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2024.10.31

東欧の焼きピロシキとボルシチを函館で味わう「まるたま小屋」

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東欧の焼きピロシキとボルシチを函館で味わう「まるたま小屋」

函館山ロープウェイ山麓乗り場のほど近くにある、年月を感じる白い外壁の建物。掲げられた看板には「まるたま小屋」の文字が。入り口にある動物の人形に挨拶しながらドアを開けると、「いらっしゃい!」と店主の北見伸子(きたみ・のぶこ)さんの明るく元気な笑顔と、香ばしい香り、そしてたくさんのカラフルで雰囲気のあるインテリアや本たちが出迎えてくれます。

焼きピロシキとの運命的な出会い

北見さんは大学進学を機に北海道へ渡り、留学やご結婚を経て函館に移り住みました。その時、かつて函館にあった有名ロシア料理店で提供されていた焼きピロシキの美味しさに、北見さんはすっかり虜に。「私もピロシキのお店を開こう!」と決意しました。

ところで、私たちの想像するピロシキは“揚げ”られていて、中身は肉まんの具材に春雨をプラスしたような、どこかオリエンタルさを感じるものではないでしょうか?「ロシアやウクライナといった東欧で食べられている本場のピロシキの多くは“焼き”が主流で、具材もシンプルなものが多いんです。」と、北見さんは教えてくれました。

「元々、ロシアをはじめとした東欧諸国には興味があった。」という北見さん。様々なピロシキを研究していく中で、ウクライナのとあるお店のピロシキにフォーカス。ウクライナについても知る必要があると考えた北見さんは、日本ウクライナ文化交流協会北海道支部長に就任。学生時代の留学で培った英語を武器に、様々な文化的活動と並行して、ピロシキの研究を重ねていきました。

焼きピロシキと北海道産食材のマリアージュで唯一無二の味へ

そうして完成した、北見さんの焼きピロシキ。「当店にお越しくださったロシア出身の方に、『地元のピロシキよりも美味しい!』とお褒めいただいたこともありますね。」と話す北見さん。

たくさんのピロシキが並ぶケース。キャッチーな説明書きにも注目してほしい

たくさんのピロシキが並ぶケース。キャッチーな説明書きにも注目してほしい

こだわりは“焼き”だけでなく、生地や具材と多岐に渡ります。例えば、看板商品「エゾ×エゾ」は函館市内で処理された臭みの少ない鹿肉とエゾマイタケをふんだんに使用し、旨みたっぷりの商品に。デザート風の「塩バターりんご」に使っているりんごは隣町・七飯町産。生地に使用しているというおからも函館市内や七飯町のお豆腐屋さんから仕入れるなど、地産地消を心がけた商品づくりをしています。

“食べる点滴”ビーツに一手間加えた、特製のボルシチ

ロシアといえば、やはりボルシチも外せません。北見さん曰く、「ボルシチはロシア料理と思われているのですが、実はルーツはウクライナなんです。」ボルシチとは、お野菜やお肉を丁寧に煮込んで仕上げたスープです。

スープの特徴はなんと言ってもビーツ。私たちがスーパーで目にする機会は少ないですが、「まるたま小屋」では道内の農家さんと契約し、生産していただいているおかげで定期的な仕入れが可能なのだそう。「ビーツはただ切って煮込むだけよりも、じっくりグリルすることで甘さが引き立つので、その一手間を大切にしています。」

北見さんのボルシチのスープを見ると、透き通った美しいピンク色をしているのに気づきます。「洋食屋さんでボルシチをいただくとトマトの風味を感じることがあると思いますが、実は本場のものはもっと滋味深い味わいなんです。」「当店のボルシチは、旨みをプラスする程度のトマトを少量入れるのみ、味のベースはビーツが作っています。」と話す北見さん。お手製のボルシチに使用している調味料は、なんと塩のみ。一口頂いてみると、ビーツの甘みとそのほかの野菜の優しい味わいが、身体全体に染み渡り心を包み込んでくれます。

さらに、本場のボルシチは季節によって内容が変わるそうで、それにならって春は「緑のボルシチ」、夏はビーツときゅうり使った「ピンクのボルシチ」、冬はじゃがいもを使った「白いボルシチ」なども提供しているそう。季節を感じながらメニューを楽しめるのも、北見さんがウクライナ現地へ足を運び学んだからこそ実現しているのです。

我が子のように愛しいお店と商品。店主のこだわりを全身で感じる

「時々自分で食べてみてしみじみ思うんです、『うちの焼きピロシキやボルシチは美味しいなぁ』って。」と、北見さん。お店で提供しているものは全て、北見さんの飽くなき探究心と現地へ赴くバイタリティ、東欧への思い、そして函館での焼きピロシキとの衝撃の出会いがあったからこそ生まれた奇跡の料理なのです。

2024年4月に新しく拡充したというイートインスペースは、「まるたま小屋」オリジナルのウクライナ風ペイントが施されたパワースポットのような空間。「お店のメニューもこのスペースも、どれもこだわって作り上げたお気に入りなんです。」と、自慢のお料理とイートインスペースを愛おしそうに眺めながら話してくださった北見さん。函館の爽やかな風が吹き抜けるこの新たな空間で焼きピロシキとボルシチをいただけば、きっと旅の疲れも癒やされ、心も満たされることでしょう。


まるたま小屋
電話:0138-76-3749
住所:北海道函館市元町2-3
アクセス:函館市電「十字街」徒歩10分/函館ロープウェイ山麓 徒歩2分
HP:https://marutamasquare.wixsite.com/marutama
SNS:https://www.instagram.com/marutamagoya/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください