2024.08.31
EVENTS
昔の中洲は音楽とともにエネルギーが溢れており、休日は子どもも大人も一緒に賑わっていました。もう一度その頃の活気を取り戻したいとの想いで始まったのが音楽イベント「中洲JAZZ」です。
中洲地域の「安全、安心な街づくり」を推し進める中洲町連合会と、「福岡の新しい観光コンテンツの創造」を目指す福岡青年会議所がコラボして生まれたこのイベントを16年間牽引し続けているのが、中洲JAZZ実行委員会の運営専務中間浩史さんです。
かつての中洲は、福岡市内でも特に活気ある地域でした。昼間から家族連れが集まり、地域全体が笑顔に満ちていました。しかし、時代の流れとともに、中洲のイメージは徐々に「夜の街」に変わっていきました。歓楽街としての側面が強調される中で、昼間の賑わいは減少し、治安への懸念も広がりました。
この現状に危機感を抱いたのが、中洲町連合会と福岡青年会議所のメンバーでした。
「中洲を再び安心して楽しめる街にしたいという強い思いから、中洲の再生を目指すプロジェクトを立ち上げることになりました。」そう話す中間さんは、中洲で起業をしたことを契機に、中洲へのへの愛着や誇りを持ち、このプロジェクトに尽力されてきました。
「私たちが中洲再生の手段として選んだのが音楽のイベントでした。音楽こそが人々の心を結びつけ、街を再び活気づける力を持っていると考えたのです。」中間さんたちは中洲の歴史的な背景を徹底的に調査し、音楽の中でも特にジャズこそ中洲で開催するイベントに最適なジャンルだと確信しました。
「初期の構想では、路上でのストリート・ジャズイベントを考えていました。しかし、偶然にも日本を代表するジャズ・トランペッターの日野皓正(ひのてるまさ)氏が参加することになったんです。実はこのことがきっかけとなりイベントの規模が一気に拡大し、大きなステージイベントへと発展しました。」と中間さん。こうして、福岡市の中心にある中洲のイベントが初回にして驚くほど多くの人々の注目を集めることになったのです。
中洲JAZZの大きな特徴の一つは、完全に無料で開催されていることです。この無料開催には、中間さんをはじめとする運営メンバーたちの「すべての人に音楽の喜びを届けたい」という強い想いが込められています。運営はボランティアで行われ、アーティストもその精神に共鳴し、自由に演奏を楽しめる場として中洲JAZZでの演奏を希望し続けています。
「アーティストの選定には、ライブハウスのオーナーやイベント制作会社の専門家で構成されたチームが関与しています。彼らがその年のテーマに合わせてプログラムを厳選し、参加する演者がより中洲の街を盛り上げるような工夫を考えてくれています。」と中間さん。ボランティアで活動する有識者によって、中洲JAZZは毎年訪れる人々に新たな感動を提供し続けているのです。
「中洲JAZZのもう一つの魅力は、予定外のセッション演奏です。公式プログラムでは決まっていないアーティスト同士が、ステージや路上で即興的に共演するのが中洲JAZZの醍醐味と言えますね。無料のイベントだからこそできることなんです。」偶然のセッションによって生まれる予測不可能な音楽の楽しみ方は、アーティストにとっても観客にとっても中洲JAZZならではの特別な体験となっています。
この時間や場所に縛られない即興演奏こそ音楽の持つ力を最大限に引き出し、演者と観客の一体感を生み出すことに繋がります。中洲JAZZの観客は、まるで街全体が一つのライブハウスであるかのような感覚を味わいながら、音楽を楽しむことができるのです。
「中洲JAZZの運営は完全にボランティアによって支えられているので、実行委員会のメンバーは、仕事や家庭の合間を縫って準備を進め、当日も尽力しています。スタッフみんなのイベントを成功させたいという情熱が大きな力となっています」
運営資金はスポンサーからの寄付やグッズ販売で成り立っていますが、イベントに必要な費用は想像を遥に上回ります。道路封鎖や約10万人の参加者の警備態勢など、イベントが賑わうほど必要な準備も膨大になります。「年々大変になってもなんとかイベントを続けている理由は、何よりアーティストや観客の笑顔です。参加してくださる皆さんが心の底から楽しんでいるのが伝わってくるから、またやろうと思えます」と、中間さんは笑顔で語ってくれました。
「今年の目玉は故八代亜紀さんへ敬意を示すトリビュートバンドです。例年以上に豪華なメンバーでバンドが結成され、昨年亡くなった八代さんへの追悼演奏が予定されています。彼女は日本の歌謡界を代表する存在であり、その影響力は音楽の枠を超えて広がっています。彼女の音楽を愛するファンや訪れる全ての人にとって、今回のトリビュートバンドの演奏は特別な時間になると思います。」
さらに、今年は中洲JAZZ公式クラフトビールの販売も予定されているそう。地元の醸造所で特別にブレンドされたビールは音楽を楽しむ人々の喉を潤し、イベントにさらなる彩りを添えること間違いありません。
「観光のために中洲に泊まるのであれば、絶対に中洲JAZZの日をおすすめします!中洲JAZZは日本一面白いジャズイベントです」そう言い切る中間さんの瞳は熱く輝いていました。
「このイベントを次の世代に引き継ぐことも必要だと思っています。若手メンバーや業界関係者が参加してくれること、更に新しいことに取り組んでいきたいです」
中洲JAZZは経済的にも文化的にも地域に大きな影響を与えています。純粋に音楽を楽しみたいと全国から集まるアーティストや観客の想いが続く限り、中洲JAZZはこれからも中洲街の活性化に貢献していくことでしょう。
中洲JAZZ実行委員会
住所:福岡市博多区中洲5-1-22 松月堂ビル2F
アクセス:当日の開催ステージはホテルリソルトリニティ博多付近
HP: https://nakasujazz.net/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。