沖縄での飲みの〆として定着したステーキ。激戦区の中でも圧倒的な人気を誇る老舗「ジャッキーステーキハウス」は、ホテルリソルトリニティ那覇から徒歩10分の場所にあります。閉店間際の夜10時を過ぎても客足が途切れることはありません。

アメリカンダイナを思わせる店内は、アメリカ統治下の雰囲気をそのまま残しています

一番人気のメニューはテンダーロインステーキ（Ｌ250g）、スープ、サラダ、パンまたはライスがセットでついてきます。程よくジューシーでマットな赤身の食感は、ステーキ通をうならせる老舗ならではの味です。

店名”ジャッキー”の由来

NEW  YORK  RESTAURANTという名前で戦後間もない1953年にオープン。アメリカ統治下にあった沖縄には急速にアメリカ文化が流れ込み、街は英語と日本語が入り乱れていました。  創業者の長田忠彦氏が叔父の店の暖簾分けという形で、嘉手納にお店を構えたのが始まりです。その後、那覇にお店を出した時は「ニューヨークレストラン」の他に「ながたや」と「ジャッキーステーキハウス」という店名も使っていました。やがて嘉手納を引き払って完全に那覇だけになり、メニューもステーキを主体に絞った段階で、「ジャッキーステーキハウス」にしました。因みにジャッキーさんは、お世話になった米兵の将校ジャクソンさんのことだそうです。

「ながたや」当時のメニュー表

アメリカ軍統治下の那覇

お店で使用している肉は全てアメリカ産の輸入肉です。現在の店主の長田就高さんが、祖父から聞いた当時の様子を話してくれました。

「当時那覇には仕入れのための市場があり、肉もまずはアメリカ軍が使っている那覇港に入り税関を通って沖縄に卸されていました。税関を早く通してもらうために、お役人さんにはステーキをご馳走したりもしたそうです。

またAサインという、米軍風紀取締委員会が発行する認定書をもらうのがなかなか大変だったそうです。肉は米軍指定の業者から仕入れなければならず、食器の洗浄にも規定があったり、建物もコンクリート製でなければならなかったため、外側だけをコンクリート作りにしたお店もあったそうです。接客スタッフも白衣と帽子を身に着けるなどの基準もありました」

当時軍人・軍属はAサインのある営業施設以外での飲食は禁止されていたため、これが取得できるかどうかはお店にとって死活問題だったのです。

米軍の認定書「Aサイン」

こだわりのステーキソース

ステーキソースは一般的なA1ソースではなく、オリジナルのNo.1ソースが使われています。「どの店でも使っているA1ソースがどうもウチの肉には合わないと思っていたところにたまたま神戸の木戸食品さんからオリジナルソースの話を持ちかけられ共同開発することになりました」

野菜と果実が通常の約5倍使われた超濃厚ソースが今やジャッキーステーキの定番になっています。

人の顔が見えるお店作り

店主の長田就高さんは小学校の4年生のころから祖父のお店を手伝い、中学に上がるころにはすでにお店を継ぎたいという意識があったそうです。そのために必要なものは何かと母親に尋ねた時に、「大学で経営を学ぶこと」と聞かされ東京の大学に進むことを決心しました。そして28歳の時に東京から戻り、名実ともにジャッキーステーキハウスの顔となりました。

今後のお店の展開や夢を伺うと、「現場主義が創業者の基本的な考えであり、原点は目の前にいるお客様に喜んでもらいまた来ていただくことです。日々の（サービスの）判断はお店にいる僕らのモノサシでしか出来ない。過去にNOだったことも状況次第で今日はOKかも知れず、その基準は数値化はできないんです。

それとお客様は人に会いに来てくれているんです。人を信頼して安心してお客様は来てくれている、だからこの1店舗しかやりません。ウチのお客様は変わることを望んでおらず、この変わらないことを守り続けていくことが僕の夢です」

ルールブックで判断するのではなく現場を見て判断する血の通った経営、そんな芯の通ったスタンスに経営者としての厳しさをかいま見る反面、これまで一番嬉しかったことを尋ねると「子供ながらにお店を手伝っていた時にお客様からチップをもらったことかな」と笑う人懐っこい笑顔に、また次も会いに来たくなりました。

ジャッキーステーキハウス
電話：098-868-2408
住所：沖縄県那覇市西 1-7-3
アクセス：ゆいレール 旭橋駅より徒歩8分
HP：https://steak.co.jp/
SNS：https://www.instagram.com/jackssteakhousesince1953/
＊営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。