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2024.12.05
NEIGHBORS
「ホテルリソルトリニティ札幌」を出発し、地下鉄「大通駅」から約7分。中心部から利便性の高い場所に位置する「白石(しろいし)エリア」は、まちに多くの恩恵を与えてきた豊平川(とよひらがわ)がそばを流れる地域です。
質の高い水が手に入る地域がら、古くから醤油の醸造メーカーや豆腐屋、染物屋など、“水が命”ともいえる企業が拠点をかまえてきた歴史も。その一つ「池田食品株式会社」は、地域に根ざした創作豆菓子の老舗として、この場所で長い時を積み重ねてきました。
「池田食品」といえば、2003(平成15)年から年に一度節分の時期に合わせて開かれてきた「池田の節分フェス」をご存知の札幌市民もきっと多いはず。
“地元の方との触れ合いを通して、日本の節分文化を伝えたい”。
そんな想いで行われる、スタッフ一同が鬼に扮(ふん)した「白石本店」での“豆まき”には、子どもを連れた家族を中心に多くの地元民が集い、“立春を彩る札幌の風物詩”となっています。
広報担当として日々「池田食品」の魅力を発信する大久保さん
お話を聞いたのは、白石区で生まれ育ち、デザインや広告の制作会社を経て現在「池田食品」の企画広報部課長を務める大久保蘭(おおくぼ らん)さんです。
「“池田”の商品が好きで、友人にプレゼントすることもあるんですが、みんな“おいしい”とよろこんでくれます。ナッツ、豆、かりんとうとさまざまな種類やフレーバーがあり、幅広い年代の方に楽しんでいただけると思います。」と語る大久保さんに、会社の歩みや大切にしている価値観、こだわりについて伺いました。
前身「有限会社松屋池田商店」の看板は、現在のロゴマークに活かされている
「池田食品」のルーツは、かつて小樽の老舗菓子メーカーとして名を馳せた「池田製菓」にあります。“のれん分け”という形をとり、1948(昭和23)年に現在のJR「札幌駅」周辺で創業。のちにすすきのエリアへの移転を経て、より質の高い水を求め白石区に工場をかまえる運びとなりました。
創業当初は「有限会社松屋池田商店」の屋号で落花生や椎茸などを扱う乾物商だったそう。その翌年には製造業へ転換。扱っていた商品の中でも特に貴重で栄養価の豊富な落花生を生かしたバターピーナッツの製造に着手し、“扱う会社”から“作る会社”へとその歩みを着実に進めてきました。
「焼カシュー」が生まれた頃の製造風景
ところが、1980(昭和55)年代には中国から安価な落花生が輸入されるようになり、国内製造のバターピーナッツの売れゆきが芳しくない状況に。会社にとって強大な向かい風が吹く時でも、先を見据え挑戦しつづける道を選んできた「池田食品」。
価格競争で張りあうのではなく、“オリジナリティをもった新しいものを生み出さねば”と、主力であったバターピーナッツの製造設備を入れ替えてまで誕生させたのが、当時国内でも馴染みのなかったカシューナッツを生かした看板商品「焼カシュー」でした。
幾度となくやってくる困難や危機に正面から立ち向かい、“地元に愛されながらどう生きていくのか”と、重ねた試行錯誤や決断の連続が、今も「池田食品」を支えています。
工場直結「白石本店」の外観は濃紺で統一され、落ち着いた雰囲気が漂う
そんな「池田食品」は、ここ数年の大きな取り組みとして2018(平成30)年にロゴやパッケージを刷新しました。「和モダン」をコンセプトに、和の落ち着きと北欧風のデザイン性を持ち合わせる色として「濃紺」を採用。普段づかいからお祝い・お悔やみごとまで、よりシーンを選ばず利用できるよう工夫を凝らしています。
米粉と小麦粉のサクサク衣が魅力、甘じょっぱい醤油味の「焼カシュー」
家族での来店や、時折ジョギング中の方がふらりと立ち寄るなど地域住民の来店が多い「白石本店」には、豆菓子やナッツ、かりんとうなど全商品がそろい、その数なんと約70種類もあるそうです。
中でも根強く支持されているのは、やはり苦難を乗り越える鍵の一つとなったロングセラー商品「焼カシュー」。大久保さん曰く、その魅力は「そのままのカシューナッツでは味わえない、衣をまとっているからこそのサクッと感や歯ざわりのよさ」にあるとのこと。
「新しい味を販売しても『やっぱり焼カシューかな。』と手にとるお客さまもいらっしゃるくらい定着していますね。」との言葉から、その人気ぶりが感じとれます。
「焼カシュー」の重要な製造工程「粉巻」
長く愛される味を届けられるのは、直営工場で腕によりをかける職人の力と技があってこそ。
特に要となるのは、背丈を超えるほどの大きなタライを動かしながら表面に衣を作る「粉巻(こまき)」。いびつな形で個体差のある豆やナッツにムラなく均一に衣を行き渡らせるこの作業こそが、研ぎ澄まされた感覚をもつ熟練の職人にしか成しえない工程なのです。
その後、上下からの炎でじっくり焙煎する「直下火焙煎」でゆっくりと水分を抜き、ナッツの密度を高めて香ばしくなるよう仕上げることで「焼カシュー」が完成するのだと、大久保さんは教えてくれました。
彩りや風味もさまざまな豆菓子と出会える
「焼カシュー」のほかにも、北海道民にはおなじみの形「うずまきかりんとう」や札幌限定の幻のいちご「サトホロ」を使った「いちごかりんとう」に、道産とうもろこしパウダーやオホーツクの海水から作った塩がアクセントの「とうきびカシュー」など、大切な方へのお土産や旅のおともに持ち歩きたくなるものばかり。
約70種類ものラインアップから、きっと新しい味やお気に入りに出会えるはず。どれを選ぼうか......と目移りしてしまう時間も、記憶に残る楽しいひとときになりそうです。
(左)「ナッツペーストディップ」(右)つぶつぶ感がクセになる「ナッツペーストシェイク」
地元に根を張る企業として、北海道や日本で育まれた素材を使うことを大切にしている「池田食品」。そうすることで、“一次産業を盛り上げたい”という想いが根底にあります。
「白石本店」限定メニューである、十勝・芽室(めむろ)産の落花生を使用したスイーツやドリンクもその一つ。かりんとうをペーストにディップして食べる「ナッツペーストディップ」、注文を受けてからナッツを搾りペーストを作る無添加で新鮮な「ナッツペーストシェイク」はまさに新感覚。
落花生の魅力を伝え、さらに全国へと広めていく。豆菓子の創作・販売だけではなく、こうした新たな食べ方の提案にも力を注ぐなど、その挑戦は留まるところを知りません。
「白石本店」限定メニュー「鬼ソフト(道産ミルクと道産きなこのミックスに、“おいり”をトッピング)」
「現会長がよく話す言葉に“のれんは革新によってのみ守られる”というものがあって。時代のニーズに合わせて新たな味を生み出したり、パッケージを変えてみたり。向上心をもって常に新しいことに取り組む姿勢は、社内にも広がっています。」
“札幌土産”を思い浮かべる時に、真っ先に名が上がるような“北海道民が誇れる豆菓子メーカー”であるために。そして、“地元で愛される存在”でありつづけるために。
変わらないことを大切にしながらも、変わりつづける。そんな「池田食品」の豆やナッツ、かりんとうの可能性の追求に、終わりはありません。
池田食品(白石本店)
住所: 北海道札幌市白石区中央1条3丁目32
電話番号: 011-811-2211
アクセス:地下鉄東西線「白石駅」「東札幌駅」より徒歩15分程度
HP:https://ikeda-c.co.jp/
SNS:https://www.instagram.com/ikeda1948
https://www.facebook.com/ikeda1948/
https://x.com/iKEDA_1948
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。