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2024.09.17

日本の食パン発祥の店を訪ねる〜横浜で愛されるベーカリーショップ「ウチキパン」〜

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日本の食パン発祥の店を訪ねる〜横浜で愛されるベーカリーショップ「ウチキパン」〜

1859年の開港以来、外国の文化を取り入れながら日本の文明発展を支えてきた横浜。そんな街で明治から続く「ウチキパン」は、日本で初めて食パンを作った老舗ベーカリーなのだとか。

元町・中華街駅から徒歩4分。商店街へと歩を進めると見えてくる、ノスタルジックで大きな看板がウチキパンの目印です。

食パンの始まりは、横浜の小さなベーカリーショップだった

香ばしい小麦の香り。トーストの表面にはほんのりと焦げ目がついています。カリッと音を立てながらかじると、中にはふんわり、真っ白い生地が。口いっぱいに優しい甘さが広がります。

「イングランド」は、ウチキパンの看板商品。“日本の食パンの発祥”と言われています。創業当時から136年、4代にわたって受け継がれてきました。

「ウチキパンの始まりは1888年(明治21年)。初代の打木彦太郎が『ヨコハマベーカリー宇千喜商店』という名前でオープンしたのが始まりだと聞いています。」

そう話すのは、現在ウチキパンの工場長を務める打木豊さん。横浜は開港以来、外国人の居留地としても栄えた街。初代はもともと、イギリス人のロバート・クラークさんという方が横浜で営んでいた「ヨコハマベーカリー」で10年ほどパン作りの修行をしたそうです。

その後、ウチキパンとして独立・創業。同時に販売を始めたのが「イングランド」なのです。

136年、手間がかかっても作り続けてきた

パン作りに欠かせない酵母。イースト菌が発見されていなかった創業当時、ウチキパンではホップ種を使って酵母を作っていたのだとか。

「ホップ種から酵母を作るだけでも、4日かかるんです。35〜6度で混ぜながら、材料を足して足して……4日目にやっと出来あがる。そこからパンを作るために、じっくり発酵させます。ホップは、他と比べて発酵にも時間がかかるんです」

現在、ウチキパンでホップ種を使用しているのはイングランドだけ。創業当時から製法を変えずに作り続けています。「すごく手間がかかるんですけどね」と打木さんは笑います。

それでもなお、この製法で作り続けるのはなぜなのでしょうか。

「以前、転勤で遠方に引っ越したお客様がいたんです。定年で横浜に戻り、またうちへ来てくれて。『久しぶりにイングランドを食べて、昔を思い出した』と言ってくれました。これは変えちゃいけないものだと、改めて思ったんです」

食パンは、お店で好きな厚さにカットしてもらえます。イングランドは厚切りにするのが打木さんのおすすめ。トーストにすれば外はサクッと、中はもっちりとした食感が楽しめます。半分はバターを塗らず、小麦の味を楽しむのもおすすめです。

もちろん、食パンの他にも店内には商品がずらり。70種類ほど並べられた商品たちは、お客様の声に合わせて選ばれ続けてきたものばかりです。

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“変わらずに”届ける。これまでも、これからも

「変化していかなければならないものがある一方で、変えてはいけないものがある」打木さんは言います。
手間がかかってもこだわり続けるのは、求めてくれる人がいるから。店内は常連さんで賑わっています。観光客でも、リピーターの方も多いのだとか。

「パン作りもこの店も、変わらずに続けていく。特別なことより何より、一番大切なことだと思うんです」

謙虚にシンプルに、しかし確固たるその想いが、ウチキパンをつないできました。街も世の中も変わり続けます。その中で“変わらない”という選択は決して簡単なことではありません。
それでもなお、ウチキパンは変わらない。扉を開けばいつもと同じ、どこか懐かしいあの香りが今日も優しく出迎えてくれます。


ウチキパン
住所:神奈川県横浜市中区元町1-50
アクセス:みなとみらい線 元町・中華街駅 5番出口から徒歩4分/JR根岸線 石川町駅から徒歩11分HP:https://www.uchikipan.co.jp/
※営業時間や定休日についての詳細は上記のリンク先にてご確認ください。