2024.04.30
海外に旅行に行くと必ずと言っていいほど見かけるトヨタ自動車。日本国内だけにとどまらず、世界に誇る日本の自動車産業の発祥地がここ愛知にあります。トヨタ自動車といえば、愛知県の豊田市に本社があるイメージが強いのですが、実はここ「トヨタ産業技術記念館」がある名古屋市の繊維工場から世界のトヨタのストーリーは始まっていきます。いずれも近代の日本の発展を支えた基幹産業ですが、今もなお発展を続ける自動車技術の変遷を体感できる場所として人気の「トヨタ産業技術記念館」を訪れました。
「繊維機械館」と「自動車館」をベースに様々な展示や体験ができるコーナーがあり、多くの外国人観光客も訪れる「トヨタ産業技術記念館」。ものづくりの文化が根付くこの愛知で、「研究と創造の精神」と「モノづくり」の大切さを伝えるこの場所は愛知・名古屋を知る上で見逃せないスポットです。
トヨタ自動車は繊維産業を担う名古屋の工場から始まった
江戸時代に行われていた糸紡ぎの実演を解説付きで見学することができる
「繊維機械館」では、江戸時代に行われていた糸紡ぎの実演を解説付きで見学することができます。綿花から糸になっていく過程を実際に見ることができ、綿の性質を理解することができます。
実は、機械化された今でも同じ工程で行われているため糸紡ぎの原理原則は同じです。江戸時代には1人が紡ぐ糸はわずか1本、機械化が進むにつれて、1人が扱える機械の台数も増え、製造できる量が増えて行く過程は圧巻です。紡績機には細部にまで工夫やアイデアがあり、その探究心と情熱には心打たれるものがあります。
豊田佐吉が23歳の時に発明した人力の織機「豊田式木製人力織機」
繊維機械館の中でも存在感があるのが「豊田式木製人力織機」です。トヨタグループの創始者、豊田佐吉が23歳の時に発明した人力の織機です。手と足を使い、巧妙な設計で布ができていく仕組みには目を見張るものがあります。この織機で初めての特許を取得し、その後も工夫を重ね、織布業の産業化に著しく貢献していきます。1人が生産できる量を増やしながら、不良品を出さないためにはどうすればいいのかを工夫し常に「改善」を目指す情熱がひしひしと伝わってくる展示になっています。
受け継がれる「研究と創造の精神」が日本の自動車産業を生み出す
トヨタグループの創始者である佐吉の精神を引き継ぎ、トヨタは繊維産業から自動車産業へ活躍の場を広げていきます。
佐吉の長男であり、トヨタ自動車創業者である喜一郎は繊維機械製造の経験から鋳造にも自信があり、1933年から本格的に自動車製造に取り掛かりはじめます。試作と研究を重ねトヨタ初のエンジンを完成させ、ボデー部分の最初の試作はなんと手叩き板金でした。そして最初のA1型試作乗用車が1935年に完成し、3年後に量産と販売体制を整えていきました。
トヨタ初のトラックも完成させますが、完成から発売までのスピードが短かったため故障が多発します。しかし、故障が発生するたびに喜一郎も現場に駆けつけ対応していたことが、後のトヨタの「お客様第一」の文化の醸成へと繋がっていきます。
当初は熟練の職人を要しましたが、改善と工夫を重ね生産台数を増やしていきます。ロボットを自社開発し出した1980年代から現在に至るまでの生産過程の変遷を実物大の展示で陳列されているこちらのコーナーでは、そのスケールの大きさに圧倒されながら、機械の均一な動きに足が止まります。
感動を持ち帰ることができるお土産も必見
日本のモノづくり文化を醸成したトヨタグループの誕生の歴史はとても深く、この記念館を訪れることでゆっくりと学ぶことができます。
繊維機械館で実演時に織られた布地は、ポーチなどの商品に加工され、ミュージアムショップで販売されています。手頃な価格でたくさん購入できることもあり、外国人観光客には人気の一品です。
トヨタ往年の名車がイラストとなって包装された「クルマニア メープルバタークッキー」は一番人気のお土産です。トヨタの歴史を学び、可愛いお土産も手に入る「トヨタ産業技術記念館」。受け継がれる「研究と創造の精神」を感じることができました。
店舗名:トヨタ産業技術記念館
電話番号:052-551-6115
住所:〒451-0051 名古屋市西区則武新町4丁目1番35号
アクセス:名古屋本線「栄生駅」下車、徒歩3分
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。