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2024.07.06

“北の茶問屋だからできること”を追い求めて「お茶の玉翠園」

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“北の茶問屋だからできること”を追い求めて「お茶の玉翠園」

札幌の中心部を流れる「創成川(そうせいがわ)」。その東側は「創成イースト」とも呼ばれ、開拓期のなごりを感じさせる雰囲気もありながら、個性に富んだ飲食店などが新たに登場し、古さと新しさの魅力が融け合うエリアとして注目を集めています。

その一角にたたずむ90年以上の歴史を誇る老舗「お茶の玉翠園(ぎょくすいえん)」は、宇治・静岡を中心とした日本茶専門の卸問屋としてはじまったお店。

お茶のプロフェッショナルとしてその魅力を伝えつづける茶問屋としての歩みや、「北の地で商うお茶屋だからできること」を突きつめる背景に迫りました。

 

札幌の商いを支える「日本茶専門」の卸問屋

1953(昭和28)年頃の「玉翠園」。のちに本社ビルを新築し、現在の姿に

 

「玉翠園」が日本茶の専門店として形づくられたのは、1933(昭和8)年のこと。創成川を挟んで東側には卸問屋や住宅、西側には丸井や三越などの小売店が集っており、「玉翠園」は西側の商業地域を支えるような役割を担っていたといいます。

今でこそお茶を積んだ箱は汽車や車で運ぶことができますが、当時は道路状況も整っておらず、馬車やソリで1箱40キロもある箱を運ぶのにひと苦労していた時代。

創業者である玉木氏は、そんな創成エリアの特徴や、さらに東側の物流拠点として発展していた「苗穂(なえぼ)駅」があることなどの理由から、川からほど近い「南1条東1丁目1番地」にお店をかまえたのでした。

 

「おそらくここは札幌の中心になるだろうとお店をかまえたそうなんですが、祖父は信じられないくらい先見の明があった人なんです。もう、エスパーですね(笑)。きっといろいろなことを教えてくれる友人にも恵まれていたんだと思います」

そう笑顔で出迎えてくれたのは、現在3代目で日本茶インストラクターやハンターなど、さまざまな顔をもつ代表の玉木 康雄(たまき・やすお)さん。

創業者の玉木氏は、もとは加賀藩出身。縁あって開拓が進む北海道へ渡ることとなり、“何をすればこれからの商いとして成り立つのか”を模索していたのだそう。


「北海道で自給できるものは、売買だけではなく物々交換のような形でも手に入ったんですね。だからこそ“この土地で自給がむずかしいものを商うべきだ”と、お茶を買い付けて販売することになったようです」

 

ブレンドの技術を磨き“「玉翠園」の味”を確立

一煎目、二煎目、三煎目......淹れるごとに変化する味わいを楽しむことができる

 

「お茶を買い付けて販売するだけでは、すぐにほかに負けてしまう」商いをつづけていく上での危機感から「玉翠園だからできること」を探し求める日々。しかし、寒冷地である北海道では、おいしいお茶をつくることがむずかしい......。

そんな状況を切り開くきっかけとなったのは、買い付け先である京都の方からの“ある言葉がけ”でした。

「独自の味をつくるなら、ブレンドの技を磨くとよい」「北海道の寒さや乾燥している状況を活かせば、じっくり寝かせる“長期熟成”が可能なのでは」

以来、やさしくまろやかでありながらもしっかりとうま味が感じられる“長期熟成”と、自在な味わいを実現する“ブレンドの技術”が磨かれることとなり、それが“「玉翠園」ならではの味”に。その意思と技は、3代目の玉木さんにも脈々と受け継がれています。

 

森を守ることが、水を守ること

ごはんのおともにぴったりな「エゾ鹿ほうじ茶佃煮 雪もみじ」

 

3代目へとバトンが渡されてからも、挑戦はつづいています。札幌の水を守る「豊平峡(ほうへいきょう)リムトンネル」内での熟成実験から生まれた「水の守人 熟成茶」もその一つ。

また近年エゾ鹿が増え、森が荒らされている現状を知った玉木さんは、狩猟免許を取得し山の奥地へ出向くようにもなりました。そして、自ら射止めた鹿の肉をほうじ茶でコトコト煮た佃煮「雪もみじ」を開発。“狩猟と消費”これも森と水を守るための一つの方法なのです。

「“次の世代にも100年残すなら、お茶の味を守るのはもちろん、もう一つ大事なのは水だよ。 そのためには森を育てなければいけない”と、祖父から言われたんですよ」

その言葉は、玉木家の家訓にもなっているといいます。

 

“北海道素材のおいしさ”を味わって

「玉翠園」だけのオリジナルスイーツ「雪萌えパフェ(デラックス手焼き抹茶コーン)」
1日に2度訪れる方もいるという、愛されっぷり。少量生産のため、品切れする場合あり

 

そんな自然環境を大切に守る「玉翠園」の店内イートインスペースでは、お好きな日本茶が楽しめるほか、オリジナルスイーツ「雪萌えパフェ」や「雪もみじ」を使ったお茶漬けなどを味わうことができます。

なかでも「雪萌えパフェ」は、北の大地に降り積もった真っ白な雪、春から夏にかけての移ろいを感じる新緑の萌黄色(もえぎいろ)、実りの秋や大地のコントラストをイメージした、豊かな北海道をまるごと感じられる人気の高いメニューです。

十勝産の牛乳や粒あん、長期熟成抹茶、玄米、手焼きの抹茶コーンなど品質の高い道産食材と、北の茶問屋の伝統技術をかけ合わせることで、上品なほろ苦さとさっぱりとした飽きのこない味わいに。

パフェが生まれた背景にあるのは「過剰に生産された牛乳が廃棄されている」という現実。「食を取り巻く課題に、お茶屋として何ができるか」思考を巡らせた末にたどり着いたのは“北海道の最高の素材を活かすこと”でした。

 

お茶屋にとって大事な「食との関わり」

2023年4月15日に札幌市で行われた「G7(主要7か国)・エネルギー・環境大臣会合」のレセプションで
振るまわれたオリジナル緑茶・北海道熟成「水の守人 ジャパン・ルビー」。お肉料理にぴったり

 

こうした食とお茶をかけ合わせた独自の発想力は、実は玉木さんが幼い頃から培ってきたもの。飛行機や新幹線に乗って日本中の料理店に連れて行ってもらい、時には厨房でシェフが料理のいろはを教えてくれることもあったのだとか。

「お茶屋だからといってお茶だけを勉強すればよいわけではないんですよね。“食との関わり”が実はお茶屋にとってすごく大事なわけです」

いろいろなものを食べて味わいがわかることは、実感をともなった知識があるということ。それがあってはじめて、お客さまに尋ねられた時に必要なものや役立つものを提案することができるのです。

 

物事の先につづく、繋がりを大切に

「エゾ鹿も、牛乳も、パフェも、お茶も、何かをはじめるからにはその先に繋がっている生産者の暮らしまでを考える」

「自分たちのことだけを考えてしまうと、“売れなくなればやめればいい”という発想になってしまいますよね。 だけど、その付き合い方はおそらく祖父は望んでいないと思います。祖父がはじめてくれた人付き合いのスタイルは変えずに、これからも歩んでいけたら」と、たっぷりと時間をかけて語ってくれた玉木さん。

イートイン、テイクアウトでの飲食を楽しみながら、ささいなことでも気になることがあればぜひ尋ねてみてください。きっとお店の歴史やお茶の奥深さをもっと知りたくなるようなお話の数々が聞けることでしょう。

 

お茶の玉翠園(ぎょくすいえん)
住所:北海道札幌市中央区南1条東1丁目1−1 玉木ビル
アクセス:地下鉄「大通駅」より徒歩3分程度
HP:https://gyokusuien.co.jp/
SNS:https://www.instagram.com/gyokusuien_sapporo/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。