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2024.06.30

伝統の祭りを未来へと繋ぐ「博多祇園山笠」

EVENTS

伝統の祭りを未来へと繋ぐ「博多祇園山笠」

福岡の夏を彩る「博多祇園山笠」。山笠は博多の総鎮守・櫛田(くしだ)神社にまつられる祗園神に対して奉納される神事です。国の重要無形民俗文化財としても名高く、2016年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。

その歴史は780余年にも及び、諸説ある起源の中で広く知られているのは、聖一国師(しょういちこくし)が1241年に疫病退散のため施餓鬼(せがき)棚に乗って祈祷水をまいたのが始まりという説です。

毎年7月1日から15日までの2週間にわたり博多の街を賑わす伝統のお祭り「博多祇園山笠」について、中洲流(ながれ)に関わって18年目となる筒丸貴行(どうまるたかゆき)さんにお話を伺いました。

準備段階から祭りに魂を宿す

中洲流の”飾り山”を置く山小屋は毎年ホテルリソルトリニティ博多の横に設置される

中洲流の”飾り山”を置く山小屋は毎年ホテルリソルトリニティ博多の横に設置される

山笠には勇壮な舁(か)き山と豪華絢爛な飾り山があり、博多の町を駆け巡る舁き山は七つの流により奉納されます。2024年の三番山笠を担当している中洲流は毎年舁き山と一緒に飾り山も建設しているのが特徴です。


「山笠は、博多の人々にとって特別な存在です。その準備には多くの労力と時間がかかりますが、祭りの魂を育む大切な期間です」と語るのは中洲一丁目の衛生を担う筒丸さん。今年は中洲流の当番町として庶務を務め、準備から本番までの全般作業に従事する重要な役割を担っています。


人形飾りの制作や飾り山の組み立てなどの準備だけでなく、参加者への連絡や法被(はっぴ)の手配も役割の一つです。「法被や締め込み姿は単なる衣装ではなく、我々のアイデンティティそのものです。中洲流は全町が統一した法被を着るので、皆が集結したときの一体感は素晴らしいですよ。」と筒丸さん。

参加者の努力と情熱により継承される絆

6月中旬に山小屋の建築や作業の安全を祈願する”小屋入り”が執り行われた

6月中旬に山小屋の建築や作業の安全を祈願する”小屋入り”が執り行われた

山笠は以前は女人禁制でしたが、現在は山をつくる飾り師に女性が就くなどの変遷を遂げています。老若男女問わず幅広い年齢層が参加する祭りとして伝統が受け継がれていきます。


子どもたちは父親に連れられるなどして幼少期から祭りに親しみ、徐々に役割を受けながらその絆を知っていきます。山笠は子どもたちにとって重要な学びの場でもあり、協力し合うことや伝統を重んじる心を育むのです。

各流では新たな参加者も積極的に受け入れています。「私が所属する一丁目の参加者は約70〜120人、中洲全体で700〜1000人程度の参加者がいます。少子化の影響で参加者が不足する年もあったようです。今は80歳近いベテランもいる中で、役員として最初に授かる”赤手拭い”を身につけた10〜20代の参加者が山笠を支えてくれています」


「山笠は単なる祭りではなく、我々の歴史と文化を次世代に引き継ぐための重要な機会です。そのため、未来の担い手にも山笠が楽しいと思ってもらうことが大切だと考えています」と筒丸さんは話す。 

博多の誇りが輝く見どころ満載の山笠

6月26日中州流統一の”水法被”を着た参加者によって山笠台の上に舁き棒を設置する”棒締め”が行われた

6月26日中州流統一の”水法被”を着た参加者によって山笠台の上に舁き棒を設置する”棒締め”が行われた

山笠には多くの見どころがあります。箱崎浜に真砂を取りに行く「お汐(しお)井とり」などの行事もありますし、7月10日の「舁き出し」から15日のフィナーレ「追い山笠」までは各所で賑わいが増していきます。街中を練り歩く山笠の姿や、参加者の法被と締め込み姿も恒例の見どころの一つです。


特に15日の追い山笠(おいやま)で櫛田神社から舁き山が出発する瞬間は祭り最大の見どころです。「山笠を担いだ舁き手が掛け声と共に一斉に駆け出すときの迫力は、言葉では表現しきれないほど。まさに圧巻です」と筒丸さんは微笑む。「櫛田神社以外にも広い道から山笠を見渡せる大博通り、舁き山が目の前に迫る東町筋や西町筋もおすすめの見物スポットですね」

また、飾り山の制作過程を間近で見られるのも大きな魅力の一つです。職人たちが丹念に仕上げる人形や飾り山の細部には、その技術と想いが込められています。山は毎年人形師により新しくつくり変えられており、2024年の中洲流の題材は舁き山が「幕末の火消し頭領 新門辰五郎」、飾り山は「奇襲 桶狭間」です。毎年誰もが7本の舁き山と13本の飾り山のお披露目を楽しみにしています。

「15日の追い山笠だけでなく、祭りの経過を知ることで、山笠の奥深さを感じることができます。ぜひ様々な行事に参加しながら、山笠の熱気と興奮を感じて欲しいです」

祭りを受け継ぐ者にとっての「博多祇園山笠」

2024年の中州流の舁き山と中洲一丁目の役員の皆さん  左)衛生:筒丸貴行さん 中央)取締:柴田武さん 右)若手頭:瓜生洋一さん

2024年の中州流の舁き山と中洲一丁目の役員の皆さん  左)衛生:筒丸貴行さん 中央)取締:柴田武さん 右)若手頭:瓜生洋一さん

山笠は単なる伝統行事に留まらず、博多の人々の心と歴史を象徴する重要な祭りです。筒丸さんをはじめ、多くの人々の努力と情熱によって支えられているこの祭りは、未来へと続く架け橋としての役割も果たしています。


「山笠は、我々の魂そのものです。そして、山笠で得た幅広い仲間との絆はかけがえのないものです。県外に転出した者も、この時期には福岡に戻ってきて集い合えるのも嬉しいですね。これからも変わらぬ情熱を持って、次世代に山笠の魅力を伝え続けていきたい」と語る筒丸さんの言葉には、深い愛情と誇りが滲んでいました。


「博多祇園山笠」の文化は今後も博多の街を鮮やかに彩り続け、その鼓動が絶えることなく未来への希望として受け継がれていくことでしょう。


博多祇園山笠振興会

 

電話番号:092-291-2951

 

住所:福岡県福岡市博多区上川端町1-41 博多総鎮守 櫛田神社内

 

アクセス:ホテルリソルトリニティ博多より徒歩7分

 

HP::https://www.hakatayamakasa.com/

 

*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。