも楽しいかもしれない。」という想いが芽生え、家業の将来を考えるようになりました。 そこで誕生したのが、ティーブランド「佐世保がじら」です。
漢字表記は「雅自良」
気になるのは、“がじら”というまるでモンスターのような名前。
林さんが生まれ育った地域には同じ林性が多く、区別するために「がじらの林さん」と呼ばれていました。その名前をブランド名に採用しました。代々続く家業の課題解決のために新しい手法を模索し、あり方を壊していく姿はまさにモンスターそのもの。
「どうしてもお茶は高齢者の方が手に取るイメージがあって。今までにないお茶を作りたくてターゲットを絞りました。その時にキャラクターがある方がいいと思って愛猫をキャラクターにしました。」
佐世保がじらの特徴は、愛らしい猫のキャラクター(がじらねこ)のパッケージと目を惹くお茶の色。
商品には九十九島湾をイメージした「佐世保ブルー」や、佐世保の市花カノコユリをイメージした「佐世保かのこ」など、佐世保の思い出をお茶と共に楽しむことができます。
左:世知原産和紅茶 右:佐世保ブルー
働き方の多様化で新規参入が難しい茶農家。認知度を上げることが大切だといいます。
「びっくりされることも多いですが、まず目に留めてもらって、世知原茶というものがあるのか、と知ってもらえるキッカケを担えればと多います。」
2024年3月からホテルリソル佐世保の朝食会場でも佐世保がじらの和紅茶を楽しめるようになりました。また、フロントにて購入可能です。
お茶とハーブの香りが旅の思い出と、疲れを癒してくれます。
佐世保がじら合同会社
電話:0956-80-1235
住所:〒859-6406 長崎県佐世保市世知原町木浦原640番地
HP:https://gajira.shop/
SNS:https://www.instagram.com/sasebogajira/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。