2024.07.30
名古屋の喧騒から一歩離れた那古野町にある円頓寺商店街は、名古屋で最古の商店街の一つとも言われている歴史あるエリアです。その静かな街角に、訪れる人々の心を温かく迎える場所があります。オーダー靴・靴修理専門店のAntico Ciabattino(アンティコ チャバッティーノ)。
ここは、靴の製作と修理を通じて、人々が交流し、つながりを感じる場所として愛されています。大きな窓ガラスからは、革靴職人の浅岡洋さんが真剣なまなざしで革靴と向き合っている様子が伺えます。扉を開けると、革の香りと暖かな表情の店主浅岡さんが迎えてくれます。靴を通して、命を大切にし、人との絆を感じられる場所にしたいという店主の思いが、ここには詰まっています。
Antico Ciabattino(アンティコ チャバッティーノ)の始まりの物語は、店主の浅岡さんがサラリーマン時代に遡ります。元々既製の靴が自分の足に合わないことに悩んでいた浅岡さん。靴の学校を見つけ、革靴職人の道へと進むことを決意しました。学校を卒業後は、「靴職人の靴修理店」をコンセプトに靴製造から修理まで一貫して業務を行うお店「Antico Ciabattino(アンティコ チャバッティーノ)」をオープン。イタリア人の友人が考えてくれたという店名はイタリア語で古い靴職人、靴修理人という意味があります。
浅岡さんにとって、靴を作ることは単なる仕事ではありません。一足の靴が完成するまでの全ての工程に携わり、最後にお客様にお渡しする瞬間まで、自らの手で仕上げることには大きな喜びがあると語る、浅岡さん。お客様の満足した顔を見ると、ほっと胸を撫で下ろすと同時に、深い達成感があると嬉しそうに語ってくれました。オーダーメイドの靴は一生もののプレゼントとしても喜ばれ、その後も修理などを通じてお客さんとは長い付き合いが続きます。
創業当時から行っている手作り靴教室を始めた理由は、靴作りを通じて人と人がつながる場所をつくることだったと語る浅岡さん。手作り靴教室では、参加者同士の交流の場としても人気です。革の特徴や使い方を学びながら、自分だけの一足を作り上げる過程で、自然と人々の絆が深まっていきます。10年以上通うベテランの方もおり、家族や友人のために靴を作ることが彼らの日常になっています。
また、Antico Ciabattino(アンティコ チャバッティーノ)では靴修理やオーダーメイドの靴製作だけでなく、その制作過程で余ってしまう革を有効活用したワークショップも開催しています。円頓寺商店街がメディアなどに取り上げられて以降、海外からの訪問者も増え、週末は観光のお客さんで賑わっています。
ワークショップの中でも特に人気なのが「アコーディオンポーチ」。すでにカットされているパーツから好きな素材を選び、金具を使用して組み立てていきます。
自分オリジナルの模様を皮に刻印することもでき、短時間のうちに、様々な工程の基礎に触れることができます。
地域活性化の一環として、販売を開始したのが「那古野雪駄」。一宮の尾州織物の生地を使用し、名古屋の工房で一つ一つ手作りされています。靴作りと雪駄の技術が融合し、色とりどりのオリジナルの鼻緒が特別感を感じさせてくれます。和装にも普段使いにも適したこの履き物は、全国からも注文が途絶えることなく、2018年に販売を開始してから多くの人々に愛されています。「この那古野セットを通じて、地域の伝統と文化を広めることにも力を入れていきたいと。」と、浅岡さんは語ってくれました。
平日はゆったりとした時間の中で、地元のサラリーマンがふらっと立ち寄り、靴磨きのついでに店主の浅岡さんとたわいもない会話や靴の悩み相談に花を咲かせます。そんな温かい日常が広がるAntico Ciabattino(アンティコ チャバッティーノ)。浅岡さんは、細やかなアドバイスと共に、地域の人々とのつながりを大切にしています。
那古野町の一角で、靴を通じて人と人が関わり合い、温かい絆が広がる場所がここにはありました。
店舗名:オーダー靴・靴修理専門店のAntico Ciabattino(アンティコ チャバッティーノ)
住所:〒451-0042 愛知県名古屋市西区那古野1丁目21−21 ハモニカ荘 1C号室
アクセス:名古屋駅から徒歩15分
instagram:https://www.instagram.com/antico_ciabattino/
HP:https://anticociabattino.com/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。