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2026.07.05

円山とともに歩んできた老舗そば店「東家寿楽」 親子で受け継ぐ味と店づくり

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円山とともに歩んできた老舗そば店「東家寿楽」 親子で受け継ぐ味と店づくり

円山公園や北海道神宮に近い、閑静な住宅街に店を構える「東家寿楽(あずまやじゅらく)」。釧路にルーツを持ち、札幌・すすきのでの営業を経て、半世紀以上にわたり円山でそばを提供してきました。

現在お店を支えるのは、3代目の佐藤元治(さとう もとはる)さんと、4代目の佐藤比左夫(さとう ひさお)さん。親子が受け継いできた味やお客様との関わり、変化する円山で思い描くお店の今後をたどります。

札幌・すすきのから円山へ。親子でつないできた店

4代目の佐藤比左夫さん(写真左)と3代目の佐藤元治さん(写真右)

4代目の佐藤比左夫さん(写真左)と3代目の佐藤元治さん(写真右)

「東家寿楽」のルーツは、釧路の「東家総本店 竹老園」にあります。初代がそば作りを学び、1919(大正8)年に釧路で東家分店を開業。その後、1949(昭和24)年に札幌・すすきのへ移り、札幌で初めて「東家」の暖簾を掲げました。

すすきのでの営業を経て円山への移転を後押ししたのは、すすきのの店舗を訪れた三笠宮崇仁親王殿下の「落ち着いた場所でそばを味わいたい。」との一言。その後先代が現在の場所への移転を決めました。お店を構えたのは1966(昭和41)年。当時の円山は今ほど人通りも多くなく、開店後しばらくは苦労が続いたそうです。

3代目の元治さんは小学生の頃からそば作りを手伝い、長年お店に立ってきました。ご子息である比左夫さんは温泉宿での勤務を経てお店へ戻り、1999(平成11)年に4代目を継承。親子でお店の歩みをつないでいます。

注文を受けてから作る「御膳生粉打ち蕎麦」と、受け継がれる「蕎麦寿司」

注文を受けてから製麺する「御膳生粉打ち蕎麦」

注文を受けてから製麺する「御膳生粉打ち蕎麦」

「東家寿楽」では、富良野産のそば粉を使用しています。なかでも、そばの実の中心部分から取れる御膳粉(更科粉)は、取れる量が少なく高価な粉とのこと。戦後の札幌では手に入りにくく、先代が粉を探し求めた時期もありました。

御膳粉を使ったそばは、白い色合いと淡白な味わい、細打ちながらコシのある食感が特徴。「御膳生粉打ち蕎麦」は、注文を受けてから製麺する、お店の看板メニューです。

お酢の風味でさっぱりいただける「蕎麦寿司」

お酢の風味でさっぱりいただける「蕎麦寿司」

もう一つお店を代表するのが、ゆでたそばをお新香やきゅうり、マグロなどと一緒に海苔で巻いた「蕎麦寿司」です。釧路から札幌へ移転してきた頃にはすでにメニューにあったといい、お客様からも長く愛されている逸品です。

「お客様が喜ぶこと」を守り続ける

季節によっては中庭の席も利用可能

季節によっては中庭の席も利用可能

お店で代々大切にしてきたのは「お客様が喜ぶこと」だと元治さんは話します。

一つの料理を2人分に分ける、蕎麦を通常より柔らかく茹でる、味を薄めにする。お店が食べ方を決めるのではなくお客様が自分に合う方法で食事を楽しめるよう、可能な範囲で要望に応えてきました。

店内の環境にも、お客様への配慮が表れています。女性客が増えてトイレに列ができるようになると、女性用トイレを増設。現在の店舗を建てる際には、高齢のお客様が2階へ上がりやすいようエレベーターを設け、店内の段差も少なくしました。

2階席は掘り炬燵で、車椅子の方もそのまま入れる造りになっている

2階席は掘り炬燵で、車椅子の方もそのまま入れる造りになっている

料理の提供方法から店内設備まで、来店する人が不便を感じない方法を一つずつ考えてきたことが、現在のお店の形につながっています。

円山の変化とともに考える、これからの店の形

移転当時の円山は、社宅や個人商店が並ぶ下町のような地域でした。札幌オリンピックを前に地下鉄が開通し、マンションや飲食店が増加。現在は地域の人だけでなく、国内外から観光客も訪れています。

元治さんはこれまで、近隣の商店と協力し、地域の子どもたちが参加するお祭りを長年開いてきました。店を続けるだけでなく、地域の人が集まる機会を作ってきたことも、円山との関わりの一つです。比左夫さんも、周辺の店舗や地域の人とのつながりを、これからの店づくりに活かせないかと考えています。

一方、細かな要望に応える従来の接客は、人手が限られる現在では負担も少なくありません。「受け継いできた姿勢を残しながら、働く側にも無理のない方法を考える必要がある。」と比左夫さんは話します。街の変化に目を向けながら、受け継いできた店の姿勢を、今の時代に合う形で次へつなごうとしています。


東家寿楽
電話:011-611-8659
住所:北海道札幌市中央区北2条西27丁目1-1
アクセス:地下鉄東西線 円山公園駅 徒歩5分
HP:https://www.adumayajuraku.com/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンクからご確認ください。