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2025.08.20

「山田松香木店」で触れる香木の世界と、千年の都に息づく香文化

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「山田松香木店」で触れる香木の世界と、千年の都に息づく香文化

かつて平安貴族の邸宅が立ち並んだ京都御苑(ぎょえん)。現在は広大な公園として市民や観光客に親しまれる、まさに古都の中心地です。その歴史ある場所から西へ一本入った通りには、江戸時代から続く香木専門店が静かに門を構えています。

「山田松香木店」は、平安時代から育まれてきた「日本の香り」の伝統を、香文化発祥の地で守り、受け継いできた香老舗。ここでは、香木や天然香料から生まれる奥深い香りに触れ、じっくりと向き合う贅沢な時間を過ごすことができます。

悠久の時が育んだ香木と、その文化をつなぐ

 貴重な香木が収められている香木箪笥(こうぼくだんす)

貴重な香木が収められている香木箪笥(こうぼくだんす)

1772年(明和9年)に創業した「山田松香木店」の歴史は、薬の原料問屋である薬種業を営み、主に中国から漢方薬の原料を輸入していたことに始まります。薬種には香木も含まれており、香りの強いものは香原料としても適していたため、次第に香木専門店へと軸足を移していきました。

暖簾をくぐると、店内は柔らかく落ち着いた香りに包まれており、視線の先にある壁一面の香木箪笥は圧巻。400杯あるという引き出しには、産地や等級ごとに分けられた香木や香原料が用途に応じて細かく刻まれ、あるいは粉末状にされるなどして大切に収められています。

香りの文化や楽しみ方を日々丁寧に伝える三浦さん

香りの文化や楽しみ方を日々丁寧に伝える三浦さん

「香木は木の繊維に樹脂が絡んでできており、間接的に熱を加えることで樹脂が溶け、よい香りが漂ってくるんです。」そう教えてくれたのは、広報担当の三浦範子(みうら のりこ)さん。

香木は人工的に作ることが難しく、自然の中で長い時間をかけて生まれる奇跡の産物。良質なものになるまでには、100年以上の歳月を要することもあるそうです。「山田松香木店」には、そんな貴重な香木や天然香原料を使った、伝統的な香りを楽しめる商品や体験が用意されています。

「平安時代から続く日本の香文化を、次の世代にもその次の世代にも残していかなければいけないと思っています。」という三浦さんの言葉には、長く香りに携わってきた老舗としての使命感が滲みます。

煉香(ねりこう)作りで、いにしえの香りを追体験

お店で実施している体験には、天然香原料を使ってオリジナルの香りを作ることのできる「調香コース」と、香木の奥深い香りをじっくりと鑑賞できる「聞香(もんこう)コース」があります。

「調香コース」の中の「煉香作り体験」では、樹脂や木の実、巻貝の蓋など数種類の香料を混ぜ、蜜で練り合わせた“煉香”を作ることができるそう。

煉香作りに使用する9種類の天然香原料

煉香作りに使用する9種類の天然香原料

香りの主軸となるのは、複雑で奥深い香りを放つ「沈香(じんこう)」や、甘くウッディな香りが特徴の「白檀(びゃくだん)」。そのほかに、香りを長持ちさせる「貝甲香(かいこうこう)」や、現代ではそのほとんどが合成香料で代替されるほど貴重な「麝香(じゃこう)」など、天然香原料が並びます。

それぞれの説明を聞きながら香りを確かめると、いずれも漢方薬のような独特の香り。「これらを混ぜ合わせ熱を加えると、一体どんな香りになるのだろう。」と、完成への期待に胸が膨らみます。

土台となる香りは、現存する平安時代の資料を参考に、当時に近い配合を教えてもらうことができます。そのあとは好きな香原料を足して蜜で練り合わせて完成。

できあがった煉香は、「空薫(そらだき)」という方法で楽しみます。空間に香りを漂わせる昔ながらのたき方で、平安貴族が部屋や着物に香りをたきしめる際に用いた方法です。

香炉の灰の中に火をつけた炭を入れ、間接的な熱で煉香をゆっくりと温めることで煙が出にくく、部屋で香りを楽しむのに向いているのだそう。

平安時代には、独自に調合した煉香の香りで優劣を競う「薫物合(たきものあわせ)」が貴族たちの間で盛んに行われ、雅な文化として花開きました。かつて香り作りを楽しんでいたであろう古人に思いを馳せながら香原料に向き合うと、まるで時をさかのぼったかのような穏やかな時間が流れていきます。

「匂袋作り体験」の様子

「匂袋作り体験」の様子

ほかにも、数種類の刻んだ香木を混ぜて作る「匂袋作り体験」は、より気軽に自分だけの香りを作ることができて人気の体験です。

また、香木の香りをじっくり味わう「聞香実践体験」、5つの香木をたいて香りの違いをかぎ分ける「源氏香体験」など、さまざまな形で香りの世界に触れることができます。

伝統を受け継ぎ、日々に寄り添う香りの形

お土産にもぴったりの「花京香(はなきょうか)」

お土産にもぴったりの「花京香(はなきょうか)」

「若い世代の方にも香文化に親しんでもらいたくて、手に取りやすい商品の開発にも力を入れています。」と、三浦さんは語ります。

「花京香」は、印香(いんこう)と呼ばれる花の形をしたお香で、色とりどりの和菓子のような見た目が愛らしく、お土産や贈り物にもぴったり。「桜」「朝顔」「紅葉」など、季節に合わせた12ヶ月それぞれの花の香りを楽しむことができます。

天然香原料を使用した「ハンドクリーム」(左:白檀 右:龍涎香)

天然香原料を使用した「ハンドクリーム」(左:白檀 右:龍涎香)

人気の「ハンドクリーム」は、貴重な天然香料である白檀と龍涎香(りゅうぜんこう)の2種類。どちらも日常で使いやすい優しい香りで、仕事の合間や休息の時間に、手軽に香りの癒しを取り入れることができます。

香を灯せば蘇る、香りが紡ぐ旅の記憶

脈々と受け継がれてきた日本の香文化に触れ、旅の思い出とともに自分だけの香りを持ち帰る「山田松香木店」の特別な体験。

旅から戻り香に火を灯せば、時を超えた香りがやがて日常に溶け込み、遠い昔の優雅な一幕を感じさせる時間が包み込んでくれるはずです。


山田松香木店 京都本店
電話:075-441-4694 
住所: 京都府京都市上京区勘解由小路町164
アクセス:地下鉄烏丸線「丸太町駅」より徒歩7分
HP:https://yamadamatsu.co.jp/
SNS:https://www.instagram.com/yamadamatsukoubokuten/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。