2024.04.15
和孝 風情ある町並みが広がる円頓寺商店街。家康が行った清州越し以降、堀川・美濃路沿いにこの地域があったことから、古くから栄え、寺社の門前町としても発展してきました。現在は、明治創業の老舗店と共に、個性的な新しいお店も軒を連ねています。名古屋駅と名古屋城の中間、長久山圓頓寺の門前に位置し、高層ビルの立ち並ぶ近代的な街並みとは異なる、穏やかな雰囲気が魅力です。シャッター商店街としての一時期を経て、最近では再び活気を取り戻し、円頓寺商店街は変わりゆく時代に対応しつつ、その魅力を脈々と受け継いでいます。
そんな円頓寺商店街の一角にある喫茶まつばでは、平日の昼間にも拘らず次から次へとお客さんが来店し、後を絶ちません。喫茶まつばは名古屋で一番古くから続く喫茶店としても有名ですが、名古屋飯の一つである『小倉トースト』発祥の店「満つ葉」の暖簾分けの店でもあります。そんな喫茶まつばの魅力を探っていきます。
コーヒーが主役の喫茶店
喫茶まつばの店内は、新しく綺麗な外観でありながらどこか懐かしさを感じる雰囲気が漂っています。店内には引き立ての新鮮なコーヒーの香りが満ちており、ゆったりした時間が流れています。お客様の年齢層も幅広く、仕事をする人やおしゃべりを楽しむ人など様々です。
「コーヒーが主役の店にしたかった」と語る店主の舟橋和孝さん。ランチメニューはなく、主役のコーヒーを楽しむためのフードやデザートメニューを厳選し提供しています。喫茶まつばのコーヒーは鮮度を大切にしているため、オーダーが入ってから、豆を引いて、抽出しています。そんな店主の好みはスッキリとした後味がクリアなコーヒー。店主こだわりのブレンドコーヒーにちょうどいいサイズのデザートをいただくと、このコーヒーの味わいをより一層楽しむことができます。
自家焙煎のコーヒーへのこだわり
三代目店主の舟橋さんは、喫茶店にコーヒーを卸す会社で勤め、約10年ほど焙煎業務に携わってきました。会社員時代に、コーヒー教室を開催しコーヒーの飲み比べをした際に、1人1人美味しいと感じるものが違うことに驚き、これだからいいという固定概念に縛られないことが大切だと気づいたと語ります。喫茶まつばでもできるだけ多様なコーヒーを知ってもらいたいという思いから、タイプの違う豆を揃えています。船場さんのコーヒーへの一番のこだわりは鮮度と焙煎。コーヒーの味を損ねてしまう要素はたくさんあり焙煎時に味が劣化してしまうことが多いため、いかにコーヒーの味を損ねないかが焙煎のポイントだと教えてくれました。
円頓寺商店街と喫茶まつば
円頓寺商店街はかつては活気ある商店街でしたが、一時はシャッター商店街と呼ばれるほど人通りが少ない時期がありました。それでも地域に密着し、地元のお客さんを大切にしてきた喫茶まつば。毎日来られるお客さんも2代目、3代目とバトンタッチで喫茶まつばに通ってくれていると、舟橋さんは語ります。人通りが少ない中でも愛され続けてきた喫茶まつばですが、ここ10年ほどで状況は変わってきたと、店主の舟橋さん。
地域一帯に長屋が残っており、タイムスリップしたようなレトロな雰囲気が再び注目され、商店街に活気が戻ってきました。「この街で商売を始める若い世代が増え、若い世代の人たちが商店街を盛り上げてくれている」と微笑む舟橋さん。再開発でもなく、急激な変化でもなく、穏やかに活気が復活している円頓寺商店街と、長く愛される喫茶まつばは今日も街の人々の営みを支えています。
店舗名:喫茶 まつば
電話番号:052-551-0669
住所: 〒451-0042 愛知県名古屋市西区那古野1丁目35−14
アクセス:地下鉄桜通線国際センター駅より徒歩4分
インスタグラム:https://www.instagram.com/matsuba1933
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。