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2026.05.10
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上野駅から緑豊かな上野公園を抜け、さらに足を延ばした先。喧騒から遠ざかり、どこか懐かしさを残す街並みの路地裏に、古民家が集う「上野桜木あたり」と名付けられた一角が現れます。その入り口で静かに客を待つのが「谷中ビアホール」です。
店舗として活用されている建物は、もともと1938(昭和13)年に建てられた歴史ある一般家屋。長らく空き家となり、取り壊しの話も持ち上がりましたが、古民家を保存したいと願う人々の手で再生プロジェクトが立ち上がり、2015年に同店がオープンしました。
昭和の生活感をとどめるノスタルジックな店内には、80余年の歳月が育んだ独特の空気と緩やかな時間が流れています。

古民家群を再生した「上野桜木あたり」。右手の建物が「谷中ビアホール」だ
飴色に変色した柱や建具が、過ぎ去った年月の長さを物語ります。「古い下町の建物を残したい」という有志の声から始まった空き家再生プロジェクト。そこに、ある醸造家がビアホールの構想を持ち込み、長年飲食業を営んできた新保孝三(しんぼ こうぞう)さんが店づくりを引き受けました。
しかし、昭和初期の一般住宅を店舗へ改装する道のりは平坦ではありませんでした。「業務用冷蔵庫を入れた途端に電源が落ちてしまったり。見た目ほど簡単ではありませんでしたね。」と新保さんが語る通り、電気や配管など、見えない部分の大がかりな改修からのスタートでした。
それでも、建物の趣をできる限り残す工夫が重ねられました。壁の一部には改装時に見つかった古新聞が貼られており、まるでここだけ時が止まっているかのような空気に包まれます。

谷中の夕暮れをイメージして開発された看板商品「谷中ビール」
店の看板商品は、この空間でしか味わえない「谷中ビール」です。街から望む夕暮れ時の空を表現した深い色合いが特徴で、焙煎麦芽がもたらす豊かな風味は奥深いコクと香ばしさを秘めています。
「谷中ビター」や「谷中ブラック」をはじめ、「谷中」の冠がつく全6種類のビールは、群馬県の八ッ場ダム近郊にある醸造所から同店のためだけに届けられる特別な銘柄。時期に合わせて登場する季節限定の商品もあるそう。
歴史ある空間でこだわりの一杯を味わう時間が、せわしない日常を遠ざけて、心をほぐし、訪れる客の喉をも潤します。

4種のビールを少しずつ味わえる「テイスティング飲み比べセット」
初めて訪れる人に人気の「テイスティング飲み比べセット」は、4種のビールを4分の1パイント(約120ミリリットル)ずつ味わえる欲張りな一品です。特製の木製トレイに施されたくぼみに収まるようにして、それぞれに異なる色合いを湛えた4つのグラスが並びます。
左から「谷中ドライ」「谷中ヴァイツェン」「谷中ゴールデン」、そして「谷中ビール」。右へと飲み進めるごとにだんだんと奥深い味わいへと変化していくよう、その並び順も緻密に計算されています。
フードメニューは、フランクフルトや枝豆、漬物など、あえて軽いおつまみ程度にとどめられているとのこと。しっかりとした食事を置かないのは、主役であるクラフトビールそのものの繊細な風味を心ゆくまで堪能してほしいという思いの表れです。

和の風情が色濃く漂う、2階の畳敷きの座敷席
2階へと続く階段を上がると、使い込まれたちゃぶ台と座布団が並ぶ畳敷きの座敷が広がっています。窓から差し込む光が古い木肌の温もりを際立たせ、どこか懐かしい安らぎに浸ることができます。

「谷中ビアホール」を経営する新保さん。気負わないもてなしで客を迎える
同店が接客において大切にしているのは、客の時間を決して邪魔せず、そっと見守るような適度な距離感です。建物が醸し出す空気を自由に楽しんでもらうため、気負わないもてなしが徹底されています。
懐かしさを求める日本人や、日本の風情に惹かれる海外からの旅行者など、訪れる人は多様です。一つ屋根の下、国籍を問わず人々がグラスを片手に思い思いの時を過ごす、温かな活気に満ちた憩いの場となっています。
谷中ビアホール
電話:03-5834-2381
住所:東京都台東区上野桜木2丁目15-6
アクセス:上野駅から徒歩20分/ 日暮里駅から徒歩9分
HP: https://www.uenosakuragiatari.jp/shop/#a02
SNS:https://www.instagram.com/yanakabeerhall/
https://www.facebook.com/yanakabeerhall/?locale=ja_JP
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンクからご確認ください。