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2025.05.01
EVENTS
桜の季節が過ぎやわらかな陽光が差し込む頃、博多の街に特別な空気が流れます。毎年5月3日・4日は福岡市民の祭りである「博多どんたく港まつり」が開催されます。商店街のショーウィンドウにはカラフルな装飾が揃い、気づけば市内全体が祝祭の渦に包まれるのです。今年で64回目を迎える博多どんたく。昨年は2日間とも晴天に恵まれ、5年ぶりに観光桟敷席が設置されるなどコロナ以前の盛況を取り戻しました。今回はそんな博多どんたくの魅力を紐解いていきましょう。
「どんたく」という不思議な響きのこの祭り。名前の由来は、オランダ語の“Zondag(ゾンターク)=休日”にあります。起源は博多の人々が商売繁盛や無病息災を願って行った「松囃子(まつばやし)」とされ、なんと800年以上の歴史を持ちます。現在、松囃子は国の重要無形民俗文化財に登録されています。江戸時代には藩主に年始の挨拶をする行事となり、明治以降は市民参加型の祝賀イベントとして続いてきました。
「時代ごとに形を変えながらも、変わらないのは 『みんなで祝う』という心です。中止の危機に見舞われたこともありながら、そのたびに市民の力で復活を遂げてきました。どんたくは単なる観光イベントではなく、博多という街の“アイデンティティ”そのものなのです。」そう話すのは福岡市民の祭り振興会の野間口芳寛(のまぐちよしひろ)さん。博多どんたくは約10名の少数精鋭で運営しており、野間口さんもお祭り期間はほとんど専属でイベントの運営や進行を担われています。
5月3日・4日は博多の中心街が歩行者天国となり、メインストリートに特設ステージや演舞台が出現します。色とりどりの衣装に身を包んだどんたく隊が太鼓や笛の音にあわせて行進するパレードの様子は、まさに「街が踊っている」ような圧巻の光景です。
「パレードはどんたくの一番の人気イベントです。参加者も増加し、近年では約200団体、1万8000人規模となりました。歌や踊りなど行進の形態は様々で、どんたくのシンボルであるしゃもじを使ってパフォーマンスをする団体などもあります。今年も多種多様な出演者のエントリーがあり、本番が楽しみです。」と野間口さん。
「どんたくのパレードは一方通行なのが特徴で、出発から終了まで前進するのみです。中州と天神をつなぐ西大橋や大丸付近では、遠くまで見通せるため、複数のどんたく隊列を一度に見ることができます。また、アクロス福岡近辺のカーブも迫力があり、見どころです。」
博多どんたくの楽しみの一つは、“観る”だけではなく”参加”できることです。事前に登録すると参加できるパレードは市民団体・学校・企業などが一体となって盛り上がり、まさに誰もが主役になれる魅力があります。また、どんたくのフィナーレを飾る総おどりは飛び入り参加が可能な催し。老若男女が一堂に会し、笑顔で踊る姿には地域の一体感を感じることができます。非日常と日常が混ざり合う2日間は、まるで街全体が一つのステージとなる“祝祭劇”のようです。
歴史と伝統があるこの祭りを陰で支えているのは、福岡市民の祭り振興会や地元企業、市民ボランティアの人々です。
「コロナ禍では中止になり、その後は規模を縮小して開催をしました。昨年はようやく制限のない開催となり、遂にどんたくが戻ってきたという印象です。準備には何ヶ月もかかりますが、それでも祝賀行事として毎年開催することに意義があるんです。」と野間口さんは真剣な眼差しで答えてくれました。
大規模な街中でのイベントであるため、様々な困難にも直面すると言います。天候が著しく悪い場合は中止の判断をすることもありますが、小雨程度であれば開催は決行されます。また、安全面についても、厳重に対応されているそう。「警察や警備会社との綿密な連携を重視し、参加者や観客の安全確保を最優先しています。熱中症対策や緊急時の対応など、様々なリスク管理を行っているんです。」
出演者の衣装合わせや演舞の調整、交通規制や安全管理まで、すべてを調整しながら走り続ける。その姿はまさに、“見えない主役”です。
5月2日の夕方からは市役所本舞台で前夜祭が行われます。セレモニーの後には、アーティストを招いた恒例のコンサートがあり、今年のゲストは歌手の相川七瀬さんです。
「どんたくの時期に観光に来られたら、ぜひ積極的に参加してください。総踊りに加わってみるのもいいし、地元の屋台で博多名物を味わいながら演舞台を巡るのもおすすめです。」と笑顔の野間口さん。
どんたくの醍醐味は、街と人との距離がぐっと縮まること。目が合えば笑顔で手を振ってくれる踊り子たち、親切に道を案内してくれる地元の方々、そして一緒に踊ることで自然と生まれる連帯感。旅の記憶として、きっと特別な思い出になるでしょう。
舞台イベントで一番人が多いのは博多駅本舞台と、市役所前広場のお祭り本舞台です。天神付近は地元や観光客で賑わいますが、博多駅も県外や海外からのお客様が多くどんたくの時期ならではの盛り上がりです。」
「近年、外国人のお客様が増えているため、外国語での案内を充実させ、より快適に楽しめる祭りにしたいと考えています。ダンスを踊る団体などの参加も増えており、若い世代が参加しやすい環境になっています。SNSで情報を拡散することで、より幅広い世代の方に興味を持ってもらいたいですね。」野間口さんは今後の展望を語ってくれました。
「博多どんたく」はただの観光イベントではなく、街の人たちが時間をかけて編み上げた誇るべき祝祭です。800年という時の重みと今を生きる人々の息づかいが重なり、進化していく祭りなのです。
「どんたくの名前を知っていても、まだ内容まで知らない方も多いと思います。見どころが詰まっており、参加して楽しめるイベントもありますので、ぜひ今年の博多どんたくを楽しんでいただきたいですね。」
今年のゴールデンウィーク、博多の街で祝祭の鼓動に触れるのはいかがでしょうか。
福岡市民の祭り振興会
電話:092-441-1118
住所:福岡県福岡市博多区博多駅前2丁目9-28(福岡商工会議所6F地域振興部内)
アクセス:天神~博多周辺
HP:https://www.dontaku.fukunet.or.jp/
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