2024.02.01
2023年11月、京都御幸町にオープンした和菓子屋温-onn-は、 築100年の京町家をリノベーションして生まれました。店内では手作りの和菓子と厳選された日本茶を楽しめます。「心も体も温かくなる時間を提供したい。」コンセプトが表れたキャッチーな店名だけでなく、温-onn-に存在するもの全てに、店主・山岡すず花さんの想いが込められています。
温-onn-の和菓子に含まれる砂糖は、通常の約半分。食材本来の良さを活かした優しい味が人気です。看板メニュー「花苺(はないちご)」に使用するいちごは、香川県の「空浮」という品種。山岡さんは日本中のいちごを吟味してこの逸品に辿り着き、毎朝新鮮なものを仕入れています。
着色料はもちろん不使用です。色とりどりの和菓子の中で、特に印象的なのが「翡翠(ひすい)」の青色。その名の通り宝石のように鮮やかな青は、バタフライピーという花から色付けされています。美しく体に優しい和菓子を求めて、日本全国からリピーターが後を断ちません。
「苔結び」の由来は、“悠久の時間”を表す大和言葉「苔むす」。「静」は、“二人静(ふたりしずか)”という渋い紅紫色から名付けられました。山岡さんは「和菓子たちが愛されますようにと名前を考えています。日本ならではの文化を、和菓子の名前からも感じてほしいですね。」と話します。
家具や花器、照明も温-onn-の空間作りに欠かせない存在です。お客様は自分で選んだ茶碗で日本茶を楽しむことができます。器集めが趣味の山岡さんは、お客様と器について語り合うことも。
カウンターの一部と鉢植えを飾るテーブルには、1万本に1本といわれる日本有数の銘木・黒柿が使用されています。この木は捻れて育つ特性を持ち、熟練の技がなければ扱えないのだとか。物語をもった家具たちが、温-onn-の店内に和の調和を作り出しています。
お店の顔であるロゴマークにも、山岡さんの想いがたっぷりと込められています。和を感じるユニークな縦長のデザインの中に、一見しただけではわからない物語が。お店に足を運んだ際は、ロゴマークの由来をぜひ聞いてみてください。
温-onn-にあるのは、山岡さんが作り出した新しい物語だけではありません。築100年の京町家それ自体に、古き良き“伝統”という物語が存在しています。
学生時代に海外生活を経験し、京都や日本の文化に惚れ直した山岡さん。美しい日本建築を守りたいと、京町家のリノベーションを決めました。その熱意は、選りすぐりの職人たちに工事を直談判するほどです。難易度の高い工事を経て、築100年の京町家は温-onn-へと生まれ変わりました。
店内で一際目を引くのは、丸窓をあしらった壁。思わず触れたくなる美しさです。左官職人の手によって施された“玉砂利洗い出し仕上げ”は古き良き日本の建築技術の一つ。これからの100年も美しい伝統文化が在り続けられるよう、建物全体の耐震分析や金物補強工事も行われました。
山岡さんは「温-onn-は職人さんたちの力の結晶。この技術を伝え、残し続けたい。」と語ります。その想いは職人たちも同じ。工事中は多くの若い職人が技術を学ぶため、見学に来たといいます。
目指すのは、お茶とお菓子だけでなく日本の伝統文化そのものを味わえる場所。温-onn-はこれからも、美しい歴史を伝えるべく物語を紡いでいきます。
温 京都御幸町 - onn kyoto gokomachi-
電話:075-708-6446
住所:京都府京都市中京区伊勢屋町341-1
アクセス:京都河原町駅から徒歩6分
SNS:https://www.instagram.com/onn_kyoto?igsh=cDU3NHo1OTN6dXk5
営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。