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2025.05.30
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福岡・中洲の夜、どこからともなく漂う美味しい香りに引かれて歩みを進めると、大通りから10分程のところに、ひときわ賑わう一軒のもつ鍋店があります。 創業1978年、「もつ幸」は長年にわたって博多のもつ鍋文化を支え続けてきた老舗店です。
看板メニューのもつ鍋のスープは、水炊き風の独自レシピ。創業者が試行錯誤を重ねた末に完成したその味は、二代目の松尾一豪(まつおかずひで)さんによって今も受け継がれ、進化を続けています。そんな博多の街で生まれた「もつ幸」の原点を紐解いていきます。
中央:松尾さんの父親で創業者の與一郎(よいちろう)さん 右:母親の芳(かおる)さん
1945年頃から鉱業労働者が食べていたスタミナ飯が起源とされているもつ鍋。1970年代後半に食文化豊かな博多の街で、庶民の味として広がり始めます。次第にメディアにも取り上げられるようになり、1990年代には全国的に有名に。健康的でボリュームもあることから幅広い年齢層に好まれるようになりました。
1978年、まだもつ鍋文化がまだ根付いていない時代に、「もつ幸」は博多の一角に誕生しました。創業者である松尾與一郎(よいちろう)さんは、かつて商売をしていた際に渡航先の韓国でもつを使った料理に出会います。昔は捨てられる部位だった内臓を使ったもつ料理は日本人には馴染みがありませんでしたが、その味が忘れられず、「博多の人々にもこの味を楽しんでほしい」という思いから開業を決意します。当初は、味噌ベースのホルモン鍋など複数のメニューを提供していましたが、徐々に「もつ鍋」の人気が高まり、やがて看板メニューとして定着していきました。
「父はアイデアマンで誰もやっていないことをするのが得意だったのですが、もつ幸に関しても突然一念発起をして創業したんです。当時はもつ鍋が一般的に知られていなかったので、最初はお客さんが1人も来ない日もありました。そんな状況から徐々に人気を集め、今では博多を代表する名物料理になりました。幼少期から店の営業を間近に見て育ちましたので、父の先見の目はすごいと感じていました。」と松尾さんは振り返ります。
餃子の皮と一緒に自家製酢醤油につけていただく「もつ幸」ならではのもつ鍋
創業者與一郎(よいちろう)さんは妻の芳(かおる)さんと共に味の研究を続け、鶏がらをベースにしたスープと酢醤油につける独自のもつ鍋スタイルを確立しました。
「もつ幸の味の決め手となるのは、厳選された国産のもつと創業時から変わらないスープのレシピです。鶏ガラスープで炊いて自家製酢醤油につけて食べる水炊き風の食べ方や餃子の皮と一緒にいただくのも、もつ幸ならではの味となりました。白ごまたっぷりの〆ちゃんぽんにもファンが多いですね。調理を担当している母が特に味にはこだわっており、その伝統の味を今も守り続けています。」と松尾さん。
白ごまたっぷりの〆ちゃんぽん
もつ鍋といえば醤油や味噌が主流ですが、「もつ幸」のスープは具材の味を最大限に引き出すあっさりとした味付けが特徴。そのため、地元の根強いファンはもちろんのこと、女性客や観光客にも食べやすく、「何度でも食べられる」と評判を集めています。
先代から受け継いだ伝統の味を守りながら、新しい時代のニーズに応える店づくりを行っている松尾さん。創業時から変わらぬスープの味と品質にこだわるため、日々の仕入れから調理まで細部にわたって管理を行っているそうです。
博多祇園山笠の仲間がもつ幸に集う様子
松尾さんは博多の食文化を支える重要な担い手として、地域との繋がりも大切にしています。
「お店で扱うもつや麺やお酒などの仕入れ先とは、創業時から変わらない関係性が続いています。博多の山笠祭りに参加してお店を利用してもらうこともありますし、周辺のホテルからもよくご連絡をいただきます。近年は外国の方にご案内いただくことも増えました。」
地域の再開発による移転など、もつ幸は環境変化にも対応しながら地域コミュニティとの繋がりを維持し街と共に歩みを進めています。
もつ幸二代目の松尾一豪さん
現在は平日で約140名もの客が来店し、観光シーズンや地域のイベント時期には更に増加するそうです。特に博多どんたくなどの行事の際は、お昼から多くのお客様でにぎわうといいます。
「支店を望むお声もいただきますが、先ずは質の維持を最優先に考えています。伝統を守りながら、現状以上の品質を目指していきたいです。」と松尾さん。
子ども連れにも嬉しい2階の座敷席
1階はカウンター席、テーブル席
創業から約50年、もつ幸は博多の食文化を支える重要な存在として成長を続けてきました。二代目の松尾さんは先代から受け継いだ伝統の味を守りながら、現代のニーズにも柔軟に対応して進まれます。地域との深い繋がりを大切にし、これからも博多の食文化を支え続けていくことでしょう。
もつ鍋専門店 もつ幸
電話番号:092-291-5046
住所:福岡市博多区綱場町7-14
アクセス:ホテルリソルトリニティ博多より徒歩10分
HP:http://motsukou.web.fc2.com/index.html
Instagram:https://www.instagram.com/motsukou_hakata/
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ブログ:http://motsukou.blog.fc2.com/
営業時間や定休日についての詳細は上記のリンク先でご確認ください。