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2024.03.02
NEIGHBORS
昔ながらの日本の風情を残す町・浅草には、甘味を楽しむことができるお店が軒を連ねています。今回は浅草で生まれ育った店主・今泉さんが創業し、26年間浅草の住民から愛されてきた甘味処「浅草 いづ美(あさくさ いづみ)」を訪ねました。
日本を代表する和菓子の一つであるあんみつは、今泉さんにとって家族との思い出の味だったそう。いづ美創業の背景には、「美味しいあんみつを素敵なお店で味わってほしい」という今泉さんの想いがあります。
今泉さんは、「幼い頃、おばあさんがおやつにあんみつを作ってくれていたんです。あんこを作っている姿や赤エンドウ豆を煮詰めてみつ豆を作ってくれていた姿を見て、作り方を覚えました。」と懐かしそうに振り返ります。
子どもの頃から馴染みのある和菓子だからこそ、今泉さんはあんみつの味にとことんこだわっています。厳選された素材を使用し、あんみつとして調和がとれた味を追求したことでいづ美のあんみつが出来上がりました。
「十勝産の赤えんどう豆をお店で煮て、みつ豆を作っています。寒天は複数の天草をブレンドしたものです。自分が食べて心からおいしいと感じられる味を目指しました。」
あえて素材の細かい産地を明かさないようにしている今泉さん。深いこだわりが感じられます。
人気商品はクリームあんみつ。一口食べると濃厚ながら優しい黒蜜の甘さが口に広がり、甘さ控えめなあんことみずみずしいフルーツ、歯切れのよい寒天を楽しむことができます。
いづ美の店内は、竹林や庭を眺めることができる和の空間。今泉さんが「大事なお客さんと時間を過ごしたい」と感じられる内装を目指し、4年前に現在の姿へと改装しました。
「幼いころによく遊びに行っていた竹林は、私にとって原風景の一つなんです。京都には観光地になっている竹林もありますし、浅草でも楽しんでほしいと思いました。」と語る今泉さん。観光地・浅草が魅力を増すためにできることを考えた結果が詰まった内装です。
壁に飾られた絵は、田代光という名で活躍した挿絵画家である今泉さんのおじいさんが描いたもの。商品から内装に至るまで、今泉さんの人生が詰め込まれているのです。
今泉さんはこの空間を作り上げるべく、日本庭園や茶道の文化を学び、伝統的な手法を取り入れて作り上げたそう。
「店内にある日本庭園は、実際に庭師さんに作ってもらいました。外国人観光客が多い町だからこそ、日本文化に造詣が深い方が見ても違和感のない本物を作り上げたいというこだわりがあったんです。」
竹林を眺めながら味わうあんみつは、心落ち着く時間をもたらしてくれます。取材中も自分へのご褒美として足を運ぶ常連さん、目を輝かせて竹林や庭を見ながら舌鼓を打つ外国人観光客を見かけることができました。
一風変わったあんみつや夏限定のかき氷も
▲ワイン色のみつが特徴の「ワインあんみつ」ほのかなぶどうの風味とあんみつが良く合う
幼い頃からあんみつを楽しんできた今泉さんは、あんみつに新たな可能性を感じ「ワインあんみつ」や「あんずあんみつ」などのオリジナル商品も生み出しています。
「ワインあんみつは、ワインとハチミツを混ぜたみつをかけて食べる商品です。果物とワイン、果物とあんみつは相性がいいですし、ワインとあんみつも絶対に合うだろうという確信がありました。」
いづ美では、夏限定(5〜10月)でかき氷を楽しむこともできます。いちごや杏、うめのシロップは全てお店で手作り。もちろんあんこと一緒に楽しめる宇治金時も。冬にはぜんざいやおしるこを楽しむことができ、季節ごとに違った楽しみ方ができるお店です。
「自分自身が価値を感じられる美味しさと空間を追求してきました。いづ美に価値を感じてくれるお客様にこれからも楽しんでもらえるようなお店でありたいと思っています。」
浅草という町を見続けてきた今泉さんが、家族との思い出とこだわりを詰め込んだ甘味処「浅草 いづ美」。本当の美味しさと良質な空間を追求する店作りによって、浅草の住民から愛されてきたこのお店は、江戸の風情を残しながらも、新しいものを受け入れて進化を続ける浅草を代表する甘味処です。
浅草 いづ美
電話番号:03-5806-1620
住所:東京都台東区浅草1-8-6 Famille浅草一丁目
アクセス:東京メトロ銀座線浅草駅から徒歩5分
※営業時間や定休日についての詳細は上記のリンク先にてご確認ください。