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2026.01.20
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大阪市北浜(きたはま)の路地裏に佇む、大正時代の面影を残した一軒の古民家。木造の柱や土壁には時の流れが静かに刻まれ、庭を通る風もどこか懐かしい空気を運んできます。
ここは、130年続くガラス瓶メーカー、日本精工硝子株式会社が手がける “暮らしと再生” の発信地「GLASSOWA(グラソワ)」。店内には再生ガラスで作られた器やアロマグッズが並び、光を受けたガラスたちが控えめで美しい揺らぎを映し出しています。
また2025年から定期で古典「金継ぎ」のワークショップも開催。古民家、ガラス、金継ぎ。一見すると別々の要素のようですが、どれも「壊れてもなお、美しい」と感じられる心のありようを、私たちにそっと教えてくれます。

築100年の大正古民家を生かした店舗の外観
古民家の暖簾をくぐると、時間が緩やかにほどけていくような感覚に包まれます。
この建物は、豊臣秀吉の時代から薬の原料を扱う薬種問屋として町に根を下ろした旧宗田家の住居。京都から大工を招いて建て替えたという家屋には、ガラスのような艶をもつ七宝焼きの引き手や、魔除けの意味をもつハート形の猪目(いのめ)模様をあしらった連子格子(れんじごうし)など、随所に大正期ならではの美意識が息づいています。
取り壊しの予定を中止し、再生へと舵をきったのは先代社長の小西慈郎(こにし じろう)さん。「古いものを大切に残したい。」という一心から、叔母の想い出が詰まった家を守るため、図面や構造の痕跡を手がかりに当時の姿を生かしたリノベーションを進めたといいます。

店内の蔵に展示される昭和初期のガラス瓶
古い柱や梁(はり)は隠さずにあえて見せ、継ぎ目も“味わい”として取り込んだ空間には、ガラス戸の揺らぎや床の間の静けさ、壁に残されたかつての手仕事の数々が。細部にわたる一つひとつが、この場所の魅力を形作っています。
店内の蔵には、日本精工硝子が手がけてきたガラス瓶の展示が並びます。古民家という「暮らしの器」の中で、ガラスという「ものの器」の歴史が語られているのです。

丁寧に歴史をお話ししてくれた、清水さん
この空間を訪れた人がまず心を奪われるのが、棚に並ぶガラス瓶の美しさです。凛とした透明感と、思わず触れたくなるほどの滑らかな手触り。そこには、130年以上にわたりガラスと向き合ってきた企業の、静かなこだわりが込められています。
「求められるものを、求められる数だけ。お客様に必要とされるガラスを作ってきました。」そう教えてくれたのは、日本精工硝子で45年以上勤め、現在は金継ぎ講師を務める清水 曜介(しみず ようすけ)さん。

ジュースやジャムのパッケージとして使われる瓶
1895(明治28)年に創業した日本精工硝子は、シュガーポットやジュース瓶、化粧品用容器など、時代とともに変化するニーズに応じたガラス製品を一つひとつ丁寧に手がけてきました。今では、無添加調味料やオーガニックコスメといった「本質を大切にする」製品の器として選ばれることが多いといいます。

こだわりが詰まった透明感溢れるガラス瓶
ガラス原料には高純度の素材を使い、不純物を極力取り除くことで、曇りのない透明感を実現したものを使用しています。
「透明感と手触りには特に気を配っています。ほんの少しの違いが、製品の印象を大きく変えてしまうんです。」
そう話す清水さんの言葉からは、長年受け継がれてきた品質への責任感と、お客様に喜ばれるものを届けたいという誇りが感じられます。

金粉を蒔いて器に装飾する、金継ぎ体験の様子
磨き上げられたガラスが光を受けて輝く空間で、2025年新たに始まった取り組みとして訪れる人を惹きつけるのが「金継ぎ体験」。古民家や再生ガラスと同様に、新たに命を吹き込む“再生”というこの場所ならではの精神が息づいています。
「壊れたものが美しく蘇る感覚を、訪れる人に味わってほしい。」そんな願いから、この企画は生まれました。
割れた欠片を漆で接着し、研ぎ粉を混ぜた下地用の錆漆(さびうるし)で隙間を埋めて研ぎを重ね、艶を出すための黒漆でコーティング。赤みを帯びた装飾用の弁柄漆(べんがらうるし)で模様を描き、金粉で仕上げていく。そうした地道な工程を経て、少しずつ器は命を取り戻していきます。

弁柄漆でオリジナルの模様を描く
「体験いただくのは工程のほんの一部ですが、それでも同じ模様は一つとしてありません。金の線が川のようになったり、雷のようになったり。皆さん、自分の中にもつ景色を自然と映し出しているんでしょうね。」
壊れたことを隠すのではなく、受け入れ、美しさとして昇華させる。金継ぎは、まさに“再生の美学”と言っても過言ではありません。

完成した自分だけのオリジナル模様が描かれた器
100年の時を刻む古民家。130年の歴史を持つガラス。そして、再び命を吹き込む金継ぎ。一見異なるようでいて、どれも“再生”という言葉で結ばれています。
「ここにいると、まるで100年前の暮らしにタイムスリップしたような感覚になるんです。この空間で、こだわりのガラスを手に取り、400年続く文化に触れながら気軽に楽しんでいただけたら。」──清水さんの言葉が、深く耳に残ります。
「 GLASSOWA 」で出会えるのは、単なるものではなく「壊れてもなお、大切に使いたい。」と思えるものたち。「直し、触れ、継ぐ」 その体験が、暮らしの中にある“本当に大切にしたいもの”を、そっと思い出させてくれます。
GLASSOWA
電話: 06-6226-8360
住所:大阪府大阪市中央区伏見町2-4-4
アクセス: Osaka Metro堺筋線 北浜駅 から徒歩5分 Osaka Metro御堂筋線 淀屋橋駅 から徒歩5分
HP :https://glassowa.com
SNS:https://www.instagram.com/cuteglass_shopandgallery/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンクからご確認ください。