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2024.07.31

繋ぐ“命のバトン”。「すすきの」で、こだわりの北海道産サフォーク羊を味わって

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繋ぐ“命のバトン”。「すすきの」で、こだわりの北海道産サフォーク羊を味わって

中央が盛り上がった専用の鍋で、羊肉や野菜を焼いて楽しむ北海道の代表的な郷土料理「ジンギスカン」。かつて、北海道でも羊毛生産のために羊が輸入され、飼育が盛んになった歴史があります。

その後、社会情勢の移り変わりとともに食用として普及。さまざまな調理法が編みだされたことや、他の肉よりも安く手に入る状況が重なったことも相まって、“ジンギスカン鍋が一家に一台ある”といわれた時代があったほど広く道民に親しまれることになりました。

ホテルから足を運びやすい「すすきの」エリアでは、そんな北海道の郷土料理の魅力を発信すべく、タレや鍋の形、焼き方など、それぞれのスタイルをもった多くのジンギスカン店が集います。

なかでも「ジンギスカン 羊飼いの店 『いただきます。』」は、ジンギスカン店を営むために北海道夕張郡由仁町(ゆにちょう)に直営牧場をもち、天塩にかけて育てた北海道産サフォーク羊の肉を提供しているお店です。

その成り立ちから今日まで羊に寄り添いつづけてきたのは、牧場長の森本 了治(もりもと ・りょうじ)さん。創業オーナーとともに訪れた離島のとあるお祭りで、偶然にも北海道産サフォークの羊肉を口にする機会があり、その体験がすべてのはじまりだったといいます。

“感動の味”を北海道で提供するために

よりおいしい羊肉提供への意欲を語ってくれた牧場長の森本さん

よりおいしい羊肉提供への意欲を語ってくれた牧場長の森本さん

当時から希少価値の高いサフォーク羊は、本州のレストランに卸されることがほとんどで、北海道で食べられるお肉として身近な存在ではなかったそう。

「そもそも数が少ない羊の肉をジンギスカンにすることは、当時の常識ではあまり考えられないことだったんですね。でも、やっぱりそこで食べた羊肉がおいしかったので、これをまずは北海道の人たちに食べてもらいたいと思ったんです」

それ以来、北海道産のサフォーク羊を求めて道内を探し回るも、手放す意思のある方に出会うことができず......。そのような苦しい状況下にあっても諦めることはなく、全国各地、西は九州まで足を伸ばして買い求め、少しずつ頭数を増やしていったのでした。

“おいしさ”を実現するための勉強と実践

北海道夕張郡由仁町にある牧場の風景

北海道夕張郡由仁町にある牧場の風景

家畜の飼育経験はなかった森本さんでしたが、頼れる先輩に教わりながらトライアンドエラーを繰り返してきました。牧場では衛生管理はもちろんのこと、適度な運動を取り入れながら、羊にとってできるだけストレスがかからない環境づくりを心がけているそう。

「大事なのは、やっぱり羊は草を食べて育つというところですよね」

自社で育てる牧草に加え、羊が好むやわらかい「早刈り(はやがり)」の牧草を取り入れており、穀物飼料も“羊の成長段階(ステージ)に合わせて”配合を変え、与えるようにしているのだとか。

羊飼いとなり、お店での提供ができるようになったのは構想から20年以上、羊を育てはじめて7年も経った頃のこと。「もっとおいしくできるのではないか」と、勉強と実践を重ねてきた森本さんの元で育つ羊は、現在その数約940頭にまでのぼります。

「手間をかける」抜かりないこだわり

こうして森本さんが工夫を凝らして育てた羊肉は、すすきのエリアにかまえる店舗『いただきます。』に運ばれ、店内に併設された冷蔵室で熟成。調理スタッフが部位に応じてカットし、お客さまの元へ届けられていきます。

肉を切る際に気を配っていることは、“細かい筋まで丁寧に取りのぞくこと”。牛などと比べて小さく、とても手間がかかるうえに小さな筋まで取るため、提供できるお肉も限られるのだそう。そのひと工夫が食感や羊肉の本来のおいしさにつながる大切なこだわりなのです。

気軽さのある空間で味わう「北海道産サフォーク羊」

『いただきます。』の店内は、一人でもふらりと立ち寄ることができる気軽さのある雰囲気。注文をするとカウンター越しにジンギスカン鍋が用意され、それぞれのペースで焼いたお肉や野菜に味をつけて楽しむスタイルです。

「道産子(どさんこ)以外の方だと、ジンギスカンが苦手な方や馴染みのない方もいるかと思うんですが、“このお店で生まれて初めて食べました”“おいしい”と言ってくださる方が結構いらっしゃるんですよ」と、森本さんはほほえみます。

直営牧場 北海道産サフォーク種 羊肉「ジンギスカン(1人前)」

直営牧場 北海道産サフォーク種 羊肉「ジンギスカン(1人前)」

そんな『いただきます。』のいち押しメニューは、なんといってもモモ・ウデ・バラ・スネなどが味わえる「ジンギスカン」。焼き方は、お肉がほどよくやわらかく、肉汁を感じられる「ミディアムレア」がおすすめなのだといいます。

タレは、「北海道ジンギスカンダレ」の発案者である近藤 知彦(こんどう・ともひこ)さんが監修したものを使用し、肉本来の味がしっかり感じられるようにあえて薄口にしているそう。よりシンプルに楽しみたい方は塩・コショウのみで。好みに合わせて食べ比べれば、楽しみ方の幅も広がります。

限りある“命のバトン”と“感謝”を繋いでいく

「羊飼いのクッパ(写真右)」「ひつじの内臓・レバー(写真下)」。 レバー含む内臓メニューは数に限りあり

「羊飼いのクッパ(写真右)」「ひつじの内臓・レバー(写真下)」。 レバー含む内臓メニューは数に限りあり

「ジンギスカン 羊飼いの店『いただきます。』では、森本さんが生産者として大切に育てた“命のバトン”を、加工や接客に携わるスタッフがそれぞれの持ち場でこだわりを守ることで繋いでいます。

「仕入れた肉を提供するということではなくて、私たちは生産・加工・販売までを一貫して行う6次産業なんですよね。1次産業である畜産業をやっているからこそ命の重みがわかる部分もあります。なので、『いただきます。』というお店の名前もなんとなく決めたわけではないんですよ」

お店をはじめるまでの多くの苦労のなかで、命をいただくことの大切さを身をもって学んだ森本さん。おいしい北海道産サフォーク羊肉を提供することへの探究心と、限りある豊かな恵みへの感謝の気持ちは、この先もきっと絶やすことはないでしょう。


ジンギスカン 羊飼いの店 『いただきます。』
住所:北海道札幌市中央区南5条西5丁目1−6
アクセス:地下鉄「すすきの駅」より徒歩3分程度
HP:https://xn--u8jf3af20ad.net/
SNS:https://www.facebook.com/jingisukanitadakimasu
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。