2024.11.06
「郡上おどり」で有名な岐阜県郡上市。郡上おどりには「おどり手ぬぐい」が必須アイテムと言われています。
400年以上の歴史ある郡上おどりはかつて、手ぬぐいを頭に掛けて踊っていました。鎮魂の意味がある盆踊り。顔を隠して誰かわからなくすることにより、盆に戻った祖霊や精霊がともに踊っているとされました。一方、「仮装性」を表すものとされ、素性を隠して踊りに行きたい人が手ぬぐいで顔を隠して誰彼気がねなく思いっきり踊りを楽しみました。
その手ぬぐいは現在、注染染め(ちゅうせんぞめ)が主流となっていますが、今でも、郡上の地場産業「シルクスクリーン印刷」で作られるものも多くあります。シルクスクリーン印刷は海外で生まれ、戦後の郡上で産業に発展した印刷技法です。手ぬぐいやTシャツなど布物だけでなく、標識やリモコンの文字など工業製品にも使われ、水と空気以外はなんでも印刷できると言われています。
シルクスクリーン印刷は大量生産向けの印刷技術なので観光客や市外の人がシルクスクリーン印刷に触れられる場所はほとんどありませんが、「Takara Gallery workroom(タカラギャラリーワークルーム)」では、シルクスクリーン印刷を体験でき、郡上おどりの時期には多くの人がオリジナルの手ぬぐいを持って、郡上おどりに参加しています。
Takara Gallery workroom(タカラギャラリーワークルーム)の店主・上村 真帆(かみむら まほ)さんは結婚を機に郡上に移住。学生の頃に学んだデザインとご主人の家業であるシルクスクリーン印刷で何かしたいと考え、デザイナーやアーティストの生み出した「作品=タカラモノ」をシルクスクリーン印刷で製造し販売するオンラインギャラリーとして2009年に「Takara Gallery(タカラギャラリー)」を立ち上げました。そして2012年には、タカラギャラリーの作業室=workroom として、シルクスクリーン印刷が気軽に体験できるTakara Gallery workroom(タカラギャラリーワークルーム)をオープンしました。
体験は好きな色の手ぬぐいを選ぶところからはじまります。手ぬぐいの色とインクの組み合わせ、どのような柄をどのように配置するかで出来上がったものは大きく変わります。「インクは現在23色から選ぶことができます。柄も季節によって変えています。作った手ぬぐいを見て、郡上に遊びに行ったのはどんな季節だったか?など、何年後に見ても思い出してもらえるように工夫しています。」と満面の笑みで上村さん。
メッシュ状の版にインクが通過する孔(穴)を作り、その孔(穴)の部分にスキージという道具でインクを均一に落とすことで下の手ぬぐいに刷り込んでいきます。
Takara Gallery workroom(タカラギャラリーワークルーム)の体験で使用する手ぬぐいは90cmと100cmが用意されています。90cmは標準的な手ぬぐいの規格ですが、100cmは郡上おどりならではのサイズ。浴衣の襟に沿わせるよう首に巻いて、橋端を帯の中にしまうのが郡上おどりのスタイル。郡上の地場産業「シルクスクリーン印刷」を体験してもらい、その手ぬぐいを持ってまた郡上おどりに遊びに来てもらいたい!という思いも込められています。
以前の体験は手ぬぐいだけでしたが、今はTシャツやトートバックの体験もあります。
お客様が体験時に選ぶ柄も以前と今では変化が見られるそう。「以前はせっかく郡上八幡に来たのだから郡上八幡にちなんだ柄で体験する人が多かったように思うのですが、最近では自分の推し活として推し色で体験したいという人が増えました。この前は野球好きのお客様が好きな選手の背番号を入れていたりと、体験だから自分の好きが作れる、作る目的に選択肢が増えたと感じています。」
地場産業と訪れる人の“好き”が融合する街、郡上。これからもこの街では時代と共に新しい手ぬぐいが生まれ、その場所に上村さんは立ち会い続けます。
Takara Gallery Workroom(タカラギャラリーワークルーム)
住所:〒501-4222 岐阜県郡上市八幡町島谷470-28
電話:0575-67-9707
アクセス:まめバス「旧庁舎記念館前」下車 徒歩3分
HP:https://www.takara-garo.com/
SNS:https://www.instagram.com/takara_gallery_workroom/
※営業時間や定休日についての詳細は上記のリンク先にてご確認ください。