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2026.04.20

変わらぬ真心が生むやさしい味 — 大阪「神宗本店」が届けるだしと佃煮の余韻

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変わらぬ真心が生むやさしい味 — 大阪「神宗本店」が届けるだしと佃煮の余韻

大阪、淀屋橋は古くから水運が発達し、かつては北海道からの商船群・北前船(きたまえぶね)が往来するなど、豊かな海産物が行き交う町として栄えてきました。

1781(天明元)年、淀屋橋の東に位置する靭(うつぼ)の地(現、伏見町1丁目)で創業した「神宗(かんそう)」は、海産物問屋として昆布や干物を扱うことから歩みを始めました。素材を見極める商いの姿勢は、やがて佃煮やだしづくりへと受け継がれ、現在の味の礎となっています。

「淀屋橋本店」で提供されているのは、塩昆布や佃煮、だし、そして煮汁を使ったソフトクリームなどさまざま。味わいに共通するのは、主張しすぎないやさしさと、日々の食卓にすっとなじむ心地よさ。素材を見極め、手間を惜しまず、文化として伝えていく。その積み重ねが、今も変わらぬおいしさとして息づいています。

味の原点にある商いの姿勢

1902(明治35)年、移転先の「雑喉場(ざこば)店舗」開店の様子

1902(明治35)年、移転先の「雑喉場(ざこば)店舗」開店の様子

「神宗」の歩みは、誠実な積み重ねによって形づくられてきました。創業当時から大切にされてきたのは、“量よりも質を選ぶ”という姿勢です。

当時の海産物問屋には明確な格付けがあり、「神宗」はその中でも、質の高い干物や昆布を扱うことを許された問屋でした。初代の神嵜屋 宗兵衛(かんざきや そうべえ)氏が目指していたのは、一時の利益ではなく、質のよい素材を正しく扱い信頼を積み重ねていく商い。

良質なものを見極め真摯に向き合う姿勢は、時代を越えて受け継がれ、現在の佃煮やだしづくりへとつながっています。こうした積み重ねが「神宗」の味の根幹を成し、今も変わらぬ質へのこだわりを支えているのです。

妥協なき素材選びと、手間を惜しまない佃煮づくり 

今回お話を伺った「神宗」代表取締役社長の小山さん  

今回お話を伺った「神宗」代表取締役社長の小山さん  

「素材選びの基準はとても単純で、“おいしいと思えるかどうか”それがすべてです。」

そう語るのは、代表取締役社長の小山 鐘平(こやま しょうへい)さんです。「神宗」では、代表自らが北海道の産地へ足を運び、昆布を育てる現場を一つひとつ巡りながら、毎年仕入れる昆布を選んでいます。

わずか数キロ場所が違うだけでも昆布の味わいは大きく変わるため、自分の舌で確かめることを欠かしません。

そんな「神宗」の佃煮づくりは昆布、鰹節、煮干しでだしを引くところから始まります。煮つめる工程では直火を用い、火加減や仕上がりの見極めは、長年経験を積んだ職人の感覚に委ねられているそう。効率を優先するのではなく、時間がかかってもよりおいしくなる方法を選ぶ。その姿勢は、240年以上変わらず守られてきたものです。

「作り続けなければ、文化は失われてしまう。だからよいものを作り、世に伝え続けたい。」

その思いこそが、手間を惜しまず作り続ける理由であり、文化を次へ手渡すための原動力となっています。

伝統を今の暮らしへ届ける工夫 

「淀屋橋本店」限定の「塩昆布煮汁ソフトクリーム(五感「こぶしゃり」付)」

「淀屋橋本店」限定の「塩昆布煮汁ソフトクリーム(五感「こぶしゃり」付)」

「神宗」では、伝統を守ることだけではなく、その味を“今の暮らしの中でどう楽しんでもらうか”という視点を大切にしています。

店内併設のカフェスペースで楽しめる「塩昆布煮汁ソフトクリーム」や、手軽に日常使いができるだし商品など、新しい試みもその一つ。 形は変わっても、軸にあるのはだしの旨みです。

手軽に昆布に触れてもらえるよう、開発された卵かけごはん用昆布

手軽に昆布に触れてもらえるよう、開発された卵かけごはん用昆布

若い世代や幅広い層にも親しんでもらうため、味はそのままに、切り口を変える。だしや乾物の文化が日常から少し離れる今だからこそ、そのおいしさを伝える工夫が、「神宗」のあり方を形づくっています。

五感で味わうやさしい時間

明治以前の建物を思わせる落ち着いた佇まいの店内

明治以前の建物を思わせる落ち着いた佇まいの店内

「神宗」が商品づくりと並んで大切にしているのが、だし文化そのものを伝える場をつくること。その想いを形にしたのが、淀屋橋に構える本店です。

本店は、単なる買い物の場ではありません。だしの香りに包まれながら、味わい、知り、体感することで、日本の食文化に自然と触れられる空間です。大阪でだし文化に向き合える場が少なくなっているからこそ、ここから伝えていきたいという思いが込められています。

店内で試飲することができる5種の「美鍋」のおだし

店内で試飲することができる5種の「美鍋」のおだし

店内では、にゅうめんの試食や煮汁を使ったソフトクリームのイートインコーナーに加え、天然だしとスパイスによって作られる「美鍋」のだしを試飲することも可能。視覚、香り、味覚から“だし”を楽しむことができます。だしを「買う」だけでなく、「感じる」。本店は、「神宗」が長きにわたって育んできた味と文化を、次の世代へとつなぐための場所なのです。

食を支える乾物文化を、次の世代へ     

昆布や鰹節といった乾物文化は、日本の食の根幹を支えてきました。その価値を次の世代へ手渡していくことが、「神宗」の使命でもあります。よいものを作り続けること。その姿勢が、今日の一品一品に込められています。

「神宗」の佃煮や塩昆布、そして立ちのぼるだしの香りには、240年を超える歴史の中で育まれた真心と技が感じられます。旅の途中で立ち寄り、そのやさしい味わいに触れるひとときは、日常を少し離れ、自分の感覚を静かに取り戻す時間となるでしょう。


神宗 淀屋橋本店 
電話: 06-6201-2700 
住所:大阪府大阪市中央区高麗橋3丁目4番10号(淀屋橋センタービル1階)
アクセス: Osaka Metro 御堂筋線 淀屋橋駅から徒歩2分 
HP: https://kansou.co.jp/ 
SNS: https://www.instagram.com/kansou_osaka_official/ 

*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先からご確認ください。