空室検索・予約公式サイトが最安値

Reservation

予約確認・変更・取消はこちら

新幹線付き宿泊プラン

提携法人専用予約

2025.07.20

150年の歴史を紡ぐ京都の老舗「更科本店」で出会う優しい一杯

NEIGHBORS

150年の歴史を紡ぐ京都の老舗「更科本店」で出会う優しい一杯

京都の食文化を語る上で欠かせないのが、素材の持ち味を引き出す出汁の存在です。京都は、昆布の旨みをしっかりと引き出せる軟水に恵まれてきた土地。昆布を土台に鰹節の香りを重ね、あっさりとしながらも奥行きのある味わいが根付いてきました。

そんな京都らしい味覚に寄り添い、名古屋発祥のきしめんを“京都の人々に愛される一杯”へと育ててきたのが1874(明治7)年創業の「更科本店(さらしなほんてん)」。のれんをくぐれば、歴史あるお店ならではの落ち着いた空気と、香り立つ出汁の匂いに包まれます。

歴史を感じる商店街で育まれてきた「更科本店」

明治初期の1872(明治5)年に誕生した「新京極商店街」に溶け込む老舗の風格

明治初期の1872(明治5)年に誕生した「新京極商店街」に溶け込む老舗の風格

京都の中心部にあり、多くの観光客で賑わう「新京極(しんきょうごく)商店街」。明治時代に寺社の境内を整備して誕生したこの通りは、今も歴史の面影を色濃く残しています。創業から150年以上の歴史を誇る「更科本店」があるのは、その一角。

創業者が名古屋出身だったため、創業当初からそばやうどんに加え、故郷の味であるきしめんも提供されていました。ただ、当時の京都ではきしめんの存在は珍しく、定着するまでには時間を要したといいます。

そんな中、きしめんがこの店の看板料理へと育っていくきっかけとなったのは、6代目店主、鬼頭亮二(きとう りょうじ)さんの「そばアレルギー」でした。

父である5代目とともに京都の味覚に合う唯一無二のきしめんを模索し、少しずつ改良を重ねていったそう。食べることができないからこそ見えた可能性。看板やメニュー表などできしめんを中心に紹介することで、少しずつ店を代表する味わいとして多くの人に親しまれる存在になっていったのです。

老舗の伝統と技、素材が織りなす一杯

京都の出汁に合わせて作られた薄さ1mm以下の自家製きしめん

京都の出汁に合わせて作られた薄さ1mm以下の自家製きしめん

「更科本店」のきしめんには、日々工夫を重ねた職人のこだわりが凝縮されています。初代から受け継がれる出汁は、鰹節を強火で一気に煮出して香りと旨みを引き出す独自の手法。火加減や加熱時間は数分単位で細かく管理され、香り高く澄んだ味わいが守られています。

その出汁に合うように作られた自家製きしめんは、一般的な1〜3mmよりもさらに薄い約1mm以下に調整。3種類の小麦粉を配合し、つるりとした喉ごしともっちりとした食感のバランスを実現しています。

加えて、「更科本店」から徒歩30分程度のところにある老舗の豆腐屋「まるまん内藤豆腐店」で作られた特注の油揚げと、京の伝統野菜である香り豊かな九条ねぎが一杯を彩ります。

きしめんを茹で、出汁を保温するために使用されている釜戸

きしめんを茹で、出汁を保温するために使用されている釜戸

そして、お店の奥には、創業から代々受け継がれてきた釜戸が存在感を放ちます。150年以上にわたり店の歴史を見守ってきたこの釜戸は、現在も老舗の味を支え続けています。

そんな歴史ある釜戸から生み出される、職人と素材のこだわりが詰まった一杯。器にふわりと湯気をのせて現れるきしめんをひと口食べると、出汁の風味が口いっぱいに広がります。出汁、麺、具材が見事に調和したその味は、どこかほっとする味わいです。

「教科書を疑え」—納得の先にある味を求めて

代々受け継がれてきた窯の前で調理する、6代目店主の鬼頭亮二さん

代々受け継がれてきた窯の前で調理する、6代目店主の鬼頭亮二さん

6代目である鬼頭さんは、若い頃から自然と家業を継ぐことを心に決め、20歳でお店に入りました。受け継いだ味をただ守るのではなく、「なぜそうするのか」を問い直す姿勢を大切にしてきたと話します。

たとえば出汁の抽出時間。先祖代々の方法をなぞるだけではなく、火加減や加熱時間を数分単位で調整しながら、自分の舌と感覚で確かめてきました。

「自分で確かめてきたからこそ、自信を持ってお客様に出せる。」

そう語る鬼頭さんの姿勢には、伝統に寄り添いながらも、自らの軸を貫く職人のまなざしが滲み出ています。

時代に合わせて磨かれる、唯一無二の味

まさに「更科本店」のきしめんを表す言葉

まさに「更科本店」のきしめんを表す言葉

「更科本店」のきしめんは代々守られてきた礎に、時代に合わせた工夫を重ねながら進化を続けています。「引き継ぐものは引き継ぎつつ、時代に合わせてアップデートしていきたいです。」と語る鬼頭さん。その実直な姿勢によって、唯一無二の味が作り出されています。

「ひらり つるり ぺろり」

コップに添えられた言葉のとおり優しい口あたりと、職人の技と時間を丁寧に重ねてきた味わいは、歴史ある京都の街で心温まるひとときをもたらしてくれます。


更科本店
電話:075-221-3064 
住所:京都府京都市中京区中筋町483 
アクセス:阪急京都線「京都河原町駅」から徒歩8分、京都市営東西線「京都市役所前駅」から徒歩11分 
HP:https://www.shinkyogoku.or.jp/guide/?shopId=710
SNS:https://www.facebook.com/kishimen.sarashina

*営業時間や定休日についての詳細は、直接店舗にご確認ください。