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2024.03.16

甘酒をいただきながら、江戸にタイムトリップした気分を味わえる「天野屋」

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甘酒をいただきながら、江戸にタイムトリップした気分を味わえる「天野屋」

都会的でありながらも、江戸の雰囲気を味わえる秋葉原・神田エリア。創業から約180年間、神田明神の鳥居横に店を構える甘酒で有名な「天野屋(あまのや)」は、神田明神の参拝に訪れる人たちでにぎわっています。

江戸にタイムトリップしたような店先で出迎えてくれたのは、天野屋を切り盛りする天野史子(あまのふみこ)さん。

 

 

天野屋での接客歴は50年以上

茨城県出身の天野さん。14歳上のお姉様が天野屋に嫁いだ影響で、小学校2年生からお店に立たれていたそう。

「週末や夏休みを利用して、茨城県の実家から天野屋に遊びに行っていました。日中は店があるので、夜にならないと誰も私と遊んでくれません。次第に店を手伝うようになりましたね。」と、懐かしみながら語ってくれました。

姉妹で同じ家に嫁いだ方が安心という親御さんの意向で、天野家5代目店主(天野さんの義兄)の弟とご結婚。それから50年以上、「天野屋」とともに人生を歩まれています。

 

 

天野屋の糀づくりに欠かせない糀室(こうじむろ)

糀室(天野屋提供)

 

「天野屋」の甘酒に欠かせない糀。糀づくりにおいて、糀菌を植え付けた米を寝かせ、均一に混ぜあわせる工程は、糀室と呼ばれる地下室で行われています。「天野屋」の創業と同時期に建てられた糀室。地下6メートルの場所にあり、地上を行き交う人々は知る由もありません。

創業当初は、「天野屋」の周辺にも100以上の糀室があったそうです。時代の変化とともにその数は減少し、今となっては東京都23区内で実用的な糀室が残っているのは「天野屋」のみ。千代田区の有形文化財としても認められています。

天野さんのお話からも、糀室の貴重さを伺えます。

「関東大震災など、天災の影響を受けなかったものの、周辺の高層ビル建築の際に地盤を守るために埋め立てられ、天野屋の糀室面積は、徐々に小さくなっていきました。創業当時の5分の1程度です。」

 

 

明治37年当時の糀室の図面(天野屋提供)

 

天野さんは続けて語ります。

「現在、糀室に入ることを許されているのは、天野屋の7代目と製造担当者の2名だけです。私も立ち入ることができません。糀室に住み着いている糀菌は、外部からの雑菌に弱いからです。」

さらに、糀づくりは、糀室の環境だけでなく、季節や天候の影響も受けやすいとのこと。米と糀菌の混合具合、発酵状態を肌触りや目、音を聞いてできあがりを判断していく。製造担当者の経験に支えられています。レシピが存在せず、体で覚えながら継承していくそうです。

数々の苦労を乗りこえながら、創業当初から現在まで糀づくりを続けています。

 

 

糀でつながるお客様との関係

喫茶室には、先々代や先代店主のコレクションが飾られており、数十年前にタイプトリップしたような空間を味わえます。

天野さんは「秋葉原・神田周辺も都会的な建物が増えていますが、天野屋の雰囲気を喜んでいただくことが多いです。近年は、昔なじみの方だけでなく学生や外国人観光客の方もゆっくり過ごされていますね。」と、お客様の様子を語っていました。

 

 

「天野屋」では、ご自宅でも糀や甘酒を楽しんでいただけるように店頭販売もしています。他にも糀を使った味噌も展開。

「もともと味噌は販売していませんでした。喫茶室で提供している味噌田楽を召し上がったお客様が『おいしいから味噌をわけてほしい』とおっしゃって。味噌の販売も始めたんです。」と、経緯を教えてくれました。

 

糀をつかった「江戸前味噌」

 

「天野屋」の糀や甘酒、味噌を手に取ってもらうことで、それぞれの家庭の味として浸透していきます。その味が親から子、孫へと受け継がれていることにも喜びを感じられているようでした。

さらに、こんな嬉しいエピソードも。

「昔なじみのお客様のお孫さんが、おばあちゃんの誕生日プレゼントに甘酒を買いに来てくださったんです。家族のお祝いごとにも「天野屋」の味が寄り添えることにも喜びを感じています。」

 

「明神甘酒」
お湯などで割らず、そのまま召し上がれます

 

 

天野屋の甘酒が教えてくれること

喫茶室でいただける甘酒
自家製のたくあんを添えて提供されます

 

天野さんは「天野屋」のこれからについても語ってくれました。

「糀室の規模の縮小とともに、糀をつくる量は減少しました。それを再び広げようとは思っていません。目の前のことに注力して、変わらない天野屋の味を絶やさないように届けていきます。」

「天野屋」の甘酒は、変わることがすべてではない。目の前にあるものごとを守り続ける大切さを教えてくれます。

 

天野屋
電話:03-3251-7911
住所:東京都千代田区外神田2-18-15
アクセス:JR 御茶ノ水駅から徒歩5分/東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅から徒歩5分/東京メトロ 丸ノ内線 御茶ノ水駅から徒歩5分
HP:http://www.amanoya.jp
*営業時間や定休日についての詳細は、上記リンク先にてご確認ください。