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2024.05.31

バックヤードツアーで深掘り。長良川鵜飼の裏側

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バックヤードツアーで深掘り。長良川鵜飼の裏側

岐阜県長良川鵜飼の鵜飼漁技術は国重要無形民俗文化財として登録され、岐阜県が誇る文化遺産として保護されています。そして長良川鵜飼を取り巻く環境や技術である“長良川中流域における岐阜の文化的景観”、“鵜飼用具”、“鵜匠装束”、“鵜飼観覧船の造船技術”、“観覧船操縦技術”なども文化財として登録されています。この文化の継承及び観光の復興に寄与することを目的として“長良川うかいミュージアム”は岐阜市内に設置されました。 “伝え・広め・護(まも)る”をテーマとし、工夫を凝らした展示やイベント開催をしています。

今回は、長良川鵜飼の期間外だからできる鵜匠と鵜の暮らしや鵜舟製作風景の見学し、生の声を聞くことができる特別な“バックヤードツアー”で、人々と長良川鵜飼との距離を近づける長良川うかいミュージアムの案内で鵜飼の里を訪ねました。

 

長良川鵜飼を支える。岐阜の素材と思いがつまった鵜舟

鵜舟の作り方を説明する船頭でもあり、船大工の見習いでもある今井さん

長良川鵜飼では鵜匠や船頭が鵜や舟を巧みに操り、漁を行います。その乗船者の足場を支える舟を“鵜舟”と呼びます。「鵜舟は長良川鵜飼のオフシーズンに毎年1艘ずつ製作します。

鵜舟の長さはおよそ13m、幅は1mと鵜飼漁に特化した形状をしています。3人と荷物を乗せて漁をします。2人は右に、1人は左に。風が吹いただけでも簡単にひっくり返るので、3人が息を合わせて重心をコントロールする必要があります。」鵜舟の現役・船頭であり、船大工の見習いでもある今井船頭が丁寧に教えてくれました。現在、鵜舟を作ることができる船大工は1人しかいません。鵜飼漁を支える造船技術を継承すべく、鵜舟の船頭を行う3人が船大工の見習いとして修行を行っています。

「鵜舟の材料は岐阜のコウヤマキを使用します。鵜飼は鮎を狙うので浅瀬で漁をします。川底に当たる可能性がある船底は強度がある節が多い部分を使用します。腹と呼ばれる側面は節の少ない綺麗な材料を使います。鵜舟の全長はおよそ13m。4〜6mの材料を3枚で組み合わせて構成されています。材料を下から順に積み上げるように組んでいきます。上に積んだ材料とすぐ下の段と繋ぎ目が揃うと弱くなってしますし、端部に節が来ても弱くなってしまいます。長さや節に注意しながら、どこにどの材料を使用するか組む前に全て決めてから進める必要があります。完成した鵜舟は1艘ずつ癖があります。」個性ある木材を見つめながら今井さんは話しました。

 

鵜匠と鵜の暮らし。家族以上の存在

鵜匠家「マルワ」杉山雅彦さんが鵜と暮らす自宅

鵜飼で活躍する鵜は元々野生の海鵜です。野生での生活が長くなると人との暮らしに馴染みにくいため、生まれて1〜2年の海鵜を鵜匠家で2〜3年かけて人と先輩の鵜との生活に慣れさせていきます。怖がりな生き物なので、人が行き来しない、静かな裏道に建つ鵜匠家で静かに過ごしています。鵜匠家“マルワ”の杉山さん宅では23羽の鵜と一緒に生活していました。

「ずっと一緒に生活しているので1羽1羽区別がつきます。性格も顔も皆、違います。引っ込み思案だったり、気性が荒いなど、性格は様々です。鵜飼漁でもそれぞれの鵜が前に行きたい。後ろに行きたい。と性格やその時の気分で動いていきます。川が濁ると篝火が届かなくて潜りたくない時もあります。体調と川の状況によって、毎日動きが違います。私たちは鵜飼漁で鵜を操るわけではない。鵜が魚を気持ちよく取れるように、その気にさせています。そのため日々の体調管理が大切です。定期的に獣医さんにも診てもらいます。感染症にもならないように予防接種も鵜飼シーズン前後に2回摂取し、血液検査もします。人より鵜の方が定期的に診てもらっています。」と笑いながら杉山さん。

家族として暮らす鵜について説明してくれる鵜匠・杉山雅彦さん

「鵜の世話は家の者が相手をします。他の鵜匠家の鵜は鵜匠でも扱うことはできません。私たちは鵜を中心とした生活をしていて、鵜は生活の一部になっています。書いて如く“鵜飼”は鵜と暮らす意味の漢字で表現されています。」と真っ直ぐ鵜を見つめながら鵜匠杉山さんは話しました。鵜匠と鵜は共に暮らす日常から信頼関係を築いていきます。その信頼関係があるからこそ阿吽の呼吸で鵜飼漁をすることができます。

 

街が語る。鵜飼とともに歩んできた足跡。

鵜匠の街を歩けば、何気ないマンホールからも長良川鵜飼を感じることができる

6軒の鵜匠家と鵜飼に関係する施設が集まる鵜飼の里。ここは歩くだけで、鵜飼漁の気配を感じることができます。歩いていると薪が積み上がった家や倉庫を見かけます。この薪は鵜飼漁の篝火に使用するための薪です。木を削った時にほのかに香る木の香りがするアプローチの奥には鵜舟を作る船大工の姿や材料になる木材を垣間見ることができます。腰蓑が掛かった鵜匠宅を抜けると、長良川鵜飼が行われる長良川が見えてきます。自分の足元を見ればマンホールにも鵜飼を思い出すことができます。

長良川沿いを歩けば、鵜舟が今シーズンの長良川鵜飼領に向けて川に準備されつつあります。春先は5月からの鵜飼漁に向けて街が動いていることをますます強く感じます。「長良川うかいミュージアムの対岸に見えるのは護国神社です。護国神社の桜が満開だった年は豊漁と言われ、今年の鵜飼漁を占う鵜飼桜と言われています。」長良川うかいミュージアムの学芸員の河合さんは満開の桜を背景に微笑みました。

護国神社の境内に咲く、鵜飼漁の行方を占う鵜飼桜

この長良川うかいミュージアムではバックヤードツアーは2年目の開催。鵜飼漁を観覧する以上の価値がそこにはありました。

長良川うかいミュージアム

電話:058-210-1555

住所:〒502-0071 岐阜県岐阜市長良51番地2

アクセス:JR「岐阜駅」下車 岐阜バス「鵜飼屋」下車 徒歩5分

HP:https://www.ukaimuseum.jp/

SNS:https://www.instagram.com/ukaimuseum_gram/

※営業時間や定休日についての詳細は上記のリンク先にてご確認ください。