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2026.05.20
NEIGHBORS

大阪・北浜(きたはま)。近代建築が点在し、かつて商都として栄えたこの街には、時を重ねた建物と静かな時間が今も息づいています。
その一角に佇む、赤煉瓦が印象的な重厚な建物。1912(明治45)年、建築家・辰野金吾(たつの きんご)氏の設計によって建てられた「旧大阪教育生命保険ビル」です。赤レンガと花崗(かこう)岩から成る外観は、110年以上経った今もなお美しく、北浜の街並みに存在感を放ちます。

赤煉瓦が印象的な建物の外観
かつては保険会社や証券会社の本社、人気フレンチレストラン「シェ・ワダ高麗橋店」、結婚式場「オペラ・ド・メーヌ高麗橋」として時代を重ねてきたこの場所。
その後5年間、建物は静かに扉を閉ざしていましたが、2025年にフレンチレストラン「NELU高麗橋」として再び灯りを灯すこととなりました。建物の記憶を受け継ぎながら、新たな価値を“煉る”ように生まれ変わった空間では、伝統に新しい感性を重ねたフレンチとアフタヌーンティーが味わえます。

レストランマネージャー・ソムリエの柴田 育弘さん
「建物は街に根付いてきたもの。一時の流行ではなく、伝統の中の一部になれたらと思っています。」そう話すのは、「NELU高麗橋」レストランマネージャーの柴田育弘(しばた やすひろ)さんです。
この建物に新たな命を吹き込んだのは、“地域資産の再生と価値創出”を掲げる株式会社クレ・ドゥ・レーブ。前の結婚式場が撤退した頃から、この場所の存在は気になっていたといいます。しかし、コロナ禍という状況もあり一度は断念。それでも、「この建物を未来へ繋げたい」という思いが消えることはありませんでした。
「これだけの建物なので、無理に変える必要はないと思ったんです。」
そう柴田さんが話すように、「NELU高麗橋」では大規模な改装はあえて行っていません。以前のレストラン時代の内装も活かしながら、この場所が纏ってきた空気感を丁寧に受け継いでいます。

店名の「NELU」は、建物を象徴する“赤煉瓦”にちなみ、「煉る」という言葉から名付けられたそう。竣工から110年以上の時を刻む建物に、新しい価値を重ねています。
入口では、建物の中で長く受け継がれてきたステンドグラスが来訪者を迎え、天井にはイタリア・ムラーノ島で作られたシャンデリアが輝きます。壁には、かつての建物の姿を描いた絵も。建物が歩んできた歴史を尊重しながら、新たな役割を与えていく。「NELU高麗橋」という空間には、そんな“再生”の思想が流れています。

料理を手がけるのは、グランシェフの秋吉 博国(あきよし ひろくに)さん。大阪の名門フレンチ La・Baie(ラ・ベ) で研鑽を積み、その後ミシュランガイドで星を獲得したレストランを含む奈良のレストラングループで統括料理長を務めた経験を持つシェフです。
「この建物には、かつて地域で愛された『シェ・ワダ高麗橋店』が入っていました。同じフレンチとして入ることに、プレッシャーも大きかったと思います。」
そう話す柴田さん。それでも秋吉シェフは、建物を未来へ繋げようとする想いに共感し、この場所に立つことを決めたのだといいます。
「NELU高麗橋」が料理で目指すのは、「伝統と革新」の共存。メインにはクラシカルな技法を使いながら、前菜には遊び心を加えるなど、軽やかさと特別感の両立を大切にしているそう。食材は関西で手に入るものも積極的に取り入れ、この土地ならではの魅力を一皿に表現しています。

また、“おっ”と驚きがある料理を意識し、たとえば「アフタヌーンティーセット」に漬物を取り入れることも。器はクラシカルに、料理には意外性を持たせることで「NELU」らしい世界観を表現しています。

春はいちごをテーマにしたアフタヌーンティーを提供
そんな「NELU高麗橋」で多くの人を惹きつけているのが、季節ごとにテーマを変えながら提供される「アフタヌーンティー」です。
重厚な部屋の中に運ばれてくるのは、華やかなスイーツと軽食として楽しめるサンドイッチなどのセイボリー。季節感を大切にしながら、甘味だけに偏らない構成も魅力の一つ。また、個室でゆったりと優雅な時間を楽しめることも、この場所ならではの特徴です。

「ホテルとはまた別のプライベート感があります。歴史ある建物なので、この空間で味わうこと自体が特別な時間になるんです。」と柴田さん。
窓から差し込む柔らかな光。赤煉瓦の建物が纏う重厚感。空間に身を置いていると、時間の流れまでゆっくりと進むような感覚に。 建物が重ねてきた時間ごと味わうアフタヌーンティーが、ここにはあります。

赤煉瓦の壁に刻まれた時間と、そこに新しく重ねられる感性。
「NELU高麗橋」で過ごすひとときは、ただ食事を楽しむだけではなく、過去と現在が交差する“時間そのもの”を味わう体験です。
丁寧に仕立てられたアフタヌーンティーとともに流れる静かな時間。その余韻は、旅が終わったあともふとした瞬間に思い出されるはずです。
NELU高麗橋
電話: 06-4300-4236
住所:大阪府大阪市中央区高麗橋2-6-4
アクセス: Osaka Metro堺筋線 北浜駅 から徒歩3分
HP: https://restaurant.nelu.osaka/
SNS: https://www.instagram.com/nelu_restaurant/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先からご確認ください。