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2024.06.15

“北海道の蔵元”としての誇りを携え、革新と挑戦をつづける老舗「福山醸造」

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“北海道の蔵元”としての誇りを携え、革新と挑戦をつづける老舗「福山醸造」

北の玄関口、札幌市の東に位置する「苗穂(なえぼ)町」。開拓の歴史と深い結びつきのあるこの地域は、明治以降に工業化がおし進められ、“産業のまち”として発展してきました。

豊平川(とよひらがわ)の豊かな伏流水や、湿度が低く醸造に適した風土などにより、当時は麦酒の醸造所をはじめ、葡萄酒の醸造所などの工場が集っていたとか。博物館や史料館など、古い時代のおもかげを感じさせてくれる建物が、今も多く残っています。

そんな苗穂町で130年を超えて歴史を刻みつづける「福山醸造(ふくやまじょうぞう)」は、道民にとっておなじみ“トモエ印”で知られる、醤油・味噌の醸造メーカー。「北海道遺産」にも認定されている赤レンガ造りの醤油蔵で、長きにわたり培った技と味を今に受け継いでいます。

この地での物語のはじまりや、醸造へのこだわり、そして先をどのように見据えているのか。半世紀近く福山醸造とともに歩みを重ね、現在は蔵見学を担当する小林 典幸(こばやし のりゆき)さんにお話を伺いました。

 

福井の“回船問屋”から、北国の“醤油製造業”へ

「ヤマト福山商店」として創業。現在の札幌駅付近にお店をかまえていました。(福山醸造様提供)


元は福井県を拠点とする「回船問屋」を営んでいたという福山家は、日本全国の海を命がけでめぐる旅の途中で、豊かな地「北海道」に出会いました。「北海道、そして札幌はこれから発展するだろう」そんな土地への可能性や、豊かな大豆の産地であったことも後押しとなり、一族を引き連れて移住。

 

予約が必要な「醤油蔵見学」では、過去の資料や使われていた道具など   説明を受けながら間近で見ることができます。


当時の北海道の歴史はまだ浅く、暮らしをささえる醤油づくりは国でおこなわれていましたが、その製造が地元の企業へと少しずつおろされていく流れにあったのだそう。新しい土地での必死の情報集めや、さまざまな条件、めぐり合わせが重なった1891(明治24)年、手探りのなかで「ヤマト福山商店」としての醤油製造物語がはじまりました。

 

大正7年からつづく、赤レンガ造りの醤油蔵

JR「苗穂駅」までつづく線路をたどって醤油樽を運んでいたそう。樽には「巴(ともえ)」の文字が。   
当時は「樽屋」が樽を作り、修理なども担っていました。(福山醸造様提供)


味噌づくりも手がけはじめ、製造量が増えたころの1918(大正7)年には、現在の醤油蔵がある苗穂へと新たに工場を設立(味噌づくりはのちに旭川市へと移管)。質の高い水が手に入り、物流のまちとして栄えていたこの場所が拠点となっていきました。

「昔は“厳寒(げんかん)仕込み”といって、一番寒い時期に年一回だけ仕込んでいたんですね。雪が積もっている時期は空気がとてもきれいなので、その状態で仕込みます。発酵にはある程度の温度が必要なんですが、“仕込み”にはこのまちの寒い気候が合っていたんですよ」

長く厳しい冬がやってくる北の大地にとって、味の品質をたもつためにも建物の“頑丈さ”や“断熱”は欠かせないものでした。必然性によって建てられた赤レンガ造りの蔵は、開拓の象徴として語り継がれています。

 

「人の手」をかけた、丁寧な醤油づくり

(写真右側)箱のなかには包まれた「もろみ」がびっしりと積まれています。


多くの人が汗水を流してきたおもむきのある蔵では、現在も昔とほぼ変わらぬ製法で醤油がつくられています。

“醤油の味が決まる”といわれる麹(こうじ)を丁寧につくり、半年以上かけて発酵させてできあがった「もろみ」は、圧搾工場でしぼられているのだそう。

「濾布(ろふ)」で包んだ「もろみ」はミルフィーユ状に積み重ねられ、その数なんと約130段にもなるのだとか。その自然な重みでにじみでてくるものを「きあげ(もろみをしぼったままの醤油)」と呼び、じんわりとしぼられていきます。

「この昔ながらの製法が、うちにとっては最大のこだわりなんです。ゆっくり時間をかけるので正直効率は悪いんですが、丁寧にしぼることによって雑味があまりでないんですよ」と、工場を案内しながら教えてくれた小林さん。

「もろみ」を敷きつめた布を積み上げていく「ふなかけ作業」は、職人ならではの技術が問われる大切な工程。時に機械の力を取り入れながらもたよりすぎず、変わらず「人の手」を加えることが醤油のおいしさにつながっているのです。

 

調味料との出会いを楽しむ「直売所」

昔ながらの製法にこだわりをもつ福山醸造は2014(平成26)年、同じ敷地内に直売所をオープンさせました。お店には、醤油や味噌のみならず、他では手に入らない限定商品や加工品、焼き菓子などもならびます。

オープンの背景にあったのは、「日本古来の調味料である醤油や味噌に関心をもっていただきたい」「使い方の幅広さを伝えたい」との想い。

「醤油や味噌って“どれでも同じ”と思われることもあって、それがやっぱり悔しいんですよね。さまざまな特徴があって、それぞれに適した使い方がある。そんなことを伝えていきたい気持ちが一番です」

 

昔ながらの「量り売り」方式

なかには工場から直送された醤油や、生味噌、乾燥こうじなど、「量り売り」方式で提供されているものも。二段仕込みでじっくり寝かせた醤油や、野菜にそのままつけて味わう味噌、炒めものに適した味噌など、ふだんはなかなかお目にかかることのできないめずらしい調味料に出会うことができるため、食卓を思い浮かべる時間がいつも以上に楽しくなりそうです。

 

(左)20割麹みそ  (中央)北海道の恵み蔵出し生  (右)天然醸造味噌三年仕込   
「醤油・味噌・甘糀(あまこうじ)」いずれも100gから購入することができます。


「どんな料理に合わせるのがおすすめか」をお店の方が気さくに教えてくれたり、購入前に試食ができたり。交流を楽しみながら買い物ができるというのも、直売所ならでは。

「すごくおいしかった」「子どもが喜んで、この醤油しか使わなくなりました」

お客さまとの直接的なかかわりが増えたことで届くようになったうれしい声が、励みにもなっているのだといいます。

 

開拓の歴史と誇りを胸に、食文化へ貢献

2020(令和2)年には、「ヤマト福山商店」と名付けた新ブランドを誕生させ、創業時の“新たなことに挑戦する強い精神”を大切に、糀(こうじ)を活かしたからだが整う商品を次々と生み出しています。

「歴史的にみても、会社の創業がちょうど北海道の開拓の歴史と重なる部分がありまして、“これまでの北海道の食文化の一部をすこしお手伝いさせていただいた”という自負があります」

「味噌、醤油、新しいブランドふくめて、商品の素晴らしさを伝えるとともに、食文化やみなさまの健康のために、福山醸造としての役割を果たしていきたいと考えております」と、時間のゆるすかぎり語ってくれた小林さん。

“食卓の味”で暮らしを支えてきた老舗が紡ぐ物語の裏には、先人たちのたゆまぬ努力により重ねてきたこだわりと、使命感を携え未来へ繋ごうとする、揺るがない決意がありました。

 

福山醸造(直売所)
電話番号:0120-120-280
住所:北海道札幌市東区苗穂町2丁目4番1号
アクセス:JR「苗穂駅」より徒歩15分程度
HP:https://www.tomoechan.jp/
SNS:https://www.instagram.com/fukuyama_jyozo/
   https://www.facebook.com/fukuyamajyozo/
   https://x.com/fukuyama_jyozo
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。