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2026.06.15

金沢で出会う、450年以上続く針づくりの技―加賀毛針とブローチづくり体験

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金沢で出会う、450年以上続く針づくりの技―加賀毛針とブローチづくり体験

金沢には、加賀藩の時代から受け継がれてきた伝統工芸が数多く残されています。金箔や九谷焼が有名ですが、実は鮎釣り用の疑似餌である「加賀毛針」も金沢を代表する伝統工芸の一つです。

「目細八郎兵衛(めぼそはちろうべえ)商店」は、加賀前田藩が城下を開く以前の1575年の創業以来450年以上にわたり針づくりを続けてきた老舗。「加賀毛針」や使いやすさを追求した縫い針「めぼそ針」をはじめ、現代の暮らしに寄り添うアクセサリーの販売や体験を通して伝統の魅力を発信しています。

金沢に根付く、針づくりの歴史

針にもさまざまな種類がある

針にもさまざまな種類がある

「目細八郎兵衛商店」は、全国でも珍しい針を専門とする老舗です。

店を代表する商品「めぼそ針」は、糸が通しやすく、布地を滑らかに通る使い心地が特徴。長年多くの人に愛用されてきた使いやすさが魅力で、金沢の伝統を日常で感じられる身近な工芸品として親しまれています。

特に針の目の部分に工夫が施されており、その品質の高さが評価され、加賀藩主から「目細(めぼそ)」の名を授かったと伝えられています。

かつては東別院へ参拝する人々が店を目印にしていたそうで、店舗がある通りは現在も「目細通り」と呼ばれています。長い年月を経ても街の名前として残ることから、同店が地域とともに歩んできた歴史の深さがうかがえます。現在は、20代目の目細勇治(めぼそ ゆうじ)さんが暖簾を守り、受け継いでいます。

一本の毛針に込められた職人の技

店内には、美しく彩られた「加賀毛針」も並びます。

「毛針」は魚釣りに使われる疑似餌の一種で、針に鳥の羽毛などを巻き付け、昆虫を模して作られています。なかでも鮎釣り用の「加賀毛針」は、繊細な色彩やデザインが特徴で、実用品でありながら工芸品のような美しさを備えています。

「目細八郎兵衛商店」が「加賀毛針」づくりを手がけるようになったのは、針づくりの技術を生かして釣り針の製造も始めたことがきっかけです。

「加賀毛針」が大きく発展したのは江戸時代。加賀百万石の前田家が統治した金沢は幕府からは厳しく監視され、武芸を積極的にすれば謀反の疑いをもたれるような時代でした。そこで、武士のたしなみとして川釣りが親しまれるようになり、それに伴って毛針づくりの技術も磨かれていきます。

さらに明治時代になると、釣りが庶民にも広まり、多くの職人が技を競い合いました。

ネックレスやブローチ、ピアスなどのフェザーアクセサリーが並ぶ店内

ネックレスやブローチ、ピアスなどのフェザーアクセサリーが並ぶ店内

近年は鮎釣りを楽しむ人が減少し、「加賀毛針」に触れる機会も少なくなっています。そこで「目細八郎兵衛商店」では、伝統工芸を未来へ受け継ぐ新たな取り組みとして、「加賀毛針」から着想を得たフェザーアクセサリーの制作を始めました。

フェザーアクセサリーが誕生したきっかけは、お客様から寄せられた「これ、きれいだからアクセサリーにしてくださいませんか。」という一言でした。

「これは大変よいアイデアをいただきました。」と語るのは、19代目の目細伸一(めぼそ しんいち)さん。 加賀毛針の美しさを生かしたブローチづくりに取り組み始め、そこからネックレスやイヤリングなど、新たな商品も生まれました。

旅の思い出になるブローチづくり体験

「目細八郎兵衛商店」では、「加賀毛針」の技術を生かしたブローチづくりを体験できます。

材料には、ホロホロ鳥などの自然に抜け落ちた羽根を染色した天然素材を使用。色や大きさの異なる羽根の中から好みのものを7枚ほど選び、組み合わせや配置を考えながらデザインを決めていきます。

完成形を思い描きながら好きな羽を選び組み合わせていく時間も、この体験の魅力の一つ。色合いやバランスにこだわり、時間をかけて組み合わせを考える人も少なくありません。

デザインが決まったら、毛針本体に羽根をセットし、根元に接着剤を付けて固定していきます。工程はシンプルで、最後の仕上げはスタッフが行うため、初めてでも安心して参加できるそう。

完成したブローチは、そのまま持ち帰ることができます。世界に一つだけの作品は、金沢を訪れた記念にはもちろん、大切な人への贈り物にもぴったりです。

伝統を未来へつなぐ老舗の挑戦

20代目の目細勇治さんと19代目の目細伸一さん。年代物の看板を今も大切に飾っている

20代目の目細勇治さんと19代目の目細伸一さん。年代物の看板を今も大切に飾っている

19代目の目細伸一さんは、「伝統は守るだけでは続きません。時代に合わせて新しい形で伝えていくことが大切だと思っています。」と話します。

「加賀毛針」を活用したアクセサリーの開発や体験プログラムの実施など、現代の暮らしに寄り添う新たな取り組みにも力を入れています。

近隣の小学校では出前授業を行い、卒業式で身に着けるコサージュづくりを通して、子どもたちが伝統工芸をより身近に感じられる機会を提供しています。こうした活動には、次の世代へ技術や文化を受け継いでいきたいという想いが込められています。

遊び心あふれる針山・待ち針と、「加賀毛針」の技術を生かしたアクセサリー

遊び心あふれる針山・待ち針と、「加賀毛針」の技術を生かしたアクセサリー

20代目の目細勇治さんの代では、伝統を受け継ぎながら新たな商品開発にも力を入れています。店内には、ハリネズミをモチーフにした針山や、金沢のおでんや和菓子をモチーフにした遊び心あふれる待ち針など、思わず手に取りたくなるアイテムが並びます。

450年以上にわたり金沢で育まれてきた針づくりの技は、伝統を受け継ぎながら、この先も新たな形で人々の暮らしに息づいていくことでしょう。


目細八郎兵衛商店 
電話:076-231-6371 
住所:石川県金沢市安江町11-35 
アクセス:JR金沢駅から武蔵ヶ辻方面へ徒歩約10分 車・タクシーで5分 
HP:https://meboso.shop-pro.jp/ 
SNS:https://www.instagram.com/meboso1575/ 
*「加賀毛針アクセサリー製作体験」は予約制ですが、空きがあれば当日参加も可能です。 
*営業時間や定休日、体験の料金などの詳細は上記のリンクからご確認ください。